ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

banpaia─吸血鬼─ オリキャラ募集中
日時: 2011/01/22 11:13
名前: 黒髪 白夜 (ID: clpFUwrj)

†登場人物†

†夜槻 影乃† kageno yatuki
 影乃は゛魔人゛である。夜な夜な血を求めて彷徨う゛ヴァンパイア゛。しかし、彼女に牙が無い。ヴァンパイアの珍種、太陽も平気、大蒜も平気、しかし、代償は゛血゛が吸えない事───・・・。
「触るな!私は・・・・ああ!」

†雪永 蒼衣† aoi yukinaga
 彼はヴァンパイア。美女の血を求めて夜を彷徨う。ふと、影乃に目が付いた。人間なのに人間じゃない。この子は血が吸えない珍種のヴァンパイア。昔聞いたことがある。珍種のヴァンパイアは純血の持ち主と。
「君の血を吸わせてよ」

†オペラ† opera
 影乃に使える執事オペラ。礼儀正しく頭を下げた。この使える執事もヴァンパイア。執事は主人の血を吸うことを禁じられている。吸えば、家ごとに処罰する。死刑になることもある。それは存じている。ここは、人間界。夜槻家は他にいない。少しなら───・・・・・。
「お嬢様の分、私が血を吸って差し上げますよ」

†冬管 続† zoku huyukuda
 狙った血は逃さないという魔界でも有名な続。その目に付いた今度のターゲットは影乃。血を追う。すべては生き残るため。
「俺にはお前の血が必要なんだ」

†夜垣 託† takusu yorugaki
 影乃に興味を持ち始めた託。純血の血を吸うのは只一人しか許されない。一人しか吸えない。純血の血は全て吸ってもいいのだから。
「俺はお前の血が欲しい」





Page:1 2 3



Re: banpaia─血─ ( No.1 )
日時: 2011/01/19 16:45
名前: 黒髪 白夜 (ID: clpFUwrj)

†プロローグ†

────私の血は 誰にも渡さない

        私は 生き残る
  
      絶対に 誰にも渡しはしない

Re: banpaia─血─ ( No.2 )
日時: 2011/01/19 17:52
名前: 黒髪 白夜 (ID: clpFUwrj)

 森の奥にある黒い教会。扉を開けると蝙蝠が飛び立った。一人のゴシック・ロリータの服を着た少女が銀髪の髪を揺らしながら出てきた。その少女の後ろには執事が一人付いてきた。

「・・・・血の匂いがしないか?」
「そうですね。お嬢様」

 少女の問いかけに執事が答える。
 少女の名前は夜槻 影乃。影乃は゛魔人゛である。夜な夜な血を求めて彷徨う゛ヴァンパイア゛。しかし、彼女に牙が無い。ヴァンパイアの珍種、太陽も平気、大蒜も平気、しかし、代償は゛血゛が吸えない事───・・・。
 影乃の血は純血の血だった。他のヴァンパイアが狙う、純血の血は、どんな血より甘く、濃い味わい。世界で一人の純血の血の持ち主。しかし、影乃はまだ一度も吸われた事が無い。この森深くに、執事と一緒に身を潜めていた。

「オペラ」
「なんですか?」

 オペラと呼ばれた執事は答えた。魔界から共にやってきた夜槻家の執事。この使える執事もヴァンパイア。執事は主人の血を吸うことを禁じられている。吸えば、家ごとに処罰する。死刑になることもある。

「私は狙われている」
「ええ、存じて降ります」
「・・・・私は誰にも吸わせない」
「・・・・・」
「絶対に」

 遠くを見る。決意が現れる厳しい顔。

「お嬢様が襲われたときは私が命を掛けてお守りしましょう」
「・・・・・助かる」

 クス、とオペラが笑う。
 影乃が歩き出す。影乃は森の中から出られない。森の中を散歩する。影乃とオペラは森の奥に入っていった。



「臨機・突風桜花」

 ばあ、と桜が舞う。別の場所に桜の舞が現れた。そして舞が消えると一人の少年が現れた。黒いゴシックの服。ズボンには銀のチェーンが下がっている。
 彼はヴァンパイア。美女の血を求めて夜を彷徨う。ふと、影乃に目が付いた。人間なのに人間じゃない。この子は血が吸えない珍種のヴァンパイア。昔聞いたことがある。珍種のヴァンパイアは純血の持ち主と。
 口元が笑う。牙が二本光る。

「くく」




───その夜

「では、お嬢様。失礼します」
「ああ」
「今夜もお嬢さまが良い夢を見られますようにお祈りいたします」

 そういって、部屋を出て行く。そのまま、影乃は眠りに付いた。





 窓が小さい音を立てて開く。風と満月の光が入ってくる。夕暮れの時の少年だ。きっと、影乃の血を吸いに来たのであろう。
 ギシ、とベットに手を置くと軋む音がした。影乃に顔を近づける。そして、口元は、首筋に──・・・・。

「やめて」

 影乃が目を開けた。少年がばっ、と離れる。小さく舌打ちした。そして、顔を上げる。

「気づかないとでも思った?」

 睨む。すると、少年は影乃の両手を片手で上に押し付けた。顔を再び顔が近づく。

「やっ・・・やめ・・・・っ」

 暴れた。しかし、口を塞がれて「しー」と言われた。

「君の血を吸わせてよ」

 笑う。口が首筋に近づいた。

「触るな!私は・・・・ああ!」

 


───少年の唇が  首筋に触れた。

Re: banpaia─吸血鬼─ ( No.3 )
日時: 2011/01/20 16:30
名前: 黒髪 白夜 (ID: clpFUwrj)

 満月の夜。森の中の大きな黒い教会。満月の光が直接差し込む部屋の窓が開いていた。ベットの上には、少年少女が二人───・・・・・。

「やめ・・・・っろ!」

 ばっ、と少女が少年を蹴った。しかし、少年はひらり、と身を翻しベットから降りた。
 影乃の吐息が激しい。首をつかみながら少年を睨んでいる。

「何のつもり?」
「別に。血が欲しかっただけだよ」
「な・・・・に・・?」

 影乃はまだ警戒状態だ。

「僕は雪永 蒼衣。ヴァンパイアだ」
「そんなこと、聞いてないわ」

 クス、と蒼衣が笑った。

「何よ」
「猫みたいだなー、と思って」
「ふざけた事を」

 すっ、と短剣を取り出す。

「私は狙ったやつは殺すことにしてるの。貴方も失敗して、可愛そうね」
「臨機 銀白夜風」

 ぶわっと、風が強く吹く。再び目を開けると、蒼衣はいなかった───・・・・。

Re: banpaia─吸血鬼─ ( No.4 )
日時: 2011/01/21 17:53
名前: 村瀬 奏 (ID: clpFUwrj)

 首筋を冷たい手で触る。先程まで感じなかった滑りが首筋を通って手に伝わった。

「・・・・・・っ!」

 手を見る。手が黒い液が付いていた。


 吸われていた───・・・・。



「・・・・っ!嫌だ・・・・嘘だ・・・・」

 頭を抱える。

「嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ・・・・・・っ」
「お嬢様・・・・・?」
「オペラ・・・・・」
「どうなされま・・・」

 言い終わらない内に影乃がオペラに抱き付いた。オペラが茫然とした。無言に時が過ぎる。時計の音だけが無情にも響いた。そして、オペラが気付いた。首筋の、噛まれたあとに。血がつー、と流れていた。

「・・・・ぅ・・・」

 オペラが少し唸る。影乃は気がつかなかった。
 甘い血の匂いがする。全身の血が騒ぐ。片手で影乃を軽く抱きしめ、片手で頭痛のする頭を押さえる。


──────吸いたい。


 吸ってはいけない。自分は執事の実。それは存じている。ここは人間界。夜槻家は他にいない。少しなら────・・・・。
 影乃の首筋に口を近づける。

「え・・・・?」
「お嬢様の分、私が血を吸って差し上げますよ」

 信じられないオペラの言葉。阻止する。両手で押すがピクリ、とも動かない。

「・・・・・オ・・・・ペラ・・・・っ!」
「・・・・!」

 ばっと離れる。正気に戻った。

「申し訳ございません」
「いや・・・・いい。お前も吸血鬼だからな・・・・・。仕方ないだろ。・・・・・・びっくりしたが」
「・・・・・・っ」

 言葉を詰めた。頭を下げて出て行った────。


 




Re: banpaia─吸血鬼─ ( No.5 )
日時: 2011/01/22 11:05
名前: 村瀬 奏 (ID: clpFUwrj)

「・・・・・・」

 部屋から出て行ったオペラは廊下で立ち止った。影乃の血を吸おうとしたのは、不覚だ。承知していた筈なのに、欲望に負けてしまった。最大の不覚だ。自分で言ったではないか「お嬢様が襲われた時は私が命をかけてお守りしましょう」と。後悔の感情が胸一杯に広がっていった。痛む胸。かわりに治まっていく頭痛。・・・・・・後悔。

「お嬢様・・・・・」

 呟いた。そして、夜が────明けていった。




第二章†純血の行方†

 影乃はオペラの前に座って包帯を巻いてもらっていた。乾いてしまった血をガーゼで拭きながら包帯を少しずつ巻く。気まずい不陰気。ずっと無言の時間。オペラが包帯をピンで止めて手を離した。息を大きく吐く。

「・・・・できました」
「あ、ああ。悪いな、オペラ」

 すっ、とオペラが立つ。出て行こうとすると、影乃が服の端を摘まんだ。

「・・・・どうしました・・・・?」
「・・・・・・・」

 無言。しかし、ゆっくり口を開く。

「少し・・・・ここにいてくれ・・・・」
「・・・・・・わかりました」

 ストン、と椅子に座る。しかし、会話がない。静かだった。


Page:1 2 3



この掲示板は過去ログ化されています。