ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 蒼炎
- 日時: 2011/01/03 15:01
- 名前: みく (ID: tLdHgI31)
みなさんお久ですっ!!・・・っていってもシリアスは初めてだからみんな知らないよね(笑)
シリアスはあまり書いたことないからうまくできるかわからないケド・・・がんばるので悪口はやめてね♪
登場人物
熾条 一哉(しじょう いちや)
本編の主人公。とある日、少女を拾う。
帰国子女なのに英語が壊滅的、1人暮らしなのに料理が鬼門と、いろいろ間違ってる人。
渡辺 瀞(わたなべ しずか)
拾われた家出少女。一哉と同居し、統世学園に編入する。
長く艶やかな黒髪が特徴的。責任感が強く、また人に強く出られないことから頼まれると断れない。
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- Re: 蒼炎 ( No.1 )
- 日時: 2011/01/03 16:24
- 名前: みく (ID: tLdHgI31)
序章「集結の地、音川」
人は太古から自然を、抗いようのないものを神として崇めてきた
火事・洪水・台風・落雷・地震・飢饉
これらの災害が神の怒りだと判断し、祈祷・生贄などの多くの処置が施される
そうまでしても治まらぬ時、人は彼らを狩る者に依頼してきた
災害を起こせし者
人ならぬ者を退治する者
厄災="魔"を滅する力の持つ者
彼らを総じて『退魔師』と呼ぶ
そんな彼ら——裏の住人たちが一目を置く存在がいる
場合によっては先の災害を巻き起こせるずば抜けた戦闘力
それらを制御する強靱なる精神力
六つの厄災を司りし精霊たち
<火>
煌々と闇をも照らし出し、全てを焼く尽くす紅蓮の炎を司りし
<水>
渾々と湧き出る泉や地表の七割を占める碧き大海までを司りし
<風>
肉眼では捉えることができず、蒼穹を駆け抜ける清風を司りし
<雷>
天上より舞い落ちる腹に響く轟音と紫色を孕んだ閃光を司りし
<土>
土台を成し、聳え立つ岩盤や様々なものに浸食する砂を司りし
<森>
始生代以来、界門綱目科属種に連なりし全生命の息吹を司りし
神が裁きの代行者
退魔の使命を帯びた伝説の血族
一身にして景観を変え、数多の妖魔を相手に立ち回る絶対たる強者
知る者たちは彼ら、六つの精霊を統べる者を畏怖と羨望を込めて———
精霊術師
———と、そう呼んでいる。
- Re: 蒼炎 ( No.2 )
- 日時: 2011/01/07 17:05
- 名前: みく (ID: tLdHgI31)
「———はぁ・・・・はぁ・・・・」
———パシャッ
しとしとと梅雨の雨が降る住宅地は暗闇に包まれていた。
太陽はすでに休息に入り、空には月が勤めを全うしている時間だ。しかし、その勤めを雨雲が邪魔していた。
その闇を切り開く街灯の明かりも点いたり消えたりと頼りない。
「はぁ・・・・ふぅ・・・・」
少女がひとり、その闇に紛れるようにして住宅街を走っていた。
白かったはずの運動靴は何度も水溜まりに浸かって黒ずみ、傘も差さない体は服が張り付くほど濡れそぼっている。
「はぁ・・・・はぁ・・・・。も・・・・大丈夫、かな・・・・?」
膝に手を当て、肩で息をした。
苦しそうに顔を歪めるが、それを意を決したものに変えると身を隠せる場所から辺りを見回す。
———バタバタンッ
「———っ!?」
複数の車のドアが閉まる音。そして、わずかに聞こえ出す男たちの声。
少女を追う者たちが追いついてきたのだ。
「———いたかっ?」
「いない。そっちは?」
「見つからねえっ」
「探せっ。この辺りにいるはずだっ」
ぐっと呼吸を殺す。
半ば呼吸を止めているに近いが、気にせずじっと彼らがここを去るのを待った。
(早く・・・・どっか行って・・・・っ)
身を縮こまらせた少女はぎゅっと目を瞑る。しかし、感じるの徐々に近付いてくる足音と殺伐とした気配だった。
(あ、ぅ・・・・)
ぐらっと視界が揺れる。
同時に動悸が乱れ、呼吸が荒くなった。
- Re: 蒼炎 ( No.3 )
- 日時: 2011/01/28 18:09
- 名前: みく (ID: i5NaGCNU)
(う、うぅ・・・・)
追手の気配に少女は1年前の記憶をフラッシュバックさせる。
少女は知らず知らずのうちに両手で体を抱き締め、思い出したくもない、だが忘れるには強烈すぎる記憶を反芻していた。
劫火に包まれる建物や軍艦。
鳴り響く銃声や爆音。
ヒトならざる者の咆哮とヒトの喊声。
潮の匂いと血の臭いを孕む風。
背後から迫り来る妖魔の恐ろしき形相。
身に纏う自分でない人の鮮血。
汗と砂に塗れ、気を抜けば止まってしまうであろう足を必死に動かして駆ける。
亜熱帯雨林を抜け、やっとの思いで本営が敷かれる海岸へ。しかし、そこには炎上する装甲車や朱に染まって倒れ伏す人間たち。
視認するや否や、全身を貫いた驚愕。
さらには巡らせた視線の中、哄笑する男とその足下に倒れた父の姿。
先を上回る驚愕が少女の足を地面と縫いつけるようにして固定した。そして、少女の足は暴風の権化が降臨するまでそこを動くことはなかった。
「———誰だっ、そこにいるのは!?」
「———っ!?」
怒号に近き声が少女を現実に引き戻した。
知らず知らずの内に彼らでも気取れるほど気配を出してしまっていたらしい。
どんどん近付いてくる気配がした。
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