ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- あ、ざ、け、り。
- 日時: 2011/01/09 11:27
- 名前: 夜深 ◆4QOlS8qZ.. (ID: a6i4.RaK)
Hello.
シリアス・ダークでよく挫折する詩人・夜深です。
今回は真面目に全部書いてやろうと思っています。
いっつも挫折して心の中で後悔の念だけが、どうしても残るので・・・。
***
"ねがいをかなえて、おほしさま"
小さな頃、あたしは星に願った。
"かわいくてやさしい、すてきなおひめさまになりたい"
"ねがいをきいてくれ、おつきさま"
小さな頃、僕は願った。
"かっこうよくてつよい、すてきなおうじさまになりたい"
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- Re: あ、ざ、け、り。 ( No.1 )
- 日時: 2011/01/09 11:59
- 名前: 夜深 ◆4QOlS8qZ.. (ID: a6i4.RaK)
1番星:『放射状の想い』
昨年の秋、行われた文化祭。
その中のイベントに、「美人コンテスト」という陳腐で陳家な催しがあった。
私は出たくなかったけれど、
憧れの藤原先輩が出場することもあって、私はこれに出場してしまった。
そして結果は。
何故か一位。
その途端に、クラスメイトたちの態度が変わった。
クラスの中心的存在の岩浪リカコとその取り巻きが、
「ねぇ、毒花ちゃん。一緒にお弁当食べましょうよぅ」
とか何とか、吐き気のする女子特有の甘い声で言ってきた。
フン、何が一緒によ。
私は彼女たちをキッと睨みつける。
すると、すぐに逃散していく。
岩浪たちは体育の授業になるといつでも陰険な感じでひそひそ話をしている。話題は専ら、何の根拠も無い馬鹿な恋愛話とクラスメイトや同級生たちの悪口、批判、誇張、エトセトラ。
ああやって集団でいると楽しいとは思うけれど、
一人でいると倍楽しいことを彼女らは知らない。
一人でいるとほぼ確実に面倒事に巻き込まれたりしないし、何よりも縛られることがない。
そう、自由。
一人って自由なんだ。
いつでも好きな時間に考え事や読書をしていられる。
昼休みに一人でぼんやり窓の外を眺めたっていいし、
図書館に行ってたくさんの本を借りてもいい。
よし、今の昼休みはぼんやり外を眺めて過ごそう。
休み時間、唐突にクラスメイトから、
「一緒にお手洗い行こー」とか
「一緒に職員室来てくれるー?一人じゃイヤだし」とか
「ちょっと聞いてよ。○○ってば××と喧嘩してるんだってー。しかも理由が男の取り合いで、」とか
変な話を持ち込まれたりしないからだ。
小学生までは、人に適度に話して、話しかけられていたけれど。
やっぱそういうのも面倒だからやめた。
人付き合いって大変。
相手に合わせなくちゃいけないし、相手のご機嫌取りを永遠にさせられて。
話合わせられないし、うまく笑えないし。
だから人付き合いって嫌い。
「彼岸さん。数学のワークの答え貸してくれる?」
あぁ、また誰か来た。
教室の一番隅の席の、野球部員。確か、名字は加藤。
答えをファイルから探して、加藤に渡す。
すると、彼はありがとうと嬉しそうに会釈する。
美人コンテストなんて。
そんなものが実際にあるなんてありえない。
私が優勝するのもありえない。
"かわいくてやさしい、すてきなおひめさまになりたい"
この夢は、小さな頃からの夢だけど。
やっぱり、ちやほやされるのって苦手。
そんなのじゃ、かわいくてやさしい人になんてなれっこない。
私はひとりっ子だし、捨て子だし。
ま、しょうがないかなぁ。
5時間目を告げるチャイムが鳴る。
ガララと教室の扉が開いて、髪を一纏めにした長身の英語教師がやってきた。
そして、「早速小テストしますよー」とか言って、英単語のプリントが配られる。
彼岸毒花。DOKKA HIGAN____
これが、私の名前。
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