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紅蓮の詩
日時: 2011/01/09 01:36
名前: 伊達落波 ◆2ZqkyGNmkg (ID: au7rBPzb)


初めまして。 伊達落波です。
クリック、感謝です!

では、早速注意事項行きます。


     **注意事項**
   
  1 作者、本気で初心者
  2 更新遅い
  3 意味不、何が言いたいの?状態
  4 荒らし、チェンメ嫌い
  5 挫折、放棄やるカモ((オイ




   

  『力』を持った人間たちによる悪足掻き、どうぞご覧ください——————

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Re: 紅蓮の詩 Act.0 ( No.1 )
日時: 2011/01/09 22:42
名前: 伊達落波 ◆2ZqkyGNmkg (ID: au7rBPzb)



   
    ————数年前、特殊な『力』を持つ者だけが足を踏み入る事の出来る学園が創設された。

 適合者(スイテッド)と呼ばれる者達が世界の人口の6割を占める時代。

  人間は生まれると同時に適合者かを調べるために施設に2カ月の間収容される。



     もちろん親による面会などは一切禁止される。



 適合者と診断された者は5歳になると政府の管理下に置かれ、学園に送られる。 


     学園では適合者としての能力を開花させ、社会でその『力』を十分に発揮させるための教育・訓練を積ませる。




   5〜11歳までは『力』の開花・制御までを習得する。

   12歳になると、『力』の知識・応用を学ぶ。

 12〜19歳までで7学年になり、20歳になると卒業とされる。


   休暇は年間に決まった日数だけ与えられるが、親との面会は許されていない。



学園を出られるのは約14年間の教育課程を修了した後か、『力』がなくなった時、または4年生の時点でランクが蒼の者のみである。



   学園へと送られた適合者は、自分の親の顔を覚えていないものが多い。


        学園を出た適合者達は、政府から指定された場所で一生働くことになる。



 学園の敷地全体を高い壁が囲んでおり、外部からの侵入・内部からの脱走は決して許されず、一部の者たちからは【快適な監獄】と呼ばれている。


学園は全寮制になっており、男子寮・女子寮の二つが存在する。




  適合者が『力』を行使する際は、《氣印》と《宝玉》が必要とされる。


《氣印》とは精気の一種であり、『力』の大きさ・タイプはそれぞれで異なる。

だが《氣印》を直接『力』に変換することは難しいとされ、その為の媒体として《宝玉》を使用する。


   《氣印》は体のどこかに痣として現れる。


  『力』には、戦闘向きのモノや日常で役立つ程度のモノなど様々なタイプがある。


 『力』の強さは行使する者の気力次第で変化する。


また、『力』にはランクがあり高い方から順に、朱・橙・翠・蒼と色づけされる。



 『力』は、大半が一生を通して行使することが出来るが、稀に生活の中で偶然開花するモノ・一時的に開花するモノ・使いすぎると体に負荷をかけるモノがある事が確認されている。

Re: 紅蓮の詩 Act.1 ( No.2 )
日時: 2011/01/10 00:37
名前: 伊達落波 ◆2ZqkyGNmkg (ID: au7rBPzb)



  _俺の一日はしつこく鳴り響く目覚ましの音で始まる。


「さっさと起きろよ、遅刻するぞ!」
「うぁ……ヤダ」
「ヤダじゃねぇ! さっさとしねえと朝飯食えねぇぞ!」
「あー、朝飯? ……ま、いいか」
「よかねェよ! 早く起きろ!!」
「うー。 分かったよ。 起きるよ、起きる。 だから、そのバケツの水捨てて」

煌夜は俺の後方をチラ見すると、一瞬停止した後のそりと、だが素早くベットから這い出る。
俺が後ろを振り向くと水道水のたっぷり入ったバケツを持った政宗が居た。

「あら、起きたの? なんだぁつまんない」

政宗はがっかりした顔で洗面所に水道水を捨てに行く。

「……ちょっと待て。 今の姿勢だと確実に俺も濡れるパターンだったよな?!」
「面白いじゃない」

洗面所から戻ってきた政宗はいけしゃあしゃあと答える。

「面白かねェよ!」

信じられねぇ!

_煌夜(おうや) 男
17歳 クラスメイト

_政宗(まさむね) 女
16歳 クラスメイト

「なー、維空ぁ。 俺の制服どこ?」
「そこかかってんだろ。 ちゃんと探してから聞けよ」

「ちょっと維空。 アンタあたしの青のノート知らない?」
「あ? 机の引き出しにねェの?」
「あ、本当だ」

「維空、今日の宿題なんだっけ?」
「数学Ⅰと歴史のワーク5ページ」
「嘘、マジで?」
「見せねぇぞ」
「大丈夫。 勝手に見るから」
「大丈夫じゃねえよ、それ」

「あ、そだ。 ねぇ維空、今日って体育ある?」
「あるけど?」
「え、嘘でしょ?! 体操服洗った」
「ジャージでいいだろ」
「ジャージ、貸して?」
「お前……」
「人助け」
「あのなぁ……」

毎朝の光景。
一言言わせてもらおう。

「俺はお前らの保護者じゃねえぇ!!」

_維空(いそら) 男
16歳 主人公

朝の食堂。
俺は朝はパンとコーヒーに決めている。
朝食をトレイに乗せ、俺と煌夜は窓側の3番目のテーブルにつく。 6脚のパイプ椅子が用意されている。
政宗は、仲のいい女子の輪に入って行った。

「毎日毎日、飽きないの? その組み合わせ」
「別にいいだろ」

煌夜の質問を一蹴し、顔の前で合掌してからコーヒーを一口啜る。

「よぉ、おはよう!」
「おす、おはよ」
「おー、おはよう」

クラスメイトが3人ほどやって来る。

「で、どうよ」
「どうって?」

クラスメイトは俺の向かいの椅子に座るなり身を乗り出す。

「んだよそれぇ。 お前なぁ、あの政宗と同じ部屋なんだぞ? それなのに、何だよそのリアクション!」
「あーあ、なんで俺らの部屋じゃないんだよォ……」
「部屋が来たねぇからじゃねえの? ギャハハハ!」
「お前に言われたかねェよ! 笑うな!」

ああ。 そういう事か。

「別に。 普通だよ、ふつー」
「普通ってわきゃねぇだろ! お前、政宗って言えばここで1、2を争うほどの人気を持つ魅力ある女だぞ?! そんな奴が同じ部屋に居て別にって訳ないだろ!!」

向かいに座るクラスメイトは俺を指さし一気にまくしたてる。
軽く唾飛んでんじゃねぇか、汚ねぇな。

「おい、煌夜。 お前なんかあるか?」
「んぁ? 何、政宗? あー……別にこれと言ってないなぁ」
「ホラな? て、おい煌夜。 俺のパンだぞそれ、返せ」

隣で朝飯にありついていた煌夜は窓を少し開け、外の鳥に俺のパンをちぎって投げている。

「あ゛っーーーーー! 変! 絶対変だぞお前らああ!!」

周りの奴らが、一斉に俺達の方を注目する。
  俺の朝飯は、ゆっくり静かに……なんていかないらしい。

Re: 紅蓮の詩 Act.2 ( No.3 )
日時: 2011/01/30 18:16
名前: 伊達落波 ◆2ZqkyGNmkg (ID: au7rBPzb)

 _授業は静かに受けましょう。


「次、入れ! おい、そこ煩いぞ!!」

教師の注意を受け、波が引くように教室が静かになるが次第にその騒がしさは戻って来る。 今は実技の授業だ。

「やっぱ、5年になると実技が多くなるよな」
「煌夜、それ昨日も聞いたぞ。 ボケるのはまだ早くないか?」
「維空。 お前なんか酷いぞ……」

煌夜は軽く落ち込んだように机に突っ伏した。

「次、氣印名称『炎獄』、『風神』! 早く来い!!」
「「ハイ!」」

俺と煌夜は同時に立ちあがる。

「維空、本気出せよ」
「いいのか? お前、負けちまうぞ?」
「誰に言ってんだよ」

互いに拳をぶつけ、教室の左右に分かれる。

教室は半円のような作りになっており、曲線になっている側に机が並んでいる。 机には約4〜5人ほど座れるようになっているので、各々好きなところに座れる事になっている。
そして前には教卓と黒板がある。 実技の授業では教室の席と教卓の間が約10メートルほど離れている。

実技の授業は、大体1対1で行われる。 教師の開始合図とともに『力』を使い、戦闘する。 どちらかが降参を宣言、または戦闘不能にすれば相手の勝利となると言ういたってシンプルなルールだ。

「では両方、準備は良いな?」

教師は俺と煌夜を交互に見る。

「行くぜ、煌夜!」

俺の『力』は『炎獄』。 火だ。 《氣印》は左手に出た。 ランクは橙。
左手から炎を出し、それをだんだんと細く、長くしていく。 長年この『力』と向き合ってきてこれが一番俺に合っていると思う。 炎を握りやすい太さ、振り回しやすい長さまで調節すると放出する炎の性質を変える。 硬化させるのだ。 後は軽く振り回して残った熱を冷ませば、俺専用の槍になる。

「いつでも来いよ」

煌夜の『力』は『風神』。 風だ。 《氣印》は右頬に出た。 ランクは橙。
専属の刀工により作らせた日本刀【蒼竜禧】と両足に風を纏う。 日本刀そのもので攻撃することもあるが、煌夜の場合『力』との組み合わせで威力の増大や鎌鼬を繰り出すなどがある。 両足に風を纏えば、スピードアップも可能だ。

「始め!」

教師の実技開始の合図で、二人ともほぼ同時に踏み出した。


「おらぁッ!」

槍を斜めに振るう。


  だが、それを上に飛んで避けた煌夜は一回転していとも簡単に俺の間合いに侵入してきた。


「甘いよ、維空!」


まっすぐに俺の右目を狙い突き出される刀。


「グ……ゥッ!」


間一髪、ギリギリで右目を避けたが右目すぐ下から鮮血が流れ出す。


「ちょーし、乗んなぁ!!」

槍を横に振るうが、軽々と後ろに飛んで避けられる。

  両足に風を纏わせているからこそ、ここまで身体能力を発揮できるのだ。

 実際、アイツが本気を出せば人間の限界以上のスピードなど簡単に出せるのだろう。


「いってぇなぁ……この野郎」
「いやだなぁ、油断していたのは維空でしょ」

そう言って刀を構える。

「次は簡単にいかせるか」
「どうかな?」


先に走りだしたのは煌夜。

下から上に向かって刀を振り上げる。
  その一撃を防いだ槍が上にあがり、腹ががら空きになる。

だが!


「甘い!!」


煌夜は俺の腹に蹴りを入れようとしたが、俺は『力』を発動させ煌夜の脚を炎で包み込む。


「ッ!」

瞬間的に風を足に発生させ、炎を消し飛ばす。

「……」
「……」
「……」


お互い無言で距離を取る。
煌夜の周りに風が集まる。 集まった風を刀に纏わせる。

「はぁぁぁぁ!!」

気合とともに刀を振り、無数の鎌鼬を作り出す。 それは全て一直線に俺に向かってくる。

「面白れぇェ!!」

槍の刃先に炎を纏わせ、襲いかかって来る鎌鼬を次々と切りつける。

  が、流石に捌ききれない鎌鼬が頬や手、足などを切りつけていく。
傷は浅いがこのままいけばいつか痛みに動けなくなるだろう。 それなら。

「来い! 狼呀!!」


俺の横に炎が集中し、やがてそれは形を整えていく。

『グルウゥゥッ』

姿を現したのは一匹の狼。 炎から形成された狼呀だ。

「やれッ!」

俺の号令で狼呀は咆哮を轟かせる。

『グルゥゥウガアアアアァァァアッッ!!!』

咆哮とともに炎が吐き出され、鎌鼬と相殺されていく。

だがそれでも狼呀の炎の隙間をつき、鎌鼬が襲いかかって来る。 それを槍で斬り捨てながら、


「止めろ、狼呀」

俺の命令に従い、狼呀は口を閉ざす。
   狼呀には、意思がない。 だから俺の命令に必ず従う。 炎に意思があるっていうのも変な気がするが、俺はあってもいいと思う。 その方が、面白いと思う。 絶対。

「サンキュ」

その一言で狼呀は吹き消えるようにいなくなる。

そして俺は、力強く床を蹴りだした。







   ◇      ◇     ◇



「ッててて! 痛てぇよ、あっ、つゥー……」
「全く、馬鹿じゃないの? 開始から1時間たっても決着つかないってどうなのよ」

先ほどの実技で怪我をした俺達を手当てする政宗。 実技授業は、1時間程立ったが全く決着がつかず、結局引き分け、という結果で強制的に終わらされた。 その後、政宗に怒鳴られながら保健室に二人揃って連れてこられたのである。

「いやぁ、中々負けを認めてくれなくて」
「何言ってんだよ! あのまま続けてれば、絶対俺の方が勝ってったつーの!!」
「いい加減にしなさい!」

政宗に一括され、俺も煌夜も黙る。

「全く、あんた達一体何歳なのよ。 ガキの喧嘩じゃあるまいし」

呆れてモノ言えない。 なんて言っているが、十分言えていると思う……が、そんなこと口が裂けても言えない。

「あら、また派手にやったわねェ」

そこに入ってきたのは、この保健室の主だった。 この先生、学園にやってきたのは2年前だったが、今ではここで1番人気があるんじゃないかと推測される人物だ。

「あ、すいません。 借りちゃって…」
「いいのよ、ああ。 そうだわ、そう言えば実技担当の先生が大分怒ってたわよ? これは呼び出しかもねぇ」
「そ、そんなまさか……あはは」

政宗、顔、引きつってるぞ。 笑えてないぞ。

「なぁ、維空。 後でもう一回ヤろうぜ。 絶対決着つけてやる」
「いいぜ。 負けねぇからな」

二人同時にニヤリと笑う。 その時、連絡入れる際に鳴るチャイムが園内に響く。

『えー、連絡します。 一回しか言わねぇからよく聞けよォ。 5年生の『炎獄』、同じく5年生の『風神』。 あと、『雷帝』。 今すぐ理事長室に来い。 1分以内にさっさと来ねぇと強制的に連行するから気を付けるよーに。 じゃ、そんだけ』

この気の抜けた話し方は……。

「理事長……みたいね。 今の」
「嘘だろ。 まさか理事長に呼ばれるなんて…」
「てか何であたしまで?!」

本当に何で政宗まで呼ばれたのだろう? さっきの授業じゃ何もしていないのに。

「俺、あの人苦手なんだよなぁ。 めんどくせーし」

煌夜は苦虫を噛み潰したような顔をして、顔から保健室のベットに倒れ込む。

「ほら、あなた達! 早くいかないと1分経っちゃうわよ?」
「あ、本当だ。 急がないと!」
「ゲッ、ここから理事長室って1番遠いじゃねえか……」
「風、呼ぼうか?」
「こらっ、許可なしでの『力』の使用は駄目よ!」
「じょーだんッスよ、冗談」

怒られた煌夜は煩さそうに軽く手を振る。 だが、今だにベットに顔をうずめたままだ。

「ほれ、さっさと行くぞ。 いつまでそうしてる気だよ」

  ズシン……ズシン……

「? 地震?」
「いや、違ぇよ……もう1分経っちまったみたいだな」

煌夜の顔が強張っている。 1分って……あ、強制連行……。

「逃げるべきか?」
「無駄だっつの……。 俺も前、風で逃げてみたけど一瞬で捕まったよ」

棚に並べられている薬瓶が一つ落ちる。 粉々に砕けた。 それと同時に保健室の入り口の先が真黒になる。

「あ、やべ。 入れねーや」

どこからか、少し低めの女の声がした。


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