ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- —未設定—
- 日時: 2011/01/22 21:45
- 名前: 亜姫賭 ◆wYUuBm6d7Q (ID: zhJsOmgG)
こんにちは。
小説書くのは、初心者中の初心者です・・・。
題名すら、決まってないし・・・。
ものすごい下手ですが、読んでくだされば嬉しいです。
>>1 プロローグ
Page:1
- Re: —未設定— ( No.1 )
- 日時: 2011/01/22 21:43
- 名前: 亜姫賭 ◆wYUuBm6d7Q (ID: zhJsOmgG)
プロローグ 紅き月と戻れぬ日々
暗闇の中、紅色をした月が場違いなほど明るく輝いている。
その月光に照らされた野を、紅の豪奢なドレスをまとった女性が歩い
ている。女性はふと立ち止まると、空を見上げて言った。
まるで、誰かに話しかけるように。
「今宵は、真に月が綺麗だな。
本当に・・・この世ならぬモノのようだ」
『この世ならぬモノのよう』
ならばそれは、何処の世界のものなのだろうか?
女性は独りそんなことを考え
「わらわは何をしているのじゃろうか・・・?」
そして、「くふふっ」と含み笑うと、またゆっくりと歩き出した。
紅色の月が場違いなほど明るく照らし出す野を。静かに、しかし
時折「くふふっ」と笑い声を洩らしながら。
楽しそうに
面白そうに
そして 溜息をつきながら月を眺め
「ああ なんて 奇麗な 綺麗な 紅い月。
狂おしいほどに紅く輝く月よ わらわは汝が羨ましいぞ・・・」
その時、一陣の風と共に背中に翼を生やした黒服の男が現れ、恭しく
跪くと言った。
「主人様、お客様がお見えになっております。即刻、亡き者にいたし
ましょうか。我が意思は主人様のもの。ご命令下さい」
頭を垂れる男を前に、女性は冷ややかな笑みを浮かべ、
「ふふふ、その必要はない。そいつに、我が屋敷にどうやって入り込
んだのか訊いてみてくれ。その後は——分かっているな?」
「かしこまりました」
男は静かに頷き、数回羽ばたくと夜空に消えた。
それを見送ると、口元に微笑をたたえて女性はまた歩きだした。
- Re: —未設定— ( No.2 )
- 日時: 2011/01/22 21:44
- 名前: 亜姫賭 ◆wYUuBm6d7Q (ID: zhJsOmgG)
*
薄暗い。といっても、人影があることが何とか分かるくらいの暗さ。
ステンドガラスのはめ殺し窓のある建物の内部。大広間のような場所
の大理石の床に、一滴の血が落ちた。続いて銃声が鳴り少年のうめき
声が聞こえ、静寂が辺りを包んだ。
だが、それは一瞬にして破られた。
突如ステンドガラスの窓が割れ、光を全身に纏った少女が飛び込んで
きたのだ。少女は飛び込んでくるなり、自分の纏う光で明るくなった
大広間を見回し、床の血、うめく少年。そして剣を手にして立つ男を
順に見つめ、
「そんな・・・いやああああぁぁぁぁっ」
凄まじい悲鳴をあげた。その声を聞き、肩から血を流している少年が少女目掛けて突進した。少年は突進してきたそのままの勢いで泣き叫ぶ少女を遠慮なく突き倒すと、少女のワインレッドと紫のオッドアイの目を見つめ、
「大丈夫。生きているから、お前は光を消せ」と早口で言い、飛び起きると周りを見回した。少女も起き上がり、光を徐々に消していく。
・・・敵は、30人。確認と同時に光が完全に消えた。元の暗闇。
敵には『マジックスコープ』がない限り、俺たちが見えない筈だ。
俺たちは夜目が利くので、何ら問題はない。
だが、囲まれていた。迂闊だった。
あの無駄に設備が整った牢屋で、美味い飯を食えると思っていたのに。
(部屋が豪奢なのは気に食わないが、出される料理は異様に美味かったのだ。)
おまけに急に≪教会≫で死刑執行するとなると、俺も力が出し切
れない。だいたい死刑執行を早めるっていっても、10分後にお前を
殺すとまでハッキリ言われるとは思ってもみなかった。
これでは シルルが来てしまったのも仕方ない。
しかし、何度も思うが、
—————信じていた奴に裏切られるなんて思ってもみなかった。
———そう。一番信頼していた奴に。
俺たち双子は、裏切られた。
俺は思い出す。牢屋の中の出来事を。
「お前たちがあんなことやる筈無いと、私は信じているよ。
だが、証拠が必要なのだ。君たちの無実を確定させるための絶対的な証拠が。だからもう少し待っていてくれぬか?」
そんな奴の根拠のない言葉を信じて、俺たちは待った。奴を信じて。
なのに なのに なのに・・・・・・
無表情な奴が俺たちの牢屋の前に来て・・・
「君たちの処遇が決まったよ。死刑だ」
そう言って、この上なく憎たらしげに笑った。
普段の彼なら絶対にやらないような、他人を嘲笑うような、笑い。
その時、
「貴方・・・貴方・・・裏切ったのね?」
地の底から響いてくるような、低い声音で呟いた者がいた。
シルル———双子の片割れの少女が呟いたのだった。
「私たち双子の力、あなたが一番よく知っているのではないの?
愚か者が・・・恩を仇で返すっていうの?」
「はははっ・・・そうとも言えるな。
シルル、シオラ、貴様ら双子の戦闘能力はなかなかのモノだった・
・・本当さ。よくこの国を守ってくれたよ。私とて国のことを案じればこそ、真に貴様らを失うのはもったいない。——しかし、まあ仕方あるまい」
ことさら残念そうに言う奴のその態度に、シオラは余裕の笑みを作ると
「『シルル、シオラ』貴様が俺たちの名を呼んだのは久しぶりだな。だが、俺たちを愚弄するような言い方はやめたほうがいいぜ?」
そう言い、少女シルルと共に牢屋の奥へと姿を消した。
余談だが、ここの牢屋は縦に広く、牢屋なのに部屋としての設備が多
い。
二人からすると無駄に豪奢なのが気に食わない。
二人はとりあえず奥にある備え付けの2段ベッドに向かった。
そして、シルルが上にシオラが下に横になった。
シルルが足をバタバタさせながら、彼女にしては珍しい悲しそうな声で
「ねえシオラ、私たち何でこんなことになったのかなあ」
二段ベッドの上から下に寝そべるシオラに訊いた。
「んん?・・・ああそうだな」
下から聞こえてきたのは眠そうな声。緊張感のカケラもない。
「シ〜オ〜ラ〜、聞いているの〜?」
「うぁ〜・・・寝させてくれよ・・・・・・」
「でも、死刑って・・・殺されちゃうよぉ」
・・・・・・わずか10秒の沈黙。
「シルルッ」
シオラは突然そう小さく叫ぶとシルルの横に跳び上がりシルルの耳元に近づき、囁いた。
「お前、今すぐ逃げろ。二人で脱出するよりいいから。単独行動だ。 わかるよな? 後から俺も行くから。それまではお前の幻影を警備兵に見せときゃいい。あと処刑の日は・・・」
「10日後よ」
シルルがシオラの耳元に近づき囁いた。そして、
「了解した」
「なら電気消して、私を隠してちょうだい。フォルク(監視用カメラ)に私が消えたことが映っちゃうから・・・」
「お・・・おう」
シオラは電気を消し、もう一度シルルの横に座った。
するとシルルがシオラに寄りかかり掛け布団をバサッと広げ、その中にシオラを引っ張り込んだ。そして、急に真剣な表情になり
「じゃあ・・・行くね。それからここ対魔力が強いから、後でシオラ
一人だけじゃ転移がし辛くて脱出できないと思うのよ。だからこの言
葉を唱えてちょうだいね? 転移魔法の遠距離魔法覚醒発動呪文だか
ら。≪ロンド・ヴァルティック≫ いい?分かった? 12時間後
に唱えてちょうだい。対魔力解除には最低12時間はかかるのよ。じ
ゃ、明日、コーラルの木で逢いましょう。・・・あと『せーの』で私を
転移させてね。お願いよ?」
そう念を押してから
「空間の聖霊よ 我が意思に従い、我を転移させよ・・・」
二人で同時に詠唱し、続けてシルルが
「我が命に従い 我が姿を写し取り 幻影とせよ ナイトメア(陰の聖霊)」
と唱えた。するともう一人のシルル、つまり幻影が現れた。
それを見てシルルは満足そうに微笑を浮かべると、シオラと目を合わせ「せーの」とつぶやいた。
「転移!!」
二つの声が重なった瞬間、シルル(本物)が消えた。成功したようだ。
ふう・・・と息をつき、被っていた布団をガバッとはねのけ起き上が
ると、電気をつけるためベッドを下りようと一歩踏み出した。が、し
かし、ここは二段ベッドの上。重力にひっぱられガクンッと前のめり
になり・・・
「うおあああっ!?」
落下するのは必然的なことである。
「っ痛ううぅぅぅ」
床にしたたか頭を打ち付けた。
頭を押さえ痛みに耐える。一瞬意識がぶっ飛びそうになった。いや、一瞬だが気を失ったのは事実だ。
「俺・・・そうだった。ベッドから落ちて・・・っイテ〜、マジ、イテ〜よぉ、くっそぉ〜」
・・・なんだか意識が朦朧とする。打ち所が悪かったのだろうか?
シオラはいつしか記憶の中を彷徨っていた。
思い出したくなかったのに。
忘れたくて、憶えていたくて、狂おしいほどに大切な記憶。
キオクを、思い出していた。
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