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真っ黒な天使
日時: 2010/11/16 21:39
名前: 葡萄飴 (ID: acQ6X1OT)

真っ黒な天使は真っ白な天使と違って
願いを叶えます。
真っ白な天使は、人を送る事しかしないけど、
真っ黒な天使は人の欲望で遊びます。
そして、貴方の近くにもいるかもしれません。
真っ黒な羽を隠した天使が----------

*-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----*
 
 *登場人物*
主人公*華蓮【かれん】 
《黒天使No.597683》   

優莉【ゆうり】
華蓮の友達
優しくて頼りになる子

*-----*-----*-----*-----*-----*-----*-----*

 *目次*
第一章 ひとつの欲望から >>1
>>2 Ⅲ>>3 Ⅳ>>4 Ⅴ>>5

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第一章 ひとつの欲望から ( No.1 )
日時: 2010/11/14 10:10
名前: 葡萄飴 (ID: acQ6X1OT)

何で私が天使になったかなんて覚えてない。
何で真っ白じゃなくて真っ黒なのかも分からない。
ただひたすら、人の願いを叶えることになった。

*-*-*

「黒天使No.597683」
「??」
「これがお前の番号だ。」
「………」
「これから人間界に行ってしっかり働くんだぞ。」
「………」
「別に心配することは無い。思いっきり人間に混ざってお腹いっぱいになるといい。では。」
「………」

私は自分が真っ黒な天使だってことを知ってる。
でもなんで真っ黒なのかは分からない。
人間界に来てから夢でこの夢ばかり見る。
何故? 聞きたいことは沢山あるけど、私を
《黒天使No.597683》なんて呼んだ人が誰かも分からない。


「………華蓮? どうしたの? ボーっとして。」
「え!? あ、なんでもない。」

話しかけてきたのは優莉【ゆうり】。 人間界ではものすごく愛想が悪い私に
唯一話しかけてくれる友達。
いや、真っ黒な天使と人間が友達なわけないか。

「ふ〜ん… 華蓮がボーとしてるなんてめずらしいなと思って。」
「そうでもない。」
「あ、相変わらずその冷静さだけは変わらないんだね。」

私は《黒天使No.597683》という仮名(?)を隠し、人間界では華蓮【かれん】という名前になった。
まぁいい名前だし、私的には気に入っているけど。
人間界の姿では16歳の高校生になってる。

「お腹すいた…」
「また!? さっき食べたばっかりじゃない!」
「売店でアイス買ってくる。」
(こ、こんなに寒いのにアイス…)
「私は教室で待ってるから〜」

だってお腹すくのは仕方ないもん。
人間界に来てから食べても食べてもお腹すくし…

売店に行く階段を下りた。
売店につくと大変なことが起きていた。
私の大好きなバニラが売ってない!!

「あ〜 またアイス買いに来てくれたの?」
「はい。」
「ごめんなさいね〜 もう誰も買わないと思って出さない事にしたのよ〜」

………最悪。
今日一日黒天使の仕事できない。
そもそも仕事って何?

これからも、ただの真っ黒な天使として人間界にいるつもりだったのに、
すべてを変えたのは、ある人だった。

第一章 ひとつの欲望からⅡ ( No.2 )
日時: 2010/11/14 11:27
名前: 葡萄飴 (ID: acQ6X1OT)

教室へ帰る途中、中庭の方を通って帰った。
本当は階段をそのまま上がった方が早いけど。気晴らしにね。

リーン リーン…

綺麗な鈴の音…
辺りを見回しても誰も鈴なんか鳴らしてない。
ふと、こんな言葉が頭の中に吹き込まれたような気がした。

『真っ黒な天使の助けを求めている人間は、綺麗な鈴の音を出しているんだ』

その声は確かに夢で聞いた声。
誰なのかは分からない。
私は鈴の音がする方へ走った。

「はぁ… はぁ…」

心の鈴を鳴らしていた人間が、寂しそうな背中をこちらに向けて座っている。
中庭から結構はなれた体育館につづく廊下のベンチに座っていた。

「あの…」
「……………」
「えっと…」
「……………………」

なにこの人!! 呼んどいて無視!?
それとも寝て----------

「スー… スー…」

てた。 この人、寝ながら助け求めるなんてどんだけよ。

「……助けて……」
「だから助けに来たって!」
「お姉ちゃん… 助けて…」
「…? 寝言…」

このまま起きるの待った方がいいのかな。
それとも起こした方が…

「華蓮〜〜!」
「あ… 優莉。」
「どうしたの? なかなか帰ってこないし…」
「この人が起きないから…」
「もう! チャイムなっちゃうよ? 教室戻ろう。」
「……うん。」

私を呼んだ人を放ったまま、優莉と一緒に教室に戻った。
気になったけど…

第一章 ひとつの欲望からⅢ ( No.3 )
日時: 2010/11/15 21:41
名前: 葡萄飴 (ID: acQ6X1OT)

真っ黒な天使は真っ黒なことをしてお腹いっぱいになるのかな。
そんなことを考えて、午後の授業なんか全然聞いてなかった。
まぁ勉強なんて私には関係ないけど。
いつか天界に戻って普通の天使になるんだからっ

リーン…

ああ、まただ。
もう… 何所で呼んでるのかな…

「先生。調子悪いので保健室行ってきてもいいですか?」

教室から出て、保健室に行こうとすると何度も鈴の音が聞こえてきた。
保健室に近くなると、音も次第に大きくなってきた。
ガラッ

「あら? どうしたんですか?」
「あの、調子悪いので休ませてもらっていいですか?」
「じゃあ熱測ってくれる?」

出された体温計で熱を測った。
熱なんてないかもしれないけど。
ただ鈴の音が気になってここに来ただけだし。
ボーっと外を見てると体温計が鳴った。

「36.8…… 微妙ねぇ〜 まぁ少し休んでなさい。」
「はい。」
「じゃあ先生職員室行ってくるから、寝てなさい。」

ベットに横になろうとしたら、目の前のベットに女の人がいた。
あの、ベンチに座ってた-----

「あ………」

目が合ったけど、あっちからふいっと目をそらした。
はぁ… 助けを求めてるのはあなたじゃないの。

「寝言…… 聞いた?」
「え…」
「やっぱり…」
「なんで知ってるの。」
「貴方達がしゃべってたの、聞いて後から目、覚めたから。」

しばらく沈黙が続いた後、助けを求めていた少女は言った。

「助けてくれるんでしょ?……もしもだけど…あなた真っ黒な天使でしょ?」
「どうして知ってるの。」
「色々調べてたから。 …本当に願叶えてくれるなら、私の願い叶えてよ!!!」

泣きそうな目でしがみついてくる少女を私は自分から引き離した。

『叶えてあげる。』

少女ははスゥッと力が抜けたように、ベットに倒れこんだ。
華蓮は右手を少女のおでこの部分に手をあて、青黒い光を出した。

『真っ黒な天使の部屋にようこそ。』

第一章 ひとつの欲望からⅣ ( No.4 )
日時: 2010/11/17 20:35
名前: 葡萄飴 (ID: acQ6X1OT)

真っ黒な天使の部屋は入り口がない。
出口も無い。
閉ざされた部屋だった。
電気は青い電気で壁の色は紺色。
まさに真っ黒な天使の部屋。

「うっ…ここは…」
『ここは真っ黒な天使の部屋。』
「やっぱり貴方は…」
『そう。貴方のいったとおり、真っ黒な天使。』
「願い…叶えてくれるんでしょ?」
『絶対叶えるって言ったら嘘になる…』
「どういうこと?」
『願いを叶えるというより、夢を見せるの。』
「夢?」
『夢の中が幸せすぎて、現実が思い出せなくなったとき、貴方は現実の世界で
永遠に眠る事になる。夢の中で、どんなに幸せでもこれは現実じゃないんだと一週間思い続けたら、
現実の世界に戻れる。』

少女は考えることもなくこう言った。

「私に、その夢を見させて!!!」
『いいでしょう。貴方の夢を教えて。』
「………本物のお母さんとお父さんに会いたい……」
『現実に戻ったとしても、真っ黒な天使を頼ったのだから、それなりに地獄が待ってる。
それでも?』

「私は何でも受け入れる!」

『フフッ 貴方の名前は?』
「中原 綾香【なかはら あやか】。」
『綾香。貴方が思う一番居心地のいい場所で私を呼んで。』
「分かった。必ず来て。」
『“必ず”ね。』

辺りが白い光に包まれると、綾香はベットの上にいた。
でも、華蓮は保健室からいなくなっていた。

第一章 ひとつの欲望からⅤ ( No.5 )
日時: 2010/11/17 20:36
名前: 葡萄飴 (ID: acQ6X1OT)

華蓮は保健室から出て教室に戻ろうとしていた。
でも足はふらついていた。
ガクンッ 華蓮はその場にしゃがみこんでしまった。

「はぁ… はぁ…」

今のは私じゃない。誰かが私を動かしてたんだ!!!
華蓮は教室に戻った。

「え。ちょっと貴方!! 顔色悪いじゃない!」
「だ、大丈夫…です…」
「本当に大丈夫なの!?」

先生にそう言われたが、授業中安静にしていたのでなんとも無かった。
授業が終るとすぐに優莉が来た。

「華蓮!!大丈夫!?さっきものすごく顔色悪かったよ!?」
「大丈夫。さっきはちょっと大丈夫じゃなかったけど、もう大丈夫になったから。」
「ならいいけど…」

本当は怖くて怖くて仕方が無い。
いつあんな風になるか分からない。
自分がコントロールできない。

「華蓮?」
「あ、ああ、何?」
「本当に大丈夫??」
「だ、大丈夫だけど。」
「ふぅ…なんか心配だなぁ〜」
「心配しなくて結構。」

私の方をポンっと叩いて優莉は自分の席に戻った。
HRが始まった。でも私はさっきの事で頭がいっぱいで、
先生の話なんか全然聞こえなかった。
そのまま、時間だけが過ぎていった。


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