ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 堕ちる背徳
- 日時: 2011/01/12 16:57
- 名前: 綯草 ◆STPWdde6uc (ID: 2tJjIFjC)
違うのに…。
僕が望んだ世界はもっと崇高で素晴らしい世界なハズなのに…。
こんなの…
僕の望んだ世界じゃ…無い。
誰か…
誰か…
誰か此処から出してくれ。
頼む。。。。
頼む。
誰か!!!!!!
ボクガクルッチャウカラ。
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一話目『狂』>>1
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- Re: 堕ちる背徳 ( No.1 )
- 日時: 2011/01/12 17:11
- 名前: 綯草 ◆STPWdde6uc (ID: 2tJjIFjC)
〜狂〜
「ん…っ」
妙な感覚に包まれながら私は目を覚ました。
「ここ…は??」
頭が割れるように痛い。脳内で誰かが悲鳴をあげているようだ。
「………」
周りを見渡すとコンクリートで作られた無機質で生活感のない部屋が広がっていた。
「…え??」
思わず漏らした声は1mほど頭上より高い天井に吸い込まれていった。
窓や扉などは無く、コンクリートの壁と床の上に雑に置かれた白いテーブルとソファ、それから私が今いるベッドしか無い。
「…」
言葉には表しにくい感覚が身体を支配して行く。人間の本能的に感じる感覚なのだろうか?『此処から逃げろ』と誰かが耳元で囁いているようだった。
「…おかしぃ…でしょ。」
無機質な空間からどうにかして出ようとして身体を起こしてベッドからおりるとコンクリートのひんやりとした感覚を受けた。
ベッドの周辺を見ても靴やスリッパなどが無い。…このまま裸足でいろという事だろうか??
「誰…かぁ…いません…かぁ??」
駄目もとで声を出してみる。
『アナタはココかラでタイですカぁ???』
中性的で性別の分からない声が私の脳内に響いた。
「…えっ??」
その不気味な声は通常の゛音"のように外部から聞こえてくる感じでは無かった。自分の体内で…底から聞こえてくるような生理的に受け付けられない声。
『ダァかぁらァっ!!アナタはココからデたいンですカぁ??』
その声は少し苛立ったような声で私にまた聞いて来た。
「ぁ…っ!!出たいに決まってるでしょ!?早く出してよ!!」
体内から響いてくる寒気のする声に私は大声をあげて返事をした。
『ソウ…ですカぁ…。じゃア…これカら行うゲーむをやってクりあしたら…ダしてあげまスよ。』
残念そうに声を少し低くなった声はそう言うと聞こえなくなった。
そのかわりにいつの間にか机の上にさっきまで無かった紙切れが置いてあった。
「…??」
その紙切れを手に持って中身をみるとゴシック体で書かれた文字が目にうつった。
【※今から貴方には真実を話して貰います。
嘘はつかないで下さい。ついた場合、貴方には
この部屋から出る権利を破棄したと見なします。※
それではひとつめの質問
貴方の名前は何ですか??】
意味のわからない質問に戸惑いながらも時間制限なんかがあったら大変なので私は慌てて質問に答えた。
「私の名前…は、湊 悠梨!!」
恐怖からか声が自然と震えてしまう。…怖い。これから何も無ければ良いけど…。
またその紙に目をうつす。
「…え??」
驚愕した。その紙に書いてある文字が変わっていたのだ。
【1問目は真実のようですねそれでは
2問目です。
貴方の卒業した小学校は??】
「…南山小学校。」
【貴方が初めて飼った動物は??】
「犬」
【貴方が好きな食べ物は??】
「オレンジ。」
【貴方と初めて付き合った異性の名前は??】
「高橋雄太君。」
…そんな感じで数十分間もくだらない質問の受け答えを続けた。すると丁度100問目の問題が違う雰囲気の問題だった。
【貴方は人を殺した事がありますか??】
身体が震えた。…私は…人を……殺した事が…あるの??
…その瞬間、脳裏に映像が流れ出した。
…初めて付き合った彼氏…高橋雄太君が私の隣にいる。楽しげに笑っている。
…私は、高橋君を嫌いだった…。そうだ、付き合ったのも…禁止されてたバイトをしているのをバラすと脅されたからだったんだ…。
「……!!」
手のひらに当たる感覚。何か、太い何かを握りしめ、力を注いでいる。握りしめられているのは…
高橋君の首。
グチャァッ!という喉の潰れる感覚。全てが鮮明に蘇った。…そうだ。私は…ッ私は6前…中学3年生の時…当時付き合っていた彼氏…高橋雄太君を殺めたんだ。
「…ッハァ…ッハァ…ハァ…ハァ…ッッ」
息が荒くなる。手にはあの時の感覚が染みついているのかまだあの生温かい高橋君の首が握られているようだった。
【貴方は人を殺した事がありますか??】
私の目に飛び込んできた文字。それは…私の罪を確認するようだった。
「えぇ!!あるわよっ!あの夜…無理矢理私を押し倒して来た高橋君の首を絞めて殺したわよっ!!でも…ッしょうがないじゃない…ッ!!あぁぁああぁぁあぁぁぁあぁあああぁッッッッ!!!」
大声で叫んでいた。声が出なくなると思う位大声で。私は…私の罪は———————……
「警部、湊 悠梨が事件についての容疑を認めました。」
若い男が中年の男に向かって言った。
「…そうか。なかなか口を割らなかったからな…最終手段だよ。…大財閥の高橋家の息子を殺したんだ、時効で逃がす訳にはいかないからね。ハハハハッ」
高笑いする男の声は殺人者の女には決して届かない。
「ダッテショウガナカッタノヨ。」
コンクリートの壁が開き、警察官に手錠をかけられながら女は泣きながらそう言った。
- Re: 堕ちる背徳 ( No.2 )
- 日時: 2011/01/12 17:06
- 名前: 綯草 ◆STPWdde6uc (ID: 2tJjIFjC)
初めましての方が大半だと思います。この度、小説『堕ちる背徳』の一話目【狂】を読んで下さり有難うございます。
このような少々毒のある短編集を書いていこうと思います。
尚、『オチが読めてしまった』と言った場合には教えて頂きたいです。
一話目はわりとオチをわかりやすく書いたつもりですが分かりにくい場合がありますので解説を入れさせて頂きます。
主人公の湊 悠梨は6年前、当時付き合っていた彼氏を殺害してしまう。
悠梨は自らの罪を認めず警察もお手上げ状態だった。
そしてとうとう時効が迫っていた事件に焦った警察が悠梨を密室に閉じ込め、自ら自白させるような状況を作り、精神的に悠梨を追い詰めて自白させる…というだけの内容です。
つまらなくて申し訳ないです。
実はこれは人体実験の話で罪など全くない悠梨を狂わせる〜…という科学者の話にしようか
どちらにしようか迷ったのですが短編集と言う事で早く完結出来そうなこちらの内容に致しました。
盗作等はしておりませんのでご了承を。
尚、警察ではこのような取り調べや事情聴取は一切行っておりませんのでお願いします。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
誤字や脱字を教えて頂けると有難いです。それでは2話目をお楽しみください。
- Re: 堕ちる背徳 ( No.3 )
- 日時: 2011/01/15 08:07
- 名前: 綯草 ◆STPWdde6uc (ID: 3GYfQUHD)
纏
6月5日(金)
いつもと同じカフェ。貴方の姿を見つけると私の胸は躍り出す。
私を見つけて少し笑顔になる貴方は私が大好きな人。
私の元に歩み寄って来て
「今日は映画でも行くか…??」
何て。私は貴方の行く所ならどこでもいくのにね。
映画館に向かって2人で歩き出す。さりげなく私の歩幅にあわせてくれる貴方。
普段は無口で素っ気ないけどそういう所はマメな貴方。
ちょっと古いアメリカの恋愛映画を2人で見たの。
…映画館はすごくすいていたわ。
きっと私と隣に座りたいからそうしてくれたんじゃないのかな…??
映画のラストは主人公とヒロインが結婚して幸せな家庭を築いたの。
映画が終わって元々少なかった他のお客さんが映画館から出ていくと貴方は小さな声で呟いたわ。
「いつか俺達もあんた風になりたいな。」
って。その言葉はすごく、凄く幸せな言葉だったの。
「…私も。」
小さな声で私が返事をして頷くと貴方は恥ずかしそうに俯いて映画館を出ていく。
…ちょっとストレートに言い過ぎちゃったかな…??
シャイで恥ずかしがり屋で無愛想で無口で…友達に今まで何回
『そんな奴の事諦めな』
って言われたんだろう…??
…でも良いの。私は貴方の傍にいられるだけで良いから。
「あ…っこの後、大学だよ…ね。」
貴方がこの後大学の授業があることを思い出して私が言うと貴方は申し訳なさそうに頷く。
「大丈夫。貴方が次バイトも大学も無いのは〜…月曜日だね。また会おうね。」
貴方の態度はすごく可愛かったけどあんまり私と一緒にいると貴方が自分を問い詰めるかもしれないから私は早く自分の家に帰るわね。
嗚呼...でもやっぱり別れるのって辛い。後ろを振り向かないで、貴方を見ないようにして家路につくの。
- Re: 堕ちる背徳 ( No.4 )
- 日時: 2011/01/15 08:33
- 名前: 綯草 ◆STPWdde6uc (ID: 3GYfQUHD)
6月8日(月)
貴方に会える日はいつも出来るだけのお洒落をして行くの。
少しでも貴方につりあう、素敵な女になりたいから。
いつもと同じカフェ。いつもと同じ私を待っていている貴方。最近は読書をして私を待っていてくれる。
「…あ…れ??」
思わず声を漏らしてしまった。
貴方の隣には私の知らない女性。ロングヘアの茶色い髪が良く似合う綺麗な女性。
貴方はその女性とお茶を飲みながら楽しげに話していた。
…きっと貴方は人気者だから勘違いした女が付き纏ってるだけ…よね??
「…は??」
私はまた、声を漏らした。
女が貴方に向かってケーキを差し出している。
「はいっ♪あ〜んっ」
何て言う楽しげな声が今にも聞こえてきそうだわ。
貴方は嫌がる素振りも見せず女が差し出したケーキを口に入れる。
…どういう事…………???
胸がジクジクと痛みだす。貴方が…浮気をしているの??浮気なんか良くないわ。
…嗚呼...そういう事なのね。
私はようやく納得した。貴方の好みは可愛い系の子。でも貴方の前の女は凄くキレイ。
…迫られて仕方なく付き合ってるのね。
…気の毒だわ。貴方は優しいからきっと断り切れなかったのよね。大丈夫。私が何とかしてあげる。
6月9日(火)
女は近くの会社のOLとして働いているみたい。
…誰にでも色目を使う男好き。許せない。許せない。純粋な貴方をもてあそぼうとしているのよ。
女の帰る時間を調べて女が家に帰って来た時に私は女の家に電話をかけるの。
「もしもし、坂井です。」
女の声を聞くと寒気がした。…と同時に緊張で声が出なくなってしまった。
「…??もしも〜し。。。」
女は少し動揺している様子だった。…このままでいたら本性を現すかもしれないわ。
「…もしもし〜??」
「…切りますよ〜。」
ガチャンという音を立てて電話を切られてしまった。急に切るなんて酷いわ。あ、そうか。言葉で伝わらないなら文字で伝えれば良いんだわ。
『別れろ。』
これしか書かなかったけど伝わるわよね。ファックスで…多い方が伝わるわ。何回も何回も別れろっていう私からのメッセージを送り続けるわ。
…あれから数日。私は貴女の家を見ています。貴方と女は深刻そうな顔をしている。…やっぱり。そろそろ別れるのよね。
「何なのよ…ッストーカーの癖にっ!!!」
「…もう、警察に言ったから大丈夫だ。落ちつけ。」
女の肩をさすりながら貴方は意味不明な会話を続ける。
「…もう、嫌よ。」
「大丈夫だから。」
…どういう事??ねぇ、ねぇねぇねぇ。私と最近会ってくれない。
…不安だから貴方の家に電話をかける。一瞬怯えた目をする貴方と女。
「…もしもし。」
電話を出てくれた貴方。ずっと、ずっと貴方が大好きなの。
「…何で??浮気しないでよ。私だけを愛してよ。」
やっと言えた私の本音。これできっと貴方は私のもの。私の気持ちに気がついてくれる。
『バァンッ!!!』貴方の家の中が良く見える場所に買ったマンションの私の部屋の扉が勢いよく開く。
…やっと貴方が来てくれた。大好き。愛してるわ。
『次はストーカーについてのニュースです。』
テレビ画面にうつし出させる映像は俺の家の近くだった。
『東京都港区に住む無職の女が昨晩未明ストーカー容疑…』
これで終わったんだな。小さな安堵のため息を漏らすと隣にいた婚約者…リエも安心したような表情になる。
「なぁ、リエ。俺はお前の事を愛しているんだよ。」
「…貴方みたいなストーカー…死ねば良いのよ。」
…リエはなかなか素直に感情表現をしてくれない。俺がずっとリエの事を好きだったから、今も好きだからリエが離れないように俺の家から出られないようにしているのに…。
「ストーカー男。」
「愛してるよ。」
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