ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 刃《お知らせ》
- 日時: 2011/01/04 12:09
- 名前: right ◆TVSoYACRC2 (ID: zuIQnuvt)
- 参照: 咎狗の血TBPプレイ中。リンがかわいすぎて死ねる。
どうも、最近薔薇のマリアが好きすぎて困る高校生のrightです。
※お知らせ※
大晦日から激しい咳が何日間か続いていたため、4日(今日)、病院に行ったところ"気管支炎"という病気を患っていました。ですので、しばらく療養のため姿を消します。物語の続きをお待ちの方、申し訳ありませんが、続きは約一週間ほど先延ばしにさせていただきます。主の自己管理がなっていないがために、こんなことになってしまって申し訳ありません。
それほど大病というわけではないのですぐに復活できると思います。
そのことを踏まえ、以後宜しくです。
はい、今日を持ちまして刃とワタクシright共に復活です。
以前にご愛読してくださっていた方、これから読んでいくという方もよろしくお願い致します。
前作の旧刃はネタ不足や描写不足やらなんやらで執筆を止めました。
簡単に言いますと、自分はまだ修行が足りないなーと思ったから、です。
前よりは多少進化致しましたが、これでもまだまだ修行中の身です。
今後ともこのrightをよろしくです!
>>14オリキャラ用紙
>>10《登場人物》
>>3《Ⅰ,散るか散らすか》
>>4《Ⅱ,手紙①》
- Re: 刃 ( No.1 )
- 日時: 2010/12/24 17:20
- 名前: Neon ◆kaIJiHXrg2 (ID: xiz6dVQF)
お帰り〜!
と言いに来ますた
- Re: 刃 ( No.2 )
- 日時: 2010/12/24 17:27
- 名前: right ◆TVSoYACRC2 (ID: zuIQnuvt)
>>1
ただいま!
その言葉だけでもうれしいよ!
- Re: 刃 ( No.3 )
- 日時: 2010/12/27 10:15
- 名前: right ◆TVSoYACRC2 (ID: zuIQnuvt)
Ⅰ.散るか散らすか
——橋田架月——
頭が混乱する。
この暗くてカビ臭い路地裏は迷路のようだ。今来た道さえも覚えていない。自分が何故走っているかは見当がつく。俺は今は殺されようとしている。だから俺は走っているんだ。当然だ。殺されるのに立ち止まって「ハイ死にまーす」と自分から突っ込む奴はいるのか?
しかし本当にどうすればいい。今までの俺はどうしていたんだ? こんなことがあっても全て冷静に切り抜けたはず——ぱしゃんぱしゃん。
水溜りがまるで逃げろと催促するかのように音を響かせる。煩い、誰だ。殺されるかもしれないこんな極限状態で、どこの餓鬼が遊んでいる。
ぱしゃんぱしゃん。後ろからだ。
ぱしゃんぱしゃん。追いかけてきている男か。
ぱしゃんぱしゃん。ああ、俺か。俺も音を立てているのか。なるほど。
ぱしゃん。だからそばで音が。馬鹿だ。俺は馬鹿すぎる。日本一——いや、世界一馬鹿すぎる。こんなこと、猿でも気づくぞ。それを俺は、どこぞかの餓鬼のせいにして。これもアイツらのせいだ、なんて責任転嫁しても意味はない。
——ぱしゃん。
音が、止まった。決して俺が立ち止まったわけではない。遠くの水溜りの音が消えたのだ。多分、俺を追いかけていた"狩人"が走るのをやめたんだ。どうせ、もう追いつかないとあきらめたか、走り疲れたか。
それかどこかの民家の屋根に上って、もしくは中に入って俺を待ち伏せしているか。多くの可能性があるが、今考えた時点ではこの四つが妥当だ。
「——っ!」
息を整えようとゆっくり歩き始めれば、右足に激痛が走った。
ああ、くそ。自分の体の異変にも気づかないほど、俺は必死こいて全力で走って来たのか。やっぱり、中学の時の先生の言った通りだ。人間は生きたいと思うほど、死の淵に立たされるほど、周りが見えなくなって、今の行動を一生懸命に行なう。例えそれが、自分の家族や友人に悪影響を及ぼそうとも、人間はそれをし続ける。だから人間は生に最も貪欲な生物——と言われるらしい。
「俺も生に貪欲なのか」と一言呟き、右足を引きずりながら、どこか隠れれる——休めれる場所を探す。
しばらく痛みに耐えて歩き続けると、道が途絶えた。この道は行き止まりだったか。まあいい。とりあえず、体を休めたい——とそんなことを考えている内に、ふと眠気が俺を襲ってきて、体から力が抜ける。
眠い、眠りたい。けど、眠れば俺は死ぬ。永遠の眠りにつくだろう。なんちゃって…………って俺は何を言っている。こんな危険な時に、眠ろうだなんて。しっかりしろよ、俺。全身を緊張させて、冷静になるんだ。
俺は腰に差していた日本刀を鞘から抜き、己の手の甲を刀の先で斬れば、鋭い痛みが全身を覆い、脳を目覚めさせる。
血がみるみる内に溢れ、指を伝い、土の上へ落ちていく。
「そこか」
——後を追われていたか、ちくしょう!
ほこりっぽい暗闇から呻き声のような、低い声が俺の背中に響く。俺はとっさに体ごと振り向いた。背中を見せていては確実にやられる。
そこから、狐の仮面を被った、まるで木の様に背の高い黒ずくめの男が飛び掛ってくる。その両手には、僅かに照らされる太陽の光によって怪しく輝く出刃包丁が握られていた。
俺は刀をしっかり握って、右足を前に、左足を後ろに広げ構え、男に向かった。
「はあっ!」
「ふん!」
奴は包丁二本を同時に振り降ろし、俺は刀でそれを防いだ。
刃が勢いよくぶつかり、質量感のある金属同士が擦れ合う音が耳に付く。耳障りな音だ。
力を弱め、刃同士が僅かに離れた瞬間、俺は姿勢を低くし、刀を左手に持ち替え、男の腹をアッパーのように殴ってやった。
「いっ!?」
だが、男は平然としていて、その腹は異様なまでに固かった。まるで石を思い切り殴っていたかのよう。防弾チョッキの類のものだろうか。
見上げれば、包丁の刃が目の前に迫っていた。
すぐさま後ろへ退がる。
「ふー……」
自分を落ち着かせようと息を吐く。
男はこちらの出方を伺っているのか、先ほどのように飛び掛っては来ない。
なら、こちらから行こうか!
痛む右足に体重をかけ、一気に走り出す。激痛が走るが、そんなもの今更にはかまっていられない。今は生きることを考えろ。生にしがみつけ。振り落とされるな。奴を殺せ。
男はいきなり俺が全力で走りだしたことに驚いたのか、構えが少し甘くなった。俺はそれを見逃しはしない。
目の前に来たところで、俺は刀を下から掬い上げ、斜めから振り下ろす。刀を叩きつけ、打撃を与える。相手がひるんでも容赦はしない。上下から、左右から斬りつける。時折、血の雫が舞った。
「うおおおおおおおおお!」
俺は雄叫びを上げて、力を振り絞り、刀を再度叩きつけた。
その衝撃で、奴の武器が宙に舞い、地面に突き刺さる。
出刃包丁はもう使い物にならないほど、ぼこぼこに凹んでヒビが入っていた。
「ひぃ……!」
男にもう武器はない。
今だ。
殺せ。
「……っ」
何を戸惑っている、殺せ。
殺せ。
「すまない」
俺は男の首を刎ねた。
続く
- Re: 刃 ( No.4 )
- 日時: 2010/12/27 11:10
- 名前: right ◆TVSoYACRC2 (ID: zuIQnuvt)
Ⅱ.手紙 ①
——岸宮友哉——
沿岸沿いに設けられ、彼が生まれる前には廃墟と化していた、とある病院。
まだ微かに薬のような、鼻を擽る不快な臭いがする一室に足を踏み入れる。歩くたびにバリ、バリと何かを砕くような音がした。彼は左手に持っていた懐中電灯で足元を照らす。床は一面ガラスの破片で埋め尽くされていた。裸足で歩けば、足の裏がこれ以上とないほど切れて、血で染まるだろう。
青年はバリバリと音を立てながらそのまま奥へと進み、カーテンで太陽の光を遮られた部屋の不快な臭いと妙に重い空気を外に逃がそうと、カーテンと窓を開けた。
「!」
一気に入り込んでくる潮風と日光に驚き、思わず眼を瞑る。
潮風は、今までの苦しみを忘れさせてくれるかのように頬を優しく撫で、彼を照らす日光は、彼の穢れを洗い落としてくれているかのよう。
そっと目を開けば、窓から見える景色に心奪われた。
海は太陽によって、まるで宝石の如く眩しく輝いており、空は雲ひとつない快晴で、太陽は目を開けていられないほど己の存在を主張している。
この美しい景色に見とれていれば、「ふあ……」と大きな欠伸が出た。
「寝るか」
——ここに逃げ込んで来てまったく休んでないからな。
入り込んでくる潮風によって、彼の栗色の髪が靡く。
彼は窓の傍に無造作に置いてあった、ぼろぼろで僅かに血に染められているベットの上に座り、仰向けになった。同時に懐中電灯もベットの上に放り投げる。
火事があったのか、炭のように黒ずんだ天井が彼の視界を埋め尽くす。
それを暫く見つめていれば、閉めたはずのドアが開く音がした。
「え……」
驚いて勢いよく上半身を起こせば、目の前に顔も体血だらけで、整えられた漆黒の髪までも赤黒く変色させている少女が、己の姿とは反対に純白のワンピースを着て、立っていた。
彼の本能が彼に呼びかける。
——逃げろ。死ぬぞ。これはお前の××だ。飲み込まれるな。××に。お前を保て。だから早く逃げろ。逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ。
だが彼の体は動かない。動かそうとしても何かに力強く押さえつけられている。何もないのに——彼と少女しかいないのに。
「お、にい……ちゃ、ん」
少女が彼に腕を伸ばす。それは、皮膚が焼け爛れ、骨が見えるまで抉られている、人の腕ではない何か。
それが、彼の首に回された。少女と彼の体が未着する。赤黒い血が彼の白いシャツを見る見る内に染めていった。
——痛い。
彼女に抱きしめられると、体にまるで電気が流れたかのように、鋭い痛みが体の中までを苦しめる。
「ああああああああああ!!」
その痛みと少女の醜さと恐怖に叫ぶ。
「おまえはわたしだ」
少女が呟けば、抱きしめる力が強くなって、痛みがそれに比例して強くなる。
あまりの痛みに彼は意識を手放した。
続く
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