ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- --(FREE)の何でも屋--
- 日時: 2010/12/27 22:07
- 名前: METO (ID: U3CBWc3a)
。☆。☆。☆。HELLO。☆。☆。☆。
─METO【ミートゥー】と読みます♪─
小説カキコを見つけて、皆様の作品を読んでいたら書きたくなりました。
誤字・脱字が多い駄作になると思いますが、多めに見てください。
Page:1
- Re: --(FREE)の何でも屋-- ( No.1 )
- 日時: 2010/12/27 22:57
- 名前: METO (ID: U3CBWc3a)
────(FREE)の何でも屋 アルバイト募集中!!────
住所:東京都江戸川区○○ー△△△ー□□
電話番号:092−○△×ー△□×○
・仕事が見つからない………
・給料たくさんもらいたーい♪
・新しい体験をしたい!!!
この3つの内1つでも当てはまる項目があれば、上に書かれている住所へGO!!
(FREE)の何でも屋は、誰でも歓迎いたします。
※注意
簡単な面接があるので、身分を証明できる物を持ってきてください。
あなたの力を、何でも屋は待っております。
責任者 久十夜 一志
───────
「………………何コレ?」
俺は自宅に着いて、買い物袋をキッチンに置き、無造作に床に捨てたチラシを確認して、見つけてしまった。
夜中の3時。眠たかったのに、この広告を見て一瞬で目が覚めた。
「うわ〜ぁ……今どき、何でも屋って……」
チラシを丸めてゴミ箱に捨てた。
キッチンに向かい、カップ麺にお湯を注いでテレビを点ける。
こんな真夜中にカップ麺を食べているのは、現在とある芸能人のマネージャーをしている栗忍優斗。
今年で24歳。特に趣味もない。マネージャーという職業は、自分の生活を半分以上潰している。
だが、俺はこの仕事に生きがいを感じていた。そして、誇りを持っていた。
「ショッピングテレビばっかだなぁ〜……。」
夜中の3時にテレビを点けても俺の目には、つまらなそうな日用品が下手な売り手に紹介されているだけ。
話は変わるが、彼女はかれこれ6年いない。部屋は殺風景。地味な私生活。
こんな生活を支えているのは、仕事と両親だけであった。まぁ、そんな両親は2年前に事故で他界。
12月の冬、父の実家に帰省する途中、高速道路でスリップしてしまい、玉突き事故に巻き込まれた。
運転席にいた父はフロントガラスから飛び出し、そのまま車が行きかう反対車線に突っ込み……
母は助手席で車と共にスクラップ。遺体は原型をとどめていなかった。
俺は、その時、仕事の都合で一緒ではなかった。
東京に上京して4年。両親は俺の目の前から、煙のように消えた。
その日からだろう。
俺は笑うことを忘れた。
笑うとしても偽笑い、愛想笑い、偽りの笑いだ。
身内に引き取られることもなく、国の支援金と自分の力でここまで生きてきた。
「……何でも屋…………ねぇ………」
俺はふと、先程捨てたチラシが気になる。ゴミ箱からクシャクシャになったチラシを広げた。
住所は遠くない。給料はたくさん、新しい体験。
好奇心は湧くが、どうも怪しい。てか、怪しすぎる。
「明日は休みだったな………。」
行ってみようかな
俺の頭に、その言葉が連呼される。暇潰し程度だ。こんな場所で働くつもりはない。
俺はこうして、明日の日曜日に行くことを決めた。
だが、俺はこの時気付くべきであったんだ。
このチラシは、パンドラの箱と同じ物だった_______
開けてはならないドア、歩んではならない道_______
分かっていても、俺は進んでしまった_______
- Re: --(FREE)の何でも屋-- ( No.2 )
- 日時: 2010/12/28 10:33
- 名前: METO (ID: U3CBWc3a)
━01━
「俺は馬鹿だな〜ぁ」
仕事が休みの日曜日。俺は“何でも屋”という言葉に惹かれ、とうとう住所先まで来てしまった。
4階建ての古ぼけたビル。その4階に、確かに「(FREE)の何でも屋」と看板がある。
俺は若干不気味さを感じながら、石の階段をコツコツと昇っていく。
そして、運命のドアの前に着いた。
「緊張するな〜ぁ………」
「何だ貴様?」
「うわっ!!!!!」
後ろから聞こえた声に、優斗は思わず声をあげて驚いた。
後ろには、紫色のウエーブヘアーでスポーツサングラス、有名ブランドの黒色のジャージを着た男性がいた。
「客か?まだ開店時間じゃないぞ。」
「い、いや……その………バ、バイトで………」
「!?」
男性は優斗の言葉を聞いた瞬間、呆然となった。口をポカンと開けている。と思うと、いきなり笑いだした。
「お前も物好きだな。ハッハッハッハ!!!!」
男性は笑いながら、優斗を連れてドアを開けた。
廊下を歩くと、6つのデスク、奥には責任者専用と思われるデスクが置かれている。
壁には古いビールの広告、バーゲンの広告、ホワイトボードにはタイムスケジュールがびっしり書いてある。
「久十夜さん!!アルバイトだってよ!!!!」
「ん?……何だ?」
デスクの向こうにあるもう1つの部屋から、Tシャツ、青いジーパンとラフな格好をした男性が現れた。
見た目は若いが、オールバックで髪を整えている容姿から年配の様だ。
「アルバイト?………へぇ〜。」
何でも屋の責任者である久十夜一志は、優斗を珍しそうな目でジロジロと見ている。優斗は苦笑い。
久十夜はデスクの椅子に座ると、男性の方を向いた。
「霧井、お前は戻っていいぞ。」
「はい。じゃ、お疲れ様です。」
霧井と呼ばれた男は、久十夜に一礼すると出ていった。
優斗はどうしていいか分からず、とりあえず久十夜の方を向く。久十夜は立ち上がり、無言で手招きした。
「こっち来い。面接だ。」
「ぇ……ちょ、待ってく……」
優斗は話しかけようとしたが、久十夜は先ほどの部屋に入ってしまった。
優斗はため息をつきながら部屋に入る。中には高そうなソファーにガラスのテーブル。奥には金庫がある。
それ以外は、何もない部屋だ。頑丈そうな金庫が、部屋の隅にピッタリと置かれていた。
「……本当にアルバイトか?」
「い、いえ。そ、その……好奇心で来てしまいました………」
優斗は怒られると確信して、目をつぶって拳を握りしめた。だが、久十夜は何も言わず笑顔で何度も頷く。
優斗は目を開け、首を傾げた。
「仕事は何してるのかね?」
「えっと……“DREAM”っていうアイドルグループのマネージャーを……やってます。」
「芸能マネージャー!?き、君すごいね………」
久十夜は優斗の職業を聞いた途端驚き、なぜか大笑いし始めた。ここの人間の笑いのツボが分からない。
久十夜はポケットから一枚の紙を取り出すと、ガラスのテーブルに置いた。
「座りなさい。」
優斗はソファーに座ると、置かれた紙に視線を移す。
紙には、どこかの住所が書かれている。何でも屋の住所ではない。
「困った時は、その住所先に来なさい。」
「え?」
優斗は久十夜の言葉が理解できなかった。
「ま、今日は帰りなさい。実は休業なんだよ、今日。」
久十夜はそう言うと、笑いながら部屋を出ていった。
優斗は苦笑いしながら住所の書かれた紙をポケットに入れると、とりあえず(FREE)の何でも屋を後にした。
Page:1
この掲示板は過去ログ化されています。