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13番目の祈り子
日時: 2010/12/02 20:28
名前: アオ (ID: nrSQA2z/)

はじめまして、アオです。
小説書くの初めてなので頑張ります。


◆登場人物
イヴ......15歳の少女  学生

ユーリィ......17歳の少年  学生

桜子......15歳の少女  学生

シキ......年齢不明  管理人

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Re: 13番目の祈り子 ( No.1 )
日時: 2010/12/02 20:38
名前: アオ (ID: nrSQA2z/)

【 ??? 】

歩くときは、静かに歩きなさい。
食べるときは、静かに食べなさい。


これは当たり前のマナー。 そうでしょう?


え? 我がままお嬢様みたいだ、ですって?

失礼ね。 私はお嬢様じゃないわ。
私はお嬢様でもない、“人間”でもない!


では、質問です。

私は何でしょうか……?


質問には素早く答えること。
これもマナーです。




【 ユーリィ 】

どったん、ばたばたばたばたばた! 
───朝から五月蝿いなぁ。


どたどたどたどたっ、ばん!



「おっはよーう、ユーリィ・ジュヴィア・コット!」

騒がしい足音と共に、一人の少女がやって来た。
しかも僕の名前をフルネームで呼ぶ馬鹿。 五月蝿い。



「五月蝿いよ、桜子! 睡眠妨害だ!」


僕は起き上がり、一人の少女を睨みつける。
その少女の顔は東洋系。 つまり、彼女は日本人である。

彼女の名前は竜堂 桜子。 


僕の名前は、ユーリィ。
フルネームは嫌いだ。

Re: 13番目の祈り子 ( No.2 )
日時: 2010/12/03 21:15
名前: アオ (ID: u/Zf4dZT)

【 ユーリィ 】


桜子の肩までの黒髪の先が、少しだけハネていた。
寝癖なのか、クセ毛なのか。 どうでもいいや。



「何よ。 シキさんの方が良かったとでも?!」

シキさん、とは僕たちの寮の管理人さんの名前である。
年齢不明で美男子、謎多き管理人。 



「……どっちもどっち、だな」

「ひっどーい! まあいいや。 じゃ、朝ごはんね」



にこ、と桜子は笑いながら出て行った。




【 桜子 】


相変わらず笑いもしない少年ね、ユーリィ。




食堂への階段を下りながら、私は思った。


綺麗な金髪に、エメラルドの瞳。
それは、ユーリィ・ジュヴィア・コット。

いつも不機嫌そうな顔してる。



何が不満なの?
何が嫌なの?


あなたは、何が嫌いなの……?




「───やあ、桜子。 おはよう」

突然、私の目の前に管理人さんが現れた。


長い金髪を一つに縛って、(悪魔の)笑みを浮かべている美男子。
私たちの住む寮の管理人さん、シキさん。


年齢不明、本名不明、など謎が多い。




「おっ、おはようございます!」


「朝食の準備は出来ているよ。 ……コットは?」


シキさんは、ユーリィのことを“コット”と呼ぶ。
ちなみに、ユーリィはその呼び方を嫌っている。


「今、起こしたところです」


「そうか、ありがとうね」



シキさんは音も無く、どこかへ歩いていく。



「あ」

シキさんは立ち止まり、振り返った。



「イヴは、まだかな?」



「まだですね」


「即答だね? イヴのこと、嫌いなの?」


「違います! 私の、親友です」


「なら、起こしてきてね。 ……ね?」


謎多き管理人、シキさんは再び歩き出す。

Re: 13番目の祈り子 ( No.3 )
日時: 2010/12/04 16:36
名前: アオ (ID: 4oOK7VS7)

【 イヴ 】


こつん、こつん、こつん、こつん、こつん……。
誰かが私の部屋に来る音がする。



こん、こん、こん。
誰かが私の部屋の扉をノックする音。



「イヴ、おはよう! 入るよー」

開いた扉の隙間から、一人の日本人が顔を出した。
肩までの黒髪、私の親友。 桜子だ!



「おはよう、桜子! なんだかテンション低いね?」



「シキさん、謎すぎて何考えているか分からない」

あはは、と力なく笑う桜子。




私の名前は、イヴ。
アダム寮に住み、ヴィヴィット学園に通う。



桜子も学園に通い、寮に住む。 



「放っておけばいいじゃん、あんなの」

「あ、あんなの、って」


「それとも、謎があるならば解き明かす?」




【 桜子 】


腰まで伸びた亜麻色の髪には寝癖がなかった。

「それとも、謎があるならば解き明かす?」


イヴの真っ青な瞳が、私を見つめていた。
にこり、とイヴは笑う。


「明かさないわ、あんな管理人の謎なんて!」


私はそう言った。 イヴは立ち上がる。


「了解☆ じゃあ、朝ごはん食べに行こ?」



【 イヴ 】


桜子は日本人。 日本人、竜堂 桜子。



二年前、シキが“拾ってきた”少女だ。


砂浜にあった壊れた木船の中で、眠っていたらしい。


確か今、日本という国は鎖国とかそういう状態になっている。
だから本来、日本人が外国に来るのはありえない。



どうやって日本から出てきたのだろうか?




「相変わらずお嬢様だな、イヴ」

階段を降りると、目の前にユーリィがいた。
なんか……、ムカつく!


「五月蝿いわね、ジュヴィア」

「だから、僕のことはユーリィと呼べっ」


「朝から五月蝿いわね、コット」

「だから、僕のことはユーリィと呼べっ」


「はやく食べなさいよ、少年」

「それが年上に言う台詞か?!」



「はいはい、ストーップ! 喧嘩はお終い」

私とユーリィの間に桜子が入ってくる。


「ユーリィはね、イヴにちょっかい出しすぎなの!
 イヴも、それに乗っちゃ駄目!」



人差し指を立てながら、桜子は怒った。

「はいはい」
ユーリィが呆れたように返事をし、パンを一口。
私も桜子の隣に座り、朝食を食べることにした。




【 ??? 】

この世で一番“こわい”のは何ですか?




【 ユーリィ 】


何だ、これ。


僕は今、ヴィヴィット学園にいる。

ヴィヴィット学園の図書室の隅に、不思議な扉を見つけた。
木製で、中央に小鳥が彫ってある。

こんな扉、見たことがない。 



僕はまわりに誰もいないことを確認した。


そして、
「お邪魔しまーす」



木製の扉を開いた。




【 イヴ 】


何かしら、この扉。


私はヴィヴィット学園の談話室にいる。


その談話室に、不思議な扉を発見した。
木製で、中央に剣が彫られている。 

見た事が無い、不思議な雰囲気の扉だった。


今、談話室には私だけ。 
誰もいない。 


「気になるから、ちょっとだけなら良いわよね?」


木製の扉は、簡単に開いた。


【 桜子 】


何でしょうか。

私はヴィヴィット学園、自習室にいる。


その自習室の隅に、見慣れない扉があった。
木製で、中央に花が彫られている不思議な扉。


自習室には私一人。 

もしかして、新しい部屋を造ったのかな?


「誰かいるんですかー?」

私は扉を開く。

Re: 13番目の祈り子 ( No.4 )
日時: 2010/12/04 17:13
名前: アオ (ID: 4oOK7VS7)

【 桜子 】


「待ってよ、お母様!」

「はやく歩きなさい、桜子」


───何だ、ここ?


「これから私はどこへ行くのですか?」

「それは着いてからのお楽しみですよ」


───お母様と、私……?!



私は、“日本”にいた。


ちょっと、どういうこと……?

私は、ヴィヴィット学園にいるはずでは?!


ここは私の故郷、日本の“京”だ!
でも、目の前には、お母様と幼い私がいる。


───これは、夢、というものなの?



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