ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 偽装された幸せの裏には影
- 日時: 2011/02/05 11:58
- 名前: Neige (ID: lIcPUiXw)
La.
『これに生きる人間の、欲望に渦巻く世界はすべて僕の物ですし、誰かが僕に要求するのは神を足蹴にしているようなものですよ。自分の立場を理解してくださいね。』
こんにちは、はじめましてNeigeです(^^)!/
名前がフランス語ですが日本人なのであしからず><
ふと思いついた話で、まだまとまってもいない
自己満足な小説になると思いますが、温かい目で
見守ってくれると嬉しいです(*^_^*)〃
※ 付け忘れていました、トリップは◆/h56TzYiHIです!
1話 >>1 (幸せに埋もれた影に怯える人間)
2話 >>2 (そして愛する人への追走と手紙)
3話 >>8 (逃げてくれ、生きてくれ)
−
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- Re: そして真実 ( No.1 )
- 日時: 2011/01/08 21:52
- 名前: Neige (ID: lIcPUiXw)
1
「美代、俺はこのとおり何にもないやつだけど結婚してほしい。必ず幸せにするから」
三年半付き合った彼からのいきなりのプロポーズだった。
「え……ちょっと、考えさせてね。前向きに検討するからね」
彼はくすくすと笑って、
「前向きに検討って……。うん、分かった。ずっと待ってる」
そういって優しい目で私を見る。ああ、この目だ。この目が私はとても好きだ。
彼とは三年半前、友人を通じて知り合った。いい歳になっても彼氏を作ろうとしない私に見かねた友人が、自分の兄の友人を紹介してくれた。聞いたことある大きい保険会社に勤めていた彼は、とても誠実で優しい人だった。
何度も連絡を取り、会って話すうちに私は心を惹かれていった。そしてある時彼から交際を申し込まれたのだ。
プロポーズ自体はそう驚いてない。三年半付き合う内に結婚のこともすこし考えていたからだ。ただ心の準備ができていないだけで。
「テレビつけて」
私はテーブルの上においてあるリモコンのボタンを押す。
『昨日、都内で殺人事件が相次ぎました。いずれも証拠は残っておらず警察は——』
「……美代、気をつけろよ」
「うん。拓も気をつけてよ?」
横目で彼を見ると、困ったように小さく微笑んで、テレビに視線を戻した。ニュースなんていうのは、大抵他人事で、自分の身に起こってみないと現実味もわかない。だから彼が深刻そうにそう言ったのが少し変だったのだけれど、次々と変わっていく画面をぼんやりと眺めているうちにそんなことはすっかり忘れていた。
「じゃあ行ってきます。今日の晩飯はカレーがいいな」
バタバタと玄関に向かう彼と私。彼はドアをあけて振り返り、そういった。
「分かった、カレーつくるね。いってらっしゃい」
ドアがガチャリと音を立てて閉まる。私は走ってリビングに向かい、食器を運んで洗う。さて化粧でもするかなとドレッサーの椅子にすわった。
「っ……!」
鏡に映るリビングのまた向こうの玄関に、仮面をつけたスーツ姿の男が立っていた。
バッと振り向くとその姿はもうなかった。
1/end・・next
- Re: 偽装された幸せの裏には影 ( No.2 )
- 日時: 2011/01/09 17:14
- 名前: Neige ◆/h56TzYiHI (ID: lIcPUiXw)
2
今朝のアレは、何だったのか。
ドレッサーの鏡越しに見えた謎の男。思い出すと背中がゾッとする。
「ちょっと、美代ちゃん来て」
バイトの休憩時間、一人で温かいコーヒーを飲んでいるとテーブルに集まっていた先輩たちに呼ばれた。
「はい、何でしょうか」
先輩のうちの一人が私を椅子に座るよう促した。白い椅子をひき、私は腰を下ろす。
「ねぇ知ってた? この前バイトやめた片山さんいたじゃない。片山さんのご主人が自殺したんだって」
周りにいた人たちは、えーとかうわぁとかそれぞれ感嘆をあげていた。私も思わず眉間にしわがよってしまった。
片山さんは五歳上のとても優しい人で、まだバイトに入ったばかりの私を励ましてくれたりしたひとだ。ご主人の話もたまに聞いていた。
身近な分、他人事に思えなくてゾッとする。
話していた先輩が、みんなの様子を見て、また話し出す。
「なんでも、片山さんのご主人会社経営をやってて自殺する前の一ヶ月ほど生活も苦しかったらしいのよ。で、追い込まれて自殺をしたんじゃないかって……」
「やっぱり働きづめもよくないわよね。片山さん若いのにかわいそうだわぁ……」
皆があれこれのを私は呆然と聞いていた。ただ、怖かった。人が死ぬのは怖い。
「じゃあねー。お疲れ様」
今日のバイトが終わったのは午後七時だった。残っていた先輩たちに挨拶をして私は店から出る。マフラーをぐるぐる巻きにして冷えたアスファルトへ踏み出す。
あ、しまった。手袋を忘れたな。もうすでに冷たい指先を白い息で少しでも温めようとする。白い息が空へあがった。
帰ったら、プロポーズの返事をするの。そしてカレーを作ってあげよう。あっそうだった、スーパーよらないと。いいや、めんどうくさい。あのコンビニでいいか。
考え事をしながら、自転車が二台止まっている小さいコンビニにはいった。
「えー千二百十五円です」
がさがさとバックから財布をとりだす。中を開けるとレシートが一枚落ちた。
「あっ」
後ろに並んでいる人と店員さんが怪訝な目をしたので、レシートは拾わずにさっさとお金をはらって商品をうけとる。
そしてガサガサと食品のつまったビニール袋を片手に無心でアパートに向かう。
アパートの茶色い階段をカンカンと鳴らしてのぼっていく。二〇五の部屋の前に来て、ドアノブに手をかける。
ガッ
あれ、あかない。いつもはこの時間、必ず拓は家にいて「おかえり」って言ってくれるのに……。おもむろにおもちゃみたいなカギをとりだし、カギ穴に差し込む。
ドアを開け、玄関にはいるが電気もついていなかった。玄関に、食品のはいった袋と私バックをおいてずかずかとリビングに向かう。
テーブルの上に、拓からのメモ用紙で書かれた手紙を見つけた。
“美代”
とだけかかれた手紙。
2/end・・next
- Re: 偽装された幸せの裏には影 ( No.3 )
- 日時: 2011/01/16 14:28
- 名前: Neige ◆/h56TzYiHI (ID: lIcPUiXw)
あげ
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