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Transmigration of the souls
日時: 2010/11/30 21:57
名前: ルーナ (ID: r3UXBQ7u)

こんにちは( ^ ^ )/ 
ビミョ〜に初心者なので見苦しいところもあるかもしれませんが(°°;))
ヨロシクお願いします(*‾‾‾‾∀‾‾‾‾*)ノ

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プロローグ 血塗られた瞳の主

1、魔導医シオン

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——登場人物について——
この物語には総勢35人の主人公がいます。35人の様々な思いや事情が重なり合ってTransmigration of the soulsの物語になっていきます。一回で紹介するにはあまりにも多いので、初登場の際にキャラ紹介します。御理解のほど宜しくお願いします。

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Re: Transmigration of the souls ( No.1 )
日時: 2010/11/30 23:06
名前: ルーナ (ID: r3UXBQ7u)
参照: http://血塗られた眸の主

第一章・血塗られた眸の主

月を背負った真白の女が、冷たい闇夜に浮かび上がっている。
髪も肌も、纏っているローブさえも白かった。瞳だけはかろうじて赤みがかっていたため、彼女の視線が自分に向いていることだけは少女にもわかった。しかし、平時であればなんらかの感情が浮かんでいるはずのその双眸は、どこまでも無色。空虚であった。
——死者……?……——
幼い彼女に、それらを見分けるための術があったわけではない。それでも真っ先に心中で呟いたのは、生者特有の本能が彼女を拒絶したからだ。邪気こそ立ち上っていなかったものの、その存在は明らかに異質であった。本来、世界の全てからはじき出されるはずのものが、確かに形を保って少女の前に立ちはだかっている。
女は侵入者だった。
誰もが寝静まる夜中を狙い、窓を破ってこの寝室に現れた。大勢の人々が女の手によって傷つけられ、息絶えた。少女の周りにも、気を失って——あるいは命を奪われて——横たわる大人たちがいる。無傷で息をしているのは、真白の女と少女、そして真白の女から受けた攻撃で重傷を負った少年を庇うようにしている少女の姉のみであった。
女は二人の少年に向かって歩んでいたが、不意に足を止めると、ほう、と艶やかに息をついた。こんな状況でさえなければ、男という男をすべからく魅了していた事だろう。女からは、死の甘美を孕む、人あらざるものゆえの美しさが香り立っていた。少女は、月光に包まれ妖しく輝く純白の女に心を奪われないように、唇を強く噛みしめた。
「きれいな金色の髪だ。月明かりに溶けてしまいそう……」
「……っ」
女がやんわりと口にした色彩に動揺したのは、姉であった。とは言っても、彼女自身がその色を宿しているのではない。金色を生まれつきまとっているのは、少女の方だった。
姉は、自分達をかばっている少女の寝間着を微かにひっぱると、小さく彼女を呼んだ。恐怖に乾いたその声は、静寂に沈む寝室に波紋を呼び、どこまでも不気味に響き渡っていく。
少女は姉の小さな手を乱暴につかむと、強く握りしめた。背中に、か細い息遣いとぬくもりを感じ、震える足に力をこめる。
膝を折るわけにはいかない。背を見せ、逃げることもできない。せめて武器があれば……とも思いはしなかった、思えなかったと表現した方が正しいかもしれない。女が振るう力は、他者を蹂躙する為だけに磨かれたものであった。身体が凍えて上手く動かす事が出来ないのも、吐き出す息が微かに白いのも、すべては女が放った魔法の余波にすぎない。少女はこの場における強者と弱者の関係を完全に理解していた。そういった意味では、氷の刃に貫かれ、事切れた者たちよりは賢明であったのかもしれなかった。代わりに、彼女の中から抵抗するという選択肢が早々に失われたのは言うまでもない。
少女は、眼前の女が何者であるかを知らなかった。心当たりすらなかった。一度見たら忘れるはずもない、特徴的な容姿である。少女は自分の記憶に女の姿がないことを認めると、考えを切り替えた。
女の発言や視線の動きからして、標的が自分であることは間違いなかった。
——なんとかして、二人だけは逃がしたいっ……!……——
その意思が伝わったのだろうか。
女は動きを止めたまま、再び口を開いた。
「君がおとなしくしていれば、二人にはなにもしないよ」
続けて少女の名を紡ぎかけたが、女は不自然にそれを打ち切った。少女は眉をひそめた。
三人のさらに後方には、開け放たれた扉があった。女の視線は、そこから伸びる回廊に吸いこまれているようであった。やがて、彼方から複数の足音がこだまし始める。救援が来たのだ。
少女がほっと体の力を抜きかけたそのとき、女は素早く右手を少女に向け、聞きなれない言葉の羅列を並べた。そして女の差し出した手から、片手で掴めそうな程の紺碧の結晶が現れてようやく、少女はそれがなんらかの魔術の詠唱であることに思い当たった。
乱暴に削り取られたかのようないびつな形状をした結晶は、青白い光を放ちながらも、暗澹とした深遠の闇を内包していた。
無数のきらめきが女の周囲を舞う。
結晶の輪郭から、すべるように青黒い闇が噴き出す。
「なっ……」
少女は息を飲んだ。
こんな魔法は知らなかった。女の手に収束しているのは、この地上に在るもの一切を拒絶する、魔術という言葉で括るには余りに漠然とした、神の領域を侵す恐ろしい力であった。それが人の姿をした者の手から放たれることなど、あってはならない。あるはずがない。
——殺される……!?……——
「君に、ルヴァエル=ティズェアの負の恩寵を」
結晶から伸びた複数の黒い影が少女を貫いた。それらは細く、長く、人間の手のようであった。少女は反射的に顔を両手で庇っていた。痛みはなかった。
姉が何事かを叫ぶ。
影が、夜の闇に溶ける。
浄女の脳裏に、すさまじい速さで様々な光景が駆け巡った。荒野を背に、手を差し伸べる黒髪の二人の少年。柔和な笑みを浮かべる薄茶の髪の男。その隣に佇む真紅の髪の女。小さな家屋で響く怒声、悲鳴、血潮。鋭い殺気を向け合う人々。淀んだ目。招く声。手渡された一振りの短剣。緑のない砂礫の大地。武器を携える子どもたちから上がる笑い声。真紅の瞳の少年。背を向けて一人立ちつくす青年。長く蒼い髪が揺れ——現れた同じ色の瞳は虚無に満ち、絶望に溺れ——問いかける。

——それでもお前は、戦うのか——


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