ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 夏の吹雪
- 日時: 2010/12/25 18:28
- 名前: 月華 (ID: QSygN.Tt)
- 参照: http://novelnewwind.zashiki.com/
アイシテル
愛してる
逃げないでよ
一緒にこれからもずっといようよ
大好きだよ
ダイスキダヨ
離れたくない
ずっとこの手をつないでいたい
近くにいたい
なのに
なんで……
運命は残酷
神様は残酷
けれど
もうそんな言葉に逃げない
私は戦う
神であろうと運命であろうと
私たちの幸せを邪魔する全てと——
どうも、駄月華です。
一度リアル勢いだけでさき見ないで話を書こうと思ってたんですけど、今回やってみることにしました。
ということで、かなり不定期更新です。
っていうか、面白い保障はしない。うん。
後もう一つの方はこれから更新できるかはちょっと不明。
冬は何かと忙しそうなので。
まぁ、やっぱりそんなこんなで駄作者ですが、きまぐれでもなんでもいいんで見てってくれると嬉しいです。
あと、魔法駄目な人グロ(くなるか?)駄目な人は見ないことをお勧めします。
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- Re: 夏の吹雪 ( No.1 )
- 日時: 2010/12/25 18:47
- 名前: 月華 (ID: QSygN.Tt)
- 参照: http://novelnewwind.zashiki.com/
某日
マネカレザル客ムラヘハイリコミムラヲ雪デオオイツクシタ
ヒトソレヲ神ノ怒リダトイッタ
ツミブカキモノモノカミヲ侮辱シタ
我ソレヲユルサナイデアロウ
マタ
ソノキャク神ヲモウラギッタ
ソレユエ我ソノモノユルサジ
ある夏の村《嵐の前の静けさ》
「ああ、なんということじゃ。神様がお怒りなのか」
ある一人の老婆はそう小さな家の中で、畑を見つめながら嘆く。その瞳に映るのはただただ白い雪だけ。まだ、その雪は吹雪となり畑を駆け回っている。
ちょうどこの日の一週間前からこの異常な吹雪は起こっていた。何が以上なのかというとまずは始まったところから。ある瞬間突然に空から白い雪が降ってきてそれが地に落ちる前に突風が巻き起こったのだ。普通そんなことはなく静かに降っていたのが段々勢いを増してくるというのが常だ。それに威力と継続時間だ。その時外に出ていた何人かの村の人がこの吹雪によって体中を裂かれたのを老婆はしっかりと見ていた。それに、一週間前からこの異様な勢いでこの吹雪は起こり続けている。
そして、何よりも異常なのが今は夏だということだ。
さすがに冬であろうとここまでひどい吹雪は起こらないが、雪くらいならふる。それならば今年は異常だ程度で済むのだ。けれど、夏だといえば話が違う。夏に降る吹雪など異常を遥かに越えてしまっているのだ。
人々もその上に立つものも、何が一体どうなっているのかがわからずしだいに神様のたたりだとみな言うようになってきていた。この老婆もまたその一人である。
でも、老婆は心の中では犯人はわかっていた。何度も否定したが。
ただ、老婆は沈黙を守るだけで決してその人のことを誰かに喋らなかった。
「お婆ちゃん、雪怖いね」
「ああ、そうだね。いつやむかね? 私はこの雪がすぐに晴れてくれると嬉しいのじゃが」
「無理だよ。だって神様は怒っているんだもの」
「そうだねぇ」
老婆はさっきまでものどこか厳しい顔を和らげ少女を抱きとめた。少女もとても穏やかな笑顔を見せた。
- Re: 夏の吹雪 ( No.2 )
- 日時: 2010/12/26 09:25
- 名前: 月華 (ID: QSygN.Tt)
- 参照: http://novelnewwind.zashiki.com/
1 港町
「大きな町……」
僕は大きな船の中から街を見下ろす。何処までも広がって行くビル郡に人の海がその港にはあった。僕の故郷では見ることのできないようなそんな都会の風景、これからおきることにちょっとだけなら素敵な期待をしてもいいかな? と思うけど危ない危ない。油断してたら海にまっしぐら。
だって、この船の屋根の上にいるんだから。
ふつうに甲板に立っているんだと街の人に手を振るいい年下大人たちに邪魔されてその街をゆっくり見ることも間々ならない。それだったらと思って僕はこっそりと手すりを足場にして屋根に上ったのだ。海のように青い屋根は斜めで、気を許すと僕は海のモズク。
けれど、君は身を乗り出さないでいられる? 初めてみる街の風景、それを見るためにちょっと暗い無茶しないでいられる? 僕は無理。だから、ここにいる。
ただ、一つ問題があるなら……。
「怖くて降りれないの? まぁかわいそ」
と、得意げに笑う女の子が僕の登った手すりに座って、笑っていること。綺麗な金髪の縮れた髪に白いノースリーブのワンピース、そして雪のように白い肌と海のように青い瞳。これだけ見れば、すごい美少女。口は悪いけどね。
僕は降りられないんじゃない、君が邪魔なだけだ! と思うけれど、そっちは口に出さずに僕は言う。
「そんな風に座ってればワンピースが黒く汚れて‘マミー’に怒られるよ」
「あぅっ」
彼女はそのことに気づくと立ち上がろうとするけれど、僕の言うことに従うのが嫌なのか座りなおす。
「い……いいもんね! 大丈夫なんだから」
「あ、頭上に鳥が何かがおちて……」
「きゃぁぁ」
僕の言葉を聞き終える前に彼女は屋根の下にもぐりこむ。さっきまでの生意気な感じはなく、ただただワンピースが汚れることを恐れているみたいだ。
「えっと、え? 鳥は」
「嘘」
「ひどい! 引きずり落として海のモズクにしてやる」
これはまた元気なお嬢さんで。一体なんでこんな子がミタード伯爵の孫娘なのかなー? これじゃぁ街娘と大差ない。否、ある程度の恥じらいをもつ街娘よりひどいかも。
——ミタード伯爵。前世紀の経済界を支配した大富豪。伯爵制度はもう当時にはなくなっていたが、その才能ゆえに伯爵と呼ばれている。いまだ健在で、僕の雇い主。
それにしても、こんなおてんば娘を何で外に出す気になれたんだろう? 僕だったら不安で誰かに任せたとしても外になんて旅をさせないよ。いざとなったらミタード伯爵の名前だしてもいいっていってたけど、それだったら逆に誘拐されちゃうし。
まぁ、僕なんかにミタード伯爵の意図が分かるわけないんだけどね。さて、このお嬢さんの機嫌でも直してあげる? ちょっと尺に触るけど僕がからかってばっかだと僕から離れちゃう。そしたら、誘拐とかの危険性も高まるし。
「ごめんね、嘘ついて」
「誠意がない」
駄目だ、この子本当に頑固だ。それに勘いいから誠意がないのも分かってるし。
「じゃぁ、ミタード嬢も屋根の上のる?」
「シテリアって呼びなさい!」
「……シテリア嬢も屋根の上のる?」
シテリア嬢は僕に自分をシテリアと呼べと、何故か強制する。僕なんかがそんな風に呼んでいいかわかんないからあんまり呼びたくないけど。やっぱ誰かと僕を重ねていたりするのかな? 気位の高いこの嬢さんが僕なんかに呼び捨てされるの許すわけないし。
「のらなーい。私は野良猫みたいなことなんてしないわ」
「でも、其処からじゃぁ何も見えないでしょ?」
「いいもん」
「つまんなくない?」
僕はそう言って彼女の顔を見つめてみる。すると、いきなり彼女は顔を真っ赤にして目を逸らし弱々しくつまんなくないもんを連呼している。
このまましばらくほうっておいてもいいと思ったけど、ふとやっぱり屋根の上から街を見せてあげたくなって手を伸ばす。手すりに座っている彼女はちょっと顔を上げて手を伸ばすけれどその手はぎりぎりで届かない。そこで僕はちょっとづつ手すりのある側に近づくように移動するけどやっぱり届かない。彼女が手すりの上に立ってくれるなら一番いいんだけど、そんな危険なことを彼女にさせるわけにはいかないしなぁ……やっぱあきらめる?
すると、彼女はいきなりそれを察したのか手すりの上に立ち上がろうとし始めた。震えた左手を手すりにつけたままゆっくりとゆっくりと、途中何度か倒れそうになるけどぎりぎりで耐える。そして、彼女は左手を手すりにつけたまま立ち上がり右手を僕に伸ばした。
僕は早くしないとと、急いで手を掴む。小さくて白い、暖かい手。か細い腕。僕の正直力の弱そうな腕と手。二人とも海のモズクになりそうだけど、僕は両手で彼女の手を掴み一気に引き上げた。
彼女の左手や足は手すりから離れ……。
「ちょっと、痛いじゃないの!」
「こっちこそ重いよ〜」
結果、彼女は屋根の上に僕にのしかかるように着地。成功っちゃ成功。なんて思っているとすぐに彼女は僕から離れた。そして、港が一番よく見えるところに座る。僕もその隣にゆっくりと腰を下ろす。
しばらくお互いになんか話せずにいたけれど僕の口から不意に言葉が出た。
「すごい、人だかりだね」
彼女がどう反応するか気になってこっそりと視線を向ける。すると、彼女は街から目を離さずにこたえる。
「うん、私もあんな高いビルはじめてみた」
「ここでしばらく暮らすってことが信じられない」
「私も。海、青いね……」
「どこまでもね」
僕たちはまだしらなかった。
この船が沈没し始めていることを。
- Re: 夏の吹雪 ( No.3 )
- 日時: 2010/12/28 16:25
- 名前: 月華 (ID: QSygN.Tt)
- 参照: めざせ、RPG風小説
14:57:48
機関室にて爆発。ヘルターリ号は沈没し始めている。
「た、大変だ!!」
その頃某外国客船を管理する会社では大混乱が起こっていた。その混乱の規模はかつてない規模であり、人々はその事実に大変驚いていた。なんせ、その船には大富豪の孫娘がのっていたという。それは当たり前である。
でも、それを差し引いてもまだ数少ない船での事故となればもうマスコミも黙っていないし、その分乗車賃も高いのだから乗る人の大半は富裕層となる。それだけでももう大パニックなのだ。
ミータード伯爵の孫娘が乗っていたことというのはそれにただ単に拍車をかけただけである。
「大変なのはわかっておる。早く状況を説明せい」
白髪の多い、否ほとんどを白髪にしそれを後ろで一つにくくっている老人は青い帽子をかぶった黒髪の青年に活を入れる。すると、すぐに震えるように背筋を伸ばし彼は状況を語り始めた。
やがて、語り終えると白髪の老人ははぁーとものすごく深い溜め息をつき、ご苦労だったという。
それを聞き届けると青年は音もたてずに部屋から出て行ってしまった。
「ミータードの孫娘か。まったくでしゃばりおって……」
老紳士の一言により何かがまた動き始める……。
◆ ◆
「大変です、お嬢様の乗っている船が沈没しそうです」
「……はっぁぁぁっぁぁ!?」
若いメイドの女性は黒いスーツの男にたった今ラジオで届いた情報を伝える。ミータード伯爵別邸でもまたことは動き始めていた。
(文短くてすみません……)
- Re: 夏の吹雪 ( No.4 )
- 日時: 2010/12/31 09:30
- 名前: 月華 (ID: QSygN.Tt)
- 参照: http://novelnewwind.zashiki.com/
それに気づいたのはまたあるとき突然だった。
僕が何故か船酔いかなんか知らないけれど気持ち悪くなってきていたとき、突然隣に座っていた彼女が俯いて震えだしたのである。最初はちょっと不安そうに寒さに震えるような小さな震え。けれど、あるとき突然その震えはものすごく大きくなり、昔いた島国で体験した地震の震えよりも小刻みに、けれど大きく震えだしたのだ。
最初は大丈夫って話しかけるだけだったけれど、次第に大きくなっていくゆれが気になって何が起こったのって聞いたんだ。
そしたら、やっと上げてくれた顔は真っ青で、かすかに聞き取れるくらいの小さな声で‘怖い’って一言言っただけでまた俯いてしまって……。
僕はまだ何が起こっているのかさっぱりわからなかったし、甲板に立っている人々も何も知らないで港の人々に手を振っていたんだ。
港の向こうの人だって普通に手をって……? みんな確かに歓迎するように手を振っているけれども、顔が蒼白……。その背後を水兵さんの人々が走り回っている。
明らかに不自然、まるで何かとんでもない事故おきているような。けれど、実感なんて……。
ふと感じるなにかのとても嫌な匂い。なにかが燃えているような、臨界点にたっしているような匂い。何かがどこかで燃えている、こげている!!
「危ない!」
彼女が叫んだその時、あと少しで港につくようなそんな時。突然、足場が傾いた。大きくきしむような音。嫌な予感。
「何が起こっているの?」
僕は必死で聞くけれど、白いワンピースの彼女は膝を突いて一言、
「私のせいだ」
といったきり、なにも語らなかった。
◆ ◆
「どうしますか? 早急に対応を。わがご主人様」
「お前の使えるべき主は私ではなく、伯爵だ」
「この家の主はあなたです」
不毛な会話を続ける気はないというように黒いスーツの男は洗練された動作で立ち上がり、メイドをにらみつける。すると、それだけで何かは通じたのかメイドは部屋から立ち去った。
「ふ、余計なことを起こしてくれたな……」
◆ ◆
その時、少し遅れて動き出した人が港で待つ人々に混ざっていた。
「こいつらをこのごたごたの中であいつらをさらって、身代金を要求すれば……」
にひ、と男は気持ち悪く笑い動き出す……。
(水兵さん=日本で言う海上保安庁のような人。
海兵さん=日本で言う海上自衛隊のような人)
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