ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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■Monokuro Niguht【白と黒の夜】
日時: 2010/12/01 21:30
名前: 闇風 雫 (ID: Ti.DGgQd)

■Monokuro■
【人物紹介】

主人公【鈴】
【右目が眼帯の女の子。
 過去に【人形】との契約を結ぶ。
 背中には大きな刀を背負っている】
人形
【この世に生まれてくるとき、すべてのものが神から
 受け取る【寿命】を唯一受け取れなかったとされる
 この世界で一番悲しい種族。
 いつも人間と神をうらんでいて、人間と契約を
 交わすことで寿命を調達している。
 つまり……人間から寿命を奪っている……】

□プロローグ

針の秒針がローマ数字の十二時のところに針を指す。
 ゴーン……ゴーン……という鐘の重い音が
 張り詰めた冷気を打ち消すかのように漆黒の空に
 共鳴する。
 その音は、黒い時計台が眼下に見下ろす小さな街『サンザード』に時を伝える。
 数個のパンを小さな紙袋に無理につめている
 名も知らない小さなパン屋は、トングを右手に
 持ったままで動きが止まる。
 そのパン屋にいる客人も、食事をしようとしていた 若いカップルも。
 サンザードのすべての人間がその十二時の
 鐘の音を聞き、固まってしまったように
 動かなくなっている。
 十二回目の鐘の音が、固まってしまった人間を動かすかのように最後はゆっくりと、しかし十一回目よりも大きな音で人間たちを動かす。
 その音を聞き入れるかのように人間たちはまた動きだし、みんなが口にする。
 また一日が終わってしまったと……

■懐中時計

 サンザードの人々が寝静まる頃、その静寂にヒビを入れるようにレンガの道をその男は歩く。
 コツ……コツ……と一歩一歩がサンザードの
 暗闇に溶けていく。
 その男は、一層暗みを増す時計台の前に立つと
 歌を歌い始める
 「黒と白の月の下、モノクロに照らされる時計台の  下で人形が姿を見せてくれるのならば
  私は何でも引き渡そう」
 狂ったようにその歌を繰り返す。
 「黒と白の……」
 そして、その歌を九回目に歌い終わったとき人形は現れた。
 右手には大きな鎌を持ち
 左手で道化の仮面を持って顔を隠している。
冷たい風になびく黒髪は、闇にも勝るほどだった。
 暗闇の中、現れた不気味な人形だった。しかし、
 その人形を狂った男は喜んで迎える。
 「ああ、人形は来てくれた。
  どうか私の望を聞いておくれ」
 人形は仮面の下からのぞく口を
 楽しげに笑ってみせる。
 その笑みも冷たいサンザードの風に勝るほどの
 冷酷な笑みだった。 
 そして人形は仮面で顔を覆ったまま
 「いいよ」と子供っぽい声で返答する。
 男は、喜んだ。狂った声でその欲にまみれた声を
 サンザードの闇に響かせた。
 そして男は何かに取り付かれたかのように
 笑いながら話してみせる
 「私は、大量の金が欲しいのだ」
 男は喜び。というより欲望。を隠しきれない
 ようだった。
 人形は、冷酷な笑みをさらに冷酷なものにする。仮面から覗く口角を吊り上げ、可笑しくて
可笑しくて……。
 壊れてしまいそうなほどの口元を仮面の下から
 覗かせた。
 「どうだい?かなえてくれるかな」
 人間は望を叶えてくれることを前提にして
 いるようなので、にやけた顔を隠しきれない。
 人形はその口角を下げ、やわらかい笑みとなる。
 しかし、冷酷さはその顔にぴっちりと
 張り付いたままだった。
 そして可愛らしげにうなずく。
 「いいよ」
 そして、仮面を投げ上げる。顔が、見えた。
 白い、いかにも作られたというような
 ボリュームのあるまつげ。
  右目には道化のようなペイントが施され、右と
 左とでは瞳の色も違っていた。
 左目は海の色。右目は漆黒の色をしている。
 人形は開いた右手でマジックでもしているかのよう にトランプを何もない空中から取り出してみせる。
 一枚、二枚、三枚……どんどんトランプの数は
 増えていく。
 トランプを両手で持ちきれないほど取り出した
 人形は、はらはらと落ちていくトランプを
 気にせずに、空中に向かってバサッと放り投げる。
 月明かりを浴びながら、トランプたちは
 形を変えていく。
 人形の足元に落ちてくる頃、すべてのトランプは
 お札になっていた。
 「おお……おお……」
 人間は信じられない。という様子で札を拾上げ
 一枚、二枚……と数えていく。
 人形はその様子を立ったまま見下ろし、楽しげに
 見ていた。
 「それで……代償のほうは……」人間が欲望に
 満ちた顔を人形に向けたとき
 人間は初めてその顔を見た。
 作られた顔で、不気味に口角を吊り上げ笑う
 その顔を
 「あ……ああ…………」
 人間はどんどん青ざめる。
その顔を人形はにっこりと笑った顔で覗き込む
 「代償はね」
 鎌を持つ
 「あんたの……」
 人間のポケットから金色の懐中時計を取り出す。
 カチャッと懐中時計を開くと、3 2 1 9 と
 数字が並んでいた
 「寿命をもらうよ」
 人形は懐中時計を地面に置き
それにねらいを定めて鎌を振り上げる
 人間がそれに気づいた時は、もう遅かった
 「や、やめ……!! 」
 人形が鎌を振り下ろす。
 
 カシャーンッ
 

 懐中時計は高い金属音を立て、ガラクタのように
その場に転がる。
 壊れた懐中時計から浮かび上がる数字 
3 2 1 9 の数字は人形の周りをくるくる回り、やがて人形の中に吸い込まれていく。
 人形は思い通りにいった。とでも言わんばかりに
声を高まらせる
 「キャハハハ!!」
 そして、笑いすぎてなみだ目になりながら
人間のいたほうを見る。
 しかし、人形のほかに残っているのは人間が
望として手に入れた大量のお札と、壊れた懐中時計だけだった。

□サンザードの朝
 
 サンザードに朝が来る。鳥のさえずり、なんて
 ファンタジックなものはなく重い鐘の音が
 寝息を立てる住人達を覚ます。
 鐘が鳴り終わると次々と家の窓が開けられ、人々は向かいの住人と大声でおしゃべりをする。
 それをうるさそうに家の主人は、ベッドの上に
 いまだ転がりながら聞いている。
 各家からソーセージの焼けるにおいや、空気でも
 感じるほどの苦いコーヒーの香りが窓からフワリと 流れ込み、道行く人の鼻をくすぐる。
 不気味なほどに暗かった時計塔の眼下には
 カラフルなテントがいくつも張られ、たくさんの
 人がにぎわう市場へと姿を変えていた。
 魚、野菜、果物など……。
 特に果実屋「アジュマーゼ」の林檎は甘くて
 おいしいと評判である。
 そのアジュマーゼのテントに、変わった少女が
 立ち寄っていた。
 右目に眼帯、白い白髪を黒いヒモでひとつに結い
 上げている。
 日本を思わせるたけの短いアゲハ柄の着物を
 まとい、背中にはその少女が抱えているとは
 思えないほどの長い刀を背負っている。
 「この林檎、一つでいくらですか?」
 「百キルアだよ」(一キルア=一円)
 店の主人は風変わりな少女にもにこやかに
 話しかける。サンザードの人間は温かい人が
 多いのだ。
 「それじゃあその林檎を三つ、紙袋に
  入れてください」
 「まいどあり!」
 主人はニコリと笑い、威勢良く声をかける。
 「はい、それじゃあ三百キルアね」
 少女は紙袋を林檎がたくさん山済みの
 木箱の向こうから身を乗り出して両手で
 丁寧に紙袋を受け取った。
 紙袋からは林檎が半分顔を出し、
 落ちそうになっている。
 「ありがとう」
 少女は主人に三百キルアを渡すと落ちそうに
 なっている林檎を手に取り、カプリ。
 とその場で林檎を口にした。
 蜜がたくさん入った林檎は、シャリリと一口
 噛むほどにその甘みが広がっていった。
 「甘い」
 少女は思いっきりの笑顔を主人に見せる。
 「そんなに気に入ったかい?
  それじゃあ、もうひとつオマケしてあげよう」
 主人は赤い林檎を選び、ひとつ少女に渡した
 「ありがとう!」
 さっきのありがとうよりもうれしさいっぱいの声で主人にお礼を言い、赤い林檎を手に持ちながら
鼻歌交じりで歩いていった。
 「変わった服装の子だね」
 アジュマーゼの主人の奥さんと思われる人物が
 少女の後姿を見てつぶやいた。
 「それでも、うちの林檎をおいしい。
 と言ったんだ。悪い子じゃないさ」
 奥さんはクスリ、と笑い主人の顔を見た。

■時計整備士の子供

少女は石畳の道を行く。
小さなその足音は、サンザードの雑音に
飲まれつつあった。
少女は一人の男の子の前でその足を止める。
男の子は自分と同じくらいの歳だろう。
頭からフードをすっぽりとかぶり、そのフードからは
銀色の前髪がサラリ、とたれていた。
男の子は自分に気づいたらしく、くいっと顔を
                  上げる。
鋭い瞳が、フードの下から少しだけ覗かれた。
チラリ、と自分の事を見ると男の子は
        また地面に目をやる。
「……何か御用ですか?」
ぶっきらぼうな声にしては丁寧な言葉が
            使われている
「……今あるバイトしてくれる人探してるんだけど」
「それで何か?」
「あなたのことを採用します」
「は?」
男の子は、この女何を言ってるんだ。
といいたげな顔を露骨に表した。
「あ、アルバイトって言ってもそんなに危険じゃ
 ありません。
 ただ、命かけたバトルですから」
「危険だよ!十分危険だから!!」
「え、誰もサメがうじゃうじゃいる海域に飛び込め!
 って言ってるわけじゃないんですよ?
 ただ、命を懸けて……」
「あんた、頭大丈夫?」
男の子は頭が痛いようで、頭を両手で抱えたまま
うつむいた。
「とにかく、採用!
 さあ、行こう!!」
私はそういうと男の子のフードをがっしりとつかみ
そのまま引きずっていった。
「あ、アルバイトって……」
男の子は引きずられたまま話しかけてくる。
「人形と戦うのよ」

!!

「……離せ」
「は?」
「離せって言ってんだ!!」
男の子は引きずられているにもかかわらず
私の手から強引に離れていった

その拍子にフードは完全にとれ、男の子の顔が
                よく見えた。
「おお、イケメン」
私は顔を見るや否やそうつぶやく
鋭い銀色の目、それと同じように髪の毛も銀色で……
まるで
「狼のようだ……」
「誰が肉食動物だ!!」

「……人形に何かうらみでも?」
男の子は、しばらく黙ったままだった。
しかし、ゆくっりと話し始めた。
「昨日、男が一人殺されたのは……知ってるよな?」
「知ってるよ」
「その男がな、俺の父さんなんだよ。
 俺の家は貧乏で、いつも回りの奴らにそのことで
                 笑われていた」
「……」

しばらくの沈黙が流れた

 

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Re: ■Monokuro アドバイスよろしくお願いします ( No.1 )
日時: 2010/12/01 21:40
名前: 闇風 雫 (ID: Ti.DGgQd)

はじめまして。
闇風 雫です。
この小説は違うところで書いている自分の小説を
こちらのほうにも引っぱってきたものです。
そちらのほうでもペンネーム(?)は
闇風 雫で書かせてもらっています。
それではコメント&アドバイス
よろしくお願いします!!


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