ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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パニック
日時: 2011/01/28 19:36
名前: 朝霞 (ID: MO5pRcbX)

cast:

●大島 志衣 maeda sii

極普通の高校1年生。
いつも乗っているはずのバスが暴走。
さまざまな事件に巻き込まれる。

●月詠 佑羅 tukiyomi yuura

志衣と同じクラスの子。
肌は白く、顔立ちは整っている。
ミステリアスな雰囲気。

 

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Re: パニック ( No.1 )
日時: 2011/01/29 14:41
名前: 朝霞 (ID: MO5pRcbX)

#01



「お嬢さん。この本いかがかね??」

数々の建物が立ち並ぶこの町のはずれに、古ぼけた一件のお店があった。
木でできた壁はぼろぼろになっていて、いたるところが焼けたように黒くなっている。

そんな建物の入口に背の小さいおばあさんがいる。
手にはこの店と同じように古く、分厚い本を持っていた。

(こんな店、あったっけ??)

私は怪しむようにおばあさんを見つめた。

「…今ならお安くしますよ。」

おばあさんは震える声でそういうと、ゆっくりと顔を上げた。
しわでいっぱいの顔は悲しんでいるのか怒っているのか表情が読み取れない。
だけど、早くこの場から立ち去りたいと思った。

「ごめんなさい。…私、今急いでて…」

するとおばあさんは私の手にしがみついてきた。
手はひんやりと寒くて、思わず後ろに下がってしまった。

「お願いします…この本を手放したいんです…」

どんどん力が強くなって、私は身動き一つ取れなくなった。

「いたいっ!!わかったからはなしてよ!!」





——————————

—自宅—



結局、この本を買ってしまった。
少し気になったので、私はカバンから本を取り出してみた。

「………」

裏を見たり、触れてみたりしたけど、見た目以外普通の本のようだ。
すこしほっとしたが、中を開いてビックリした。
中にはびっしりと字が詰まっていて、静かに本を読むのが嫌いな私には
これはとても読めないと思った。

「なんでこんな本かったんだろう…」

あのおばあさんの顔をおもいだすと頭が痛くなる。
何気なくもう一度本をもった。
ずっしりと重い。

「………………」

勢いよく本をひらいた。すると中がパッと明るくなり、
光が広がって私を包んだ。

「キャアアアアアアアア!!!!」

何!?何が起こったの??

「ハァ…」

きっと疲れてるんだわ。
早く休もう。

私は毛布をかぶって寝た。

これから起こることもわからないまま。

——————————

Re: パニック ( No.2 )
日時: 2011/01/29 15:19
名前: 朝霞 (ID: MO5pRcbX)

#02




ガラッ


「おはよう」

「あ、志衣。おはよー!!」

この子は鍵谷 哀歌。私の親友だ。

「ん??」

哀歌は私を見て顔をしかめた。

「なんか志衣、疲れてる??」

「え??そう??まあこないだまでここの受験で忙しかったからね。」

(きっと今疲れが出てきたのかも…)

「てかなにそれ??」

哀歌は私の膨らんだカバンを指さした。

「!?ああこれ…」

この前買った本だ。
朝、学校に持ってくるか迷った。
おかしいなあ、置いてきたはずなのに…

「ええ!?なにこの本っ。超重いじゃん!!すごい読書好きなんだ…」

「まさかーちがうよ!!私も買いたくて買ったわけじゃないんだもん」


「じゃあなんで買ったの??」

「…んー。」

私はこの前あった事を話してみた。

「えー!?それ詐欺だよ!!強制的に買わされたんだ??」

「うん、まあね」

「私が行って返してこようか??お金もったいないよ〜」

「いいっていいって〜どうせ値段も500円もしなかったんだから
 気に入らなかったら捨てればいいんだしさ。」

「志衣は優しすぎだよ、だから買っちゃったんだよー;いいから私にまかせて!!」

「う…うん…じゃあお願いするね…」

「任せて任せて!!返してきたら絶対連絡するからね!!」

私はそうして、哀歌に本を渡した。

Re: パニック ( No.3 )
日時: 2011/01/29 15:43
名前: 朝霞 (ID: MO5pRcbX)

#03

哀歌どうしたかなぁ。

あの後哀歌と別れた後、一度も連絡がない。

(もう少し待ってみよう)

私はソファに座ってテレビのお笑い芸人を見て笑っていた。
もうとっくに哀歌の事なんて忘れてしまって————————


「ただいまー」

「おかえり」

少し眠くなってきたところでお母さんが帰ってきた。
お母さんはマフラーを外し、乱れた髪を手早くキレイにして床に座った。

「仕事終わった後、新しくできた『whiteberry』ってお店に行ってみたよ。」

「ふーん。可愛い服あった??」

「うん。まあいろいろと…あっ」

母話思い出したような顔をすると、こう話しだした。

「そういえばね、車運転してたら、道路が通行止めになってたわ」

「え??なんで」

「んー。あの、交通事故があったらしくて…女の子らしい。」

「……」

whiteberryって、あのお店の近く…

哀歌!!!

まさか交通事故の女の子って…


背中に冷たい汗がつたった。

——————————


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