ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 呪鷲 〜序櫂〜
- 日時: 2010/12/22 22:57
- 名前: 櫂破死呪金鷲偽善者 ◆DjLU4FR6Jg (ID: ymYDaoPE)
プロローグ
……ああ、うるさい。
またあいつが騒いでいる。
どうせ私の成績の事だろう。
仕方ないだろ? 勉強が出来ないんだから。
ここまで嘘をついて、取り返すことなんてできない。
出来るわけがない。
死ね。
死んでしまえ。
そこまで言うなら、なぜ私を産んだ?
死ね。死ね。呪われてしまえ。
あ、———またあの感覚だ。
———————————————————
主人公:坂条愛奈
6月7日>>3
6月9日>>5 >>6
◆お客様各位◆
①—妹様—Ⅰmouto Externals
②—ポアロン様—Porlon Externals
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- Re: 呪鷲 ( No.4 )
- 日時: 2010/11/28 12:01
- 名前: ポアロン (ID: rb3ZQ5pX)
はじめまして。
こーいう話大好きです、大好物です!!すっごく面白そうなんでまた顔出すかもです。
頑張ってください。
- 6月9日 ( No.5 )
- 日時: 2010/12/22 22:54
- 名前: 櫂破死呪金鷲偽善者 ◆DjLU4FR6Jg (ID: ymYDaoPE)
6月9日「朝」
かなりの音量でセットした目覚まし音が、私の横で鳴り響く。
私は、その音で目が覚めた。
窓から照らす、太陽の光を浴びながら、やや目を細めにして鳴り響いている時計を止める。
頭がボーッとする。
昨日の寝床に入った時間すら覚えていない。ただ、焦りを感じつつ勉強をしていたのはしっかりと覚えているのだが、それ以降は頭の中の記憶には残っていないようだ。
ぼーっとした感覚が、徐々に痛覚になってきた。
頭を押さえて、左右に振る。
特に変化はないが、眠気はなくなった。
「……朝、か。」
時計に目をやれば、時計の針は午前6時を指していて、秒針がちょうど一分を上回った。
私はベッドから降り、縦向きのベッドの下の方にある扉を開ける。
もちろんそこから階段の下は一階のリビングで、二階の私の部屋の隣にある寝室は、お父さんとお母さんの部屋である。
二階建の高級住宅。
そんな言葉がまた私の心に突っかかった。
別に、室内の広さでは通常の一軒家とあまり変わりないのだが、この二階の窓辺から見える庭が、やはり高級と言わざる負えない広さと美しさなんだと思う。
わたしにとってはどうでもいいが。
「愛奈〜、朝ごはん出来たわよ〜!」
窓の外に広がる庭を見ていた私に、そんな掛け声が聞こえてきた。
言われなくても分かっている。
私はそんな気持ちを抱きながら階段を下りて、リビングに向かった。
リビングのテーブルの上には、朝ごはん定番と言っていい、焼き魚と漬物&おみそ汁とご飯だった。
都会に来てからも、あまり起きる時間は変わっていない。朝の午前6時。まだ遅い方だと自分では思う。
ただ少し違うのが、田舎の時の私はたとえ朝早く起きたとしても、朝っぱらから遊び呆けて、時間を潰していた事だけだ。が、ここではそんな悠長なことはしていられない。
今、わたしが手を付けている朝食が食べ終われば、やはり『朝シャン』だろう。
『朝シャン』、この流行語を知ったのもここに来てからだ。
朝にシャワーを浴びることらしい。これはもしかしたら流行語ではなく省略語なのかもしれない。
「……朝シャン……かぁ。」
つい、小さい声で呟いてしまった。
この声を察したのか、私の席の隣に母親が寄ってきた。
「ねぇ愛奈。あんたまさか、またシャワーを浴びて学校に行くつもり? 夏だからってね、下手したら風邪を引く原因にもなるのよそんな事」
言われなくたって分かっている。
何回言えばいいのかこの言葉を。
「言われなくたって分かってるよそんなの。でも、この街では絶対に欠かせないの。女の子としての義務なの」
「……あのね、あなた毎回そんな事言ってるわよ。 たまにはなにか違う言葉で言い訳が出来ないの?」
毎回言っているのは当たり前だ。
それを言うしかお前の対処方法が見つからないからだ。
もう言うことはない。逆にこのあとが面倒臭いことになる。
ここまでなると、やることは強引的にするしかない。
食べている途中だった朝食に手を付けるのをやめ、私はその席から立ち上がり、入浴室に一点だけを見つめて母親を過ってから向かう。
「…………愛奈……。」
眉の真ん中を人差し指で抑えている母に対し、父は私の行動に、ただ、私の名前をゆっくりと小さく呟いた。
聞こえないふりをすれば何の事はない。
ただシャワーを浴びるだけだ。
………。
……。
そのあとシャワーを浴び終わった私は、顔の表情を変えないで制服を着て学校の支度を終えてから、玄関から無言で外に出た。
あとは、無事に登校するだけ。
- 6月9日 ( No.6 )
- 日時: 2010/12/22 22:55
- 名前: 櫂破死呪金鷲偽善者 ◆DjLU4FR6Jg (ID: ymYDaoPE)
6月9日「登校」
朝日が照らす輝かしい住宅街の道を、私は登校していく。
そんな中、一体これは何度目だろうかと呆れてくる。
いつも親との言い合いをしてから学校に登校するのだ。いちいち面倒くさい言葉を掛けられてから家に出る私の思いを考えずに。
私だって傷つくことだってある。それに気付いていない親が馬鹿なんだ。
何が“馬鹿”だ。お前の方がよっぽど馬鹿だろうが。
成績が悪いからっていつものように罵って、優越感に浸っているのはお前だけだろうが。
私が何をした。私は一体、なぜここまでされなくちゃならないんだ。あの明るい日々に戻させてくれよ。私が中学に入る前にいた、あの優しい母との生活を。
頭にだんだん血が昇って行くのを感じる。
頭の中のもやもやがイライラに変わって行くのが感じる。
目の前の視界が揺らいでいるのが分かる。
揺らぎに揺らいで、視界がある視点に集中した。
住宅街周辺近くにある公園の、砂場に置いてあったスコップだった。
頭で判断ができない中、私はそこまで歩み寄ると、スコップを限界までの握力で握り、震える手をさらに震わせながら、スコップを上に振り上げ、砂場に叩きつけた。
グシャァッ
と、たくさんの砂が摩れる音が響いた。
その音が、なぜか、このイライラ感を和らげてくれるような気がして、またスコップを上に振り上げ、砂場の真下に勢いよく叩きつけた。
グシャァッ
……まだ足りない。何もかもが足らないんだ。
ウザい。ウザイウザイ。
勉強のできる子がウザい。
運動のできる子がウザい。
私の母親はすべてがウザい。
憎い。憎い。憎たらしい。あと何回だ。あと何回怒られれば気が済むんだ。
てめぇの付き合いに付き添って生きてる暇は私にはねぇんだよ。
なんで私がてめぇの未来設計に企てられなくてはいけないんだ。私にも休みと言う言葉をくれよ。このイカレタ精神を休められる休暇を。
そんな気持ちがたくさん生まれている中、私の持っているスコップは何回も砂場に叩きつけられていて、もう制御が利かなくなっているのではないかと思った。
わたしの目の前にある砂場はもう、周りに撒き散らかされており、ほとんど凸凹の状態になっていた。
「……っ」
スコップを投げ捨て、少量だけ制服に付いた砂を払ってから学校へ向かった。
- Re: 呪鷲 〜序櫂〜 ( No.7 )
- 日時: 2010/12/22 15:32
- 名前: 櫂破死呪金鷲偽善者 ◆DjLU4FR6Jg (ID: ymYDaoPE)
更新再開。
速度は遅いですが、お待ちしていて下されると嬉しいです。
今日はここまでです。
ちなみに、この物語は読者様が主人公でもあります。
それはまた、いつか話す機会があるときに説明します。
- 6月9日 ( No.8 )
- 日時: 2010/12/22 23:56
- 名前: 櫂破死呪金鷲偽善者 ◆DjLU4FR6Jg (ID: ymYDaoPE)
6月9日「友達」
朝っぱらからの憎たらしい時間から歩いて進んで、私はなんとか学校に到着した。時間もセーフだった。
そんな安堵の後、いきなり私の肩に手が乗っかった。
訂正して言うと、気合を入れるような叩き方だった。
その叩かれたほうへと振り向くと、そこにはにこやかに笑っている私の初めての友人がいた。
「よっ! おはよう! 愛奈ちゅわん☆」
この学校で初めて友人になってくれた……滝那賀 見据ちゃんだ。
して、かなりのべた的な行動と加えて変態的行動が多い元気な女の子でもある。べた的、つまりもうこうして私に抱きついてくる行動の事だ。
「愛奈ちゅわんの今日の身体検査結果はねぇ〜、うぅ〜ん?」
「きゃっ! きゃははっ! ひゃ、ひゃめぇてぇっ!!」
いきなり私の脇腹やお腹、そして背筋と身体全体にコチョコチョ攻撃でくすぐる。これは変態的行動だ。なんとかしようと思ったが、あっちの方が上手(うわて)だ。私の抵抗は一拍の一拍子で固定される。
「ふぇぇえ! ひゃはっ! ひゃひゃ! きゃっひ! ひゃめぇへ、みゅしぃえちゃぁんっっ!!」
「ふぅ〜〜ん、へぇ〜〜、ここは? うん? どうなんだい!?」
見据の両手の指が、いわば芋虫のように動き回り、私の身体中の至る所をくすぐり回す。
両目に涙が溜まり、とにかく神経が麻痺するくらい笑いを堪えて、顔を真っ赤にする。
しかし、私の状況とは裏腹に、見据はまだ満足していないらしく、今度は耳たぶを指で引っ張り、耳の真ん中に狙いを定めて息を吹きかけた。
「ふ、ふぇ〜〜〜!!」
これは私の弱点なのかもしれない。ここまで声が出るとは思わなかった。もう恥を超えてしまっている。
「へ〜、愛奈ちゅわんは耳が感じるのか〜、ふっふっふ、そのM性を私と一緒に鍛え上げて行こうかね!! 目指すはM癖全身性感体だぁーーっ!!」
もう何を言っているのか頭に入れる隙間もなく(入れる意味もなく)、私はただこれがさっさと終わることを望みまくった。
つか、あいさつ運動の先生方、見て笑ってんじゃなくて助けろよこの野郎……。
やがて、目を瞑っていた私には分からなかったが、
ゴスッ!!
と、派手な音が鳴った後、後ろにいる見据の身体の感触が消えて、そこから地面に倒れた音が聞こえた。
目を開けると、そこにはショートヘアの黒髪をヘアピンで止めた私と同じ制服を着ている女の子が立っていた。なぜかその左手には、倒れ込んでいる見据のツインテールを引っ張り上げていた。
「ぐっ……ぐふっ……。まさかのローリングバット……(バタッ)」
なんか台詞を吐いた後に死ぬという演劇(?)をした見据は放っておいて、私は危機を救ってくれた女の子へと向き合う。
「……あの、ありがとう」
「どういたしまして」
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