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籠の中のアリス
日時: 2011/01/11 15:56
名前: 白螺旋 (ID: e.JI7EiC)

初めまして。
クリック有難うございます!

本当は前にも通っていたんですが、この名前ではここが初めてです。

この話は、『不思議の国のアリス』を題材にした暗めの話にしようと思っています。
違う名前で別の所で書いたことがあるんですが、気にしないでください。

挫折しないように頑張りますよ><

アドバイスなどあれば、ぜひ書き込んでくださいm(_ _)m


(ジャンル:現代・ファンタジー)



◆目次

序章 >>001
お茶会ノスタルジア >>002,>>003

Page:1



Re: 籠の中のアリス(準備中) ( No.1 )
日時: 2011/01/11 14:47
名前: 白螺旋 (ID: e.JI7EiC)

/ 序章


——お嬢さん、お嬢さん、そんなに慌てて何処へ行く……?



「はあ、はあっ、はあ……っ」



 夢中で走りながら、何度も感じる。
 私に話しかけるその声を。

 優しくて、とても柔らかくて……私をまるごと包みこんでくれそうな、それ。

 けれど声の聞こえる後ろを振り向いても、誰かが見える訳じゃない。
 だからまるで、私の頭の中で声が響いてるような錯覚を起こしてしまう。

 そしてそのせいか、私はこの声が、怖いと思う。


「はあ、はあっ……」


 息が荒くなっていく。胸が苦しくて仕方がない。

 なのに私は走ることを止めない。


 どうして?


 分からない。なぜ私は走っているの。
 この声が怖いから?

 我ながら変だと思う。
 自分が行動している理由が分からないなんて……


「……あっ」


 気付かなかった段差に、見事に足を引っ掛ける。
 突然のことに反応できなかった私は、とうぜん前に転倒した。


「いっ……た…………」


 こうして何度も変なこけ方をしているせいで、制服はしわだらけでボロボロ。

 もう嫌、なんて呟いてみるけど、ここで嘆いてる暇は無い。

 スカートを軽くはたき、また前へと走り出す。


 私は、何に焦っているの?


 私は走り続ける。
 その理由が分からないまま。

Re: 籠の 中の アリス ( No.2 )
日時: 2011/01/11 15:07
名前: 白螺旋 ◆gyKWDbomo6 (ID: e.JI7EiC)

/ お茶会ノスタルジア 01



「……りさ…… 有紗……」


 どこからか、聞き慣れた幼い声がした。

 デジャヴだろうか、こんな体験を前にもしたことがあるような気がする。
 声は違ったかもしれないけれど。

 私はここで、自分を呼んでいる人に反応するべきだろうか。
 けれどそうしても、きっとつまらないと思う。

 少なくとも私が今いる、心地よくて温かいこの場所から、強制的に放り出されそうな……
  

 
「——有紗!」



 突然、耳をつんざくような声が思考に入り込んできた。

 そこでやっと私は現実に引き戻される。


「……………あ……?」


 ゆっくりと、腕にうずめていた顔を上げる。
 視界に広がる光に、思わず眉をひそめた。


「有紗、爆睡しすぎだって…… もう終礼終わりましたよ!」


 声の方に首を向けると、見慣れた顔がそこにあった。
 

「あ…… 早苗……」


 眠い目をこすって、重いまぶたをなんとか持ち上げる。

 とりあえず辺りを見渡すと、ここが間違いなく自分の教室であることが分かった。
 つまり居眠りをしていた、ということも容易に理解できる。


「おはよっ。
それにしても、有紗が寝るなんて珍しいねー」


 改めて早苗、声の主を見た。  
 
 彼女は自分の鞄を持ち上げながら、早くも「帰るよん」なんて呟いている。ちょっとは待ってほしい。

 私は慌てて席を立ち、鞄の用意をし始める。


Re: 籠の中のアリス ( No.3 )
日時: 2011/01/11 15:56
名前: 白螺旋 ◆gyKWDbomo6 (ID: e.JI7EiC)

02



「早苗、私いつから寝てた?」


 ドアにもたれかかっている(一応待ってくれているらしい)早苗を見やりながら、私は訊いた。


「んー? えっとー、確か数学の時だったから……
5時限目くらいかな?」


 一瞬だけひやりとした。まさか2時間も寝るはずがない。


「…………本当は?」

「……終礼が始まる前から」


 こいつめ。
 私は準備の出来た鞄を肩にかけ、ちょっとだけ早苗を睨む。


「有紗、なんか病んでたの?」

「何が?」


 唐突に聞いてくるものだから、思わず目を見開ける。
 高校2年生にして幼げで純粋そうな声を持つ早苗だけど、言うことはそうじゃなかったりする。 

 
「だって、有紗が教室で寝るとかホントに見たことなかったもん。
なんか悩み事?」


 ……少し前言撤回。
 純粋に心配をしてくれることがあったりする。


「んー。別にそうじゃないけど、なんかものすごく眠くて。
てか、寝たっていってもホームルームの時だけでしょ?」


 何か、夢を見た気がする。
 どんな内容かは覚えていないけれど…… あんな短い間で、夢など見れるものなのだろうか。


「——あ、坂上!」


 不意に後ろの方から、野太い声で自分の名を呼ばれた。
 今日は呼ばれることが多いな、なんて思いながら振り向く。



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