ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

桜花幻想
日時: 2010/12/17 05:15
名前: 紗羽 (ID: 1T0V/L.3)

_〆こんにちは、紗羽(さわ)といいます。
更新速度は亀!! 小説書くの初!です。

和風×洋風なお話を書こうと思っています。
読んでいただけたら嬉しいです!




_〆登場人物


神谷 千里/Kamiya Chisato
年齢:十六歳  性別:女
種族:鬼    


マリア・ウォーカー/Maria Walker
年齢:十五歳  性別:女
種族:人間


雪丸/Yukimaru
年齢:不明   性別:男
種族:鬼


藍葉/Aiha
年齢:十八歳  性別:男
種族:魔術師

Page:1



Re: 桜花幻想 ( No.1 )
日時: 2010/12/17 05:38
名前: 紗羽 (ID: 1T0V/L.3)

■王の力をもつ少年



ここは、どこだろう……?




私が目覚めて、いちばん最初に思ったこと。
ここは、どこ? 私は知らない場所にいる……。
まわりに人はいない。 私だけ。




次に、私はある重要なことに気がついた。


「私は、誰……?」


私の名前は? ───分からない。
どこで生まれたの? ───知らない。
ここはどこ? ───知らない場所。




私は大きなベッドに眠っていた。
ベッドの近くに、大きな鏡が置いてある。 

とりあえず立ち上がり、鏡の前に立った。




じいっと、自分の姿を見つめた。




腰まである亜麻色の髪には少し寝癖がある。
サファイアのような翠の瞳だ。

体格から見ると、私は十五歳? 十四歳?




部屋は、きれいだった。

真ん中には可愛らしいテーブルと椅子。
長方形の窓から、太陽の光がさしていた。
本棚や、美しい絵画もあった。




もしかして、ここは私の部屋?





「───おはようございます、マリア!
 体調は悪くないですか? 大丈夫でしたか?」



突然、部屋の扉が開いて人がやって来た。


私は鏡の前に立ったまま。
───どうしよう!


やって来たのは、やっぱり知らない人。
でも、私と同年代だと思われる。 なんとなく。



「……マリア?」


「あなた、誰なの? ここは、どこなの?」


私は初めて言葉を発した。
その言葉に、知らない少女は絶句する。



少女は扉のところに突っ立ったまま。
───肩までの黒髪に、紫の瞳をした少女。



「もしかして、マリア? 記憶喪失ですか?」


恐る恐る、黒髪の少女は私に訊いた。
顔が真っ青だが、大丈夫だろうか?



「そうみたいね、だって全然分からないもの」


へなへなと力なく黒髪の少女は座り込んだ。
しばらく俯いていたが、


「分かりました、大丈夫です」

とか呟いて立ち上がり、私を見つめた。




「あなたの名前は、アマリア・ヴィア・ウォーカー。
 ですがあなたはマリア・ウォーカーと名乗ります。

 さあ、ついて来て下さい。 こっちです!」



私の名前はアマリア・ヴィア・ウォーカー?
それで、マリア・ウォーカーと名乗っているの?



黒髪の少女は笑顔で手招きをしていた。


あの人を信用しても大丈夫なのかしら?



そんな不安を抱きながら、私はついて行った。

Re: 桜花幻想 ( No.2 )
日時: 2010/12/17 06:08
名前: 紗羽 (ID: 1T0V/L.3)

黒髪の少女と私は、廊下を歩いた。
大きな木製の扉の前で止まり、ノックをする。


コン、コン、コン。

「入りますよ」


ガチャリ、と木製の扉を開く。



そこはまるで、貴族のような部屋だった!
美しいシャンデリア、部屋の色は白と金で統一されている。

白を基調とした椅子、テーブル。
黄金と白銀のタイルの床。 天使の絵画。


一番目立ったのが、深紅のソファだった。



「さて、申し遅れましたね。
 私の名前は、神谷 千里。 千里、って呼んで下さい」


ニッコリと黒髪の少女は笑う。
千里、という名前らしい。 


「───おい、千里! マリア!
 やっと起きてきたのか? 何時だと思ってるんだ?」



突然、真上から男の人の声がした。
その声に、千里はムスッとした表情になる。



「藍葉、大変なんですよ。 冗談ではないです」


タンッ、と軽い音と共に少年がやって来た(どこから?)。


金髪で右目には眼帯をしている少年。
青いローブを羽織っている。


「大変? 何が?」


「マリアが記憶喪失になりました」


「え? 千里、何だって?」


「マリアが、記憶喪失に、なりました!」


「千里、お前そんな冗談言う奴だったか?」


「藍葉、そろそろ斬りますよ?」


藍葉、と呼ばれた少年は私を見た。
灰色の瞳だったが、吸い込まれそうな気がした。


「俺のこと、分かる?」

「……、分かりません」



「俺は魔術師の藍葉」


魔術師? 

まあ、あまり気にしないでおこう。



「千里、けっこうヤバイんじゃないの?」


「存じています、だからこれからですね、」


千里は天使の絵画を軽く触った。
カチリ、と音がして回転する。


「この世界と、存在する者について説明しようかと。
 あと、私たちとマリアの関係も」


「えー! かったるいな、おい」


「仕方ないでしょう! 
 とにかく、記憶を戻すことが重要なんです!」



藍葉はため息をついた。



絵画の裏には、大きなスクリーンがあった。
そのスクリーンに、美しい景色が映る。




「この世界は、七つの大陸があります……」


「おい千里! そこから説明したら太陽沈むぜ!」


「あ、そうですね。 ……どこから説明しましょう?」


千里は困った表情で藍葉を見つめている。
私はとりあえず、深紅のソファに座った。



「この世界に存在する者と、俺らの関係性」


「分かりました、ではもう一回です!」


スクリーンに四つの人間が映った。


「この世界には、四種類の種族がいます。
 まず一つは、人間。 ただの人ですね。


 二つ目は、魔術師。 
 ローブを羽織っているから、すぐに分かります。


 三つ目は、鬼。
 人間と同じに見えるので注意です。
 
 
 最後に、竜族。
 世界で一番強いとされる種族です。
 喧嘩や戦争は絶対に負けません。

 耳が尖っているのが証拠ですよ」



じゃあ、私は人間なのだろうか?
鬼という可能性もある。
ローブはないし、耳は尖っていないから。



「マリアは人間ですよ」

「あなた……、千里は?」


「私?」

千里は驚いて、目を大きく見開いた。
それからすぐに微笑む。

「私は鬼です」


「鬼!」


「はい、鬼ですよ」


「千里はな、怒ると地面に───、」


「藍葉、やっぱり斬りましょうか?」


藍葉は黙り込んだ。
だから思わず、私は笑ってしまった。


Page:1



この掲示板は過去ログ化されています。