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白黒の町の中で
日時: 2011/01/02 22:06
名前: 愛♯ (ID: 9RKOH.vJ)

白黒の町の中で


この町の人たちは、何でこんなに笑ってるのだろうか・・・・・・・・・・。


第1章 約束

俺にはこの町が似やっていない。道は白いレンガで出来ていて、一つ一つの家の窓には白い鉢に白いバラが植えてある。
(あぁー・・・。こんな仕事、早く終わらしてしまいたい。もう二度とこんな町に来るものか・・・。)
白に白に白・・・。こんな町に居たら、脳が逝かれてしまう絶対に。
俺に、白は似やわない。俺は神に見放された子だから。
(陰でも良いから・・・。黒い所に、暗い所に・・・。)
「何時もそうして逃げているの?」
(うるさい・・・。お前に関係ない。)
「黒いところには、何にもないのに?何時もそうしているの?」
(黙れ・・・。)
「君は、神に見放されたっていう被害妄想をして神のせいにするのかい?」
(・・・・。)
「君には、この世界が似やわないと思っているのかい?」
(なぜさっきから俺に話し掛ける・・・。俺には、何もないただ黒い人間だぞ?)
「知っていて話し掛けているんだよ・・・。ブラウン・レイジスト。」
「はっ!!またお前か。何時も何時も人をからかいやがって!白は、嫌いなんださっさと何所かに行ってくれ!!」
「ブラウン・レイジスト!貴方まだ記憶があやふやなのですね!!」
「黙れ!俺は、お前なんか知らない。知りたくもない。」


皆様にこの世界の事をきちんとお話しなければなりません。
この世界には、デイモンとクラットと言う二つの世界に分かれています。
デイモンと言うのは平和を尊重した裏組織の事ですが、平和を尊重しながらも死と生を両立しながら主に悪魔を倒す組織の事です。
悪魔以外にもゴースト・屍・死神・殺戮の天使・ウルフマン・バンパイア(吸血鬼も含む)・黒魔獣師(魔術師のような物だが黒魔獣を召喚し知能は人間より高い)それを主に倒しているのがデイモンです。
逆に、クラットと言うのは平和と完全を両立した表組織の事です。クラットは悪魔などと手を結び平和を作ろうとしていますが、今だ手を結べた種族はいません。
それがデイモン・クラット。表裏の町または白黒のタウン。


〜記憶の橋を〜

俺には、過去の記憶が無い。昔の記憶は、ほとんど消えている・・・いや、消されていると言ったほうがましかもしれない。

「おはよう、ブラウン。今日は、何所にお出かけだい?」
「今日はリジーが学校から帰ってくるんだ!!だから迎えに行くんだ。」
「そうかなら・・・ちょっと待てよ、確かこの辺に・・・。」
「何々?何探してるの?」
「ちょっと待ってくれよ・・・う〜ん、何所やったかな。」
「おじさん!速くしてよ。リジーが待ってるんだから!!」
足をバタバタさせながらブラウンは商人のノフィをせかした。
「やったぞ!!ブラウン、お前は運が言い奴だ!ほらこれを挙げよう。」
ノフィの手は女性の肖像画の描かれたペンダントを握っていた。
「何だこれ?」
「これは昔々大昔の、この国の女王様が付けてたって言う古いネックレスだ。」
「へぇ〜。」
目を輝かせながらペンダントを見詰めるブラウン。
「いいか。これを付けていると自分が選んだ道が、必ず幸せになるって言う言い伝えがあんだ。」
「すげ〜!!」
ニカッと笑ってノフィが言った。
「ブラウンにやろう。大事にしろよ。」
「うん。ありがと、おじさん!!」
「気おつけろよ!!前向いて、走れよ!!」
手を振りながらノフィがからかい混じりにそう言った。
「うん。」
俺には、二人の家族と一匹のペット(親友)がいる。俺の家には父さんがいないから母さんが遅くまで頑張って俺達を育ててくれる。
俺には双子の弟がいて名前はリジー・レイジスト。頭が良くて、アカデミーでは何時も成績優秀のガリ勉だ。でもそれには、訳があって家にはお金もあまり無いからアカデミーの理事長(義父)が支援してくれているので、リジーはアカデミーでその支援に答えないといけない。でも俺は、能無しの熊だからアカデミーには絶対に行けない。

「リジ〜!!」
「・・・・・。」
ブラウンは走るスピードが速すぎてアカデミーの城門にぶつかった。
「ぐは!!・・・・。へへ。リジーヤバイ!!体が抜けない!」
ブラウンはよく冗談を言っては、僕を笑わそうと必死だった。でもそんなブラウンの事を僕は嫌っていた。
「ちぇっ・・・。」
ブラウンは舌打ちをしてから僕の前にたった。
「迎えが俺だから怒ってるんだろ。」
正直ブラウンが僕を迎えに来る事は嫌だった。
「何で今日も迎えが母さんじゃないの?今日は、迎えに来るって約束したのに・・・。」
僕達の周りには沢山のアカデミー生とその母親が歩いていた。
「・・・・・仕方ないよ。母さんだって忙しいし、きっとまた義父さんに呼ばれたんだよ。」
ブラウンは、僕の頭をなでながら言った。
「ちぇ・・・。仕方ないな。じゃあ今日は、リジーの好きな物を帰りに買ってやるよ。だから母さんの事許してやれ。」
「う〜。」
口を前に突き出しながらリジーは幼児の様に拗ねた。
「う〜。じゃないでしょ。『はい』だろ、または『うん』。」
「ちぇ、解ったよ。」
「さすが俺の弟。」
ブラウンと何時もアカデミーの帰りは道草している。それでも他の子供達のように満足な遊びや生活は出来ていない。

「ただいま〜!!」
と言っても家には、ペットのスローしか居ない。
「ちぇ〜。まだ母さん帰ってないんだ。」
ブツブツ言いながらも仕方なく夕食を作るブラウン。何時もの光景だ。
「ねぇ〜、ブラウン。母さんがこのまま帰って来なかったら、僕達どうなると思う?」

ガシャン!!

食器を机に叩きつけるように置いたブラウンの眼は部区を睨みつける。
「リジー!母さんが帰って来なかった事なんかないんだから黙って、宿題してろよ!!」
何時ものやり取り。
解っているけど聞きたくなってしまう・・・。もしこれから本当に二人だけの生活になったら僕達は、どうすれば良いのかたまに考えてしまう。
でもブラウンは、そんな僕を何時も『大丈夫』と言ってくれる。そこだけは信用できる所だった。

「リジー。いってらしゃい!!」
「うん。」
「今日は、母さんに迎えに行くように言っておくから、心配するなよ。」
僕の頭を撫でながらブラウンは悲しそうに笑った。
「いい・・・。今日は、母さんじゃなくてブラウンがいい・・・。」
「分かった!!」
ブラウンは強くリジーの頭を撫でた。

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