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『狡猾の人形—ブラッディ・ドール—』
日時: 2011/01/30 17:13
名前: 鳥海鳴海(元:ミズキ (ID: AKehFwYl)

 みなさんはじめまして。鳴海という者です。お見知り置きを。
 友達が賞賛していたのでアップしようという作者の無謀な挑戦です。
 気軽にコメおkです。
 というか指摘・アドバイスどんどんしてください。
 まだまだ未熟者の私ですが、温かい目で見守っていただけたら嬉しいです。
 
 諸注意
 荒らしやチェンメ、作者への罵倒はお引取り願います。
 
 ではでは。

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序章 ( No.1 )
日時: 2011/01/30 17:56
名前: 鳥海鳴海(元:ミズキ (ID: AKehFwYl)

 無くしたモノは何ですか?
 少女は小さく笑い出す。
 暗闇に沈む部屋に、ぽつんと置かれた赤い椅子。其処に座るは一人の少女。
 襟足の長い髪がストレートの彼女は——ブラッディ・ドールと名乗った。
 血染めの人形——。
 その名の通り、少女の全体的印象は朱だ。
 髪も、眼も、唇も、服も、靴も。全てが鮮血の様でおぞましい。
 突如として暗闇の中から一人の男が現れた。長身痩躯で肩口まである髪は黒耀で装飾の耳管。見てくれは美男子である。
 その男はコロコロ笑う少女の横に立つと色の無い声で、言った。
 「余り笑うな、ブラッド」
 抑揚の無いその科白に、少女は整った顔を歪ませると無表情の男を斜に構えて卑笑を浮かべた。
 『何ヨ。別ニイイジャナイ、笑ウクライ。害ハ無イワ。ソレトモ何?ネクロマンサーハソレサエモ嫌ウノカシラ?』
 アト、アタシニハ、ネル・トートレストイウ名ガアルノ、そう付け足して、ネルはまた笑い出す。
 「……それを言うなら俺にもアッシュ・スノールという名がある。その名で呼ぶな」
 アッシュは憮然と言い放った。表情を変えるほどに嫌なのか。ネルは一生硬いままだと思っていた表情かおに色が宿ったことに気付き、面白く無さそうに視線を外した。無表情こそが彼の美顔の引き立てなのに。
 ——ネクロマンサー。別名死霊使い。
 彼らはその名の通り、死人の霊魂を操る。まさに傀儡の傀儡師アクマ
 しかしアッシュの場合、その力を忌み嫌っていた。そして呼称も。
 ネクロマンサーは蘇生者という誤った解釈をした人間が多数である。だから言い寄ってくる人間は大抵死体を持ってくる。
 生き返らせろ——無茶難題を言う…アッシュはそれが何よりも嫌いだった。
 生き返らせるのがネクロマンサーではない。霊魂を操って戦力に、はたまた言いなりにさせるのが本来の名称だ。
 だからアッシュはそんなあべこべな呼称を忌み嫌う。
 二人の間に意味の無い沈黙が落ちた時、暗闇の中空に映像が現れた。ネルは映し出された一人の男に目が入った。
 それは、男の大切なモノが〃無くなるまでの〃過程を映し出した映像。
 画像の中の男は、これ以上の幸福しあわせなど無いと感じられるほどの笑顔を向けていた。見た目は十代半ば当たり。
 それには笑うことこそが人生のネルでさえも溜息が出てしまう。
 『……バカバカシイ。人間ハカクモ無力デアルガ故ニ、奇跡サエモ信ジヨウトスル。——ソウ言エバ、誰カガ言ッテイタハネ。〃努力シテ得タ幸福ハ、奇跡ナンカジャナイ〃ッテ。今ダニヨク判ラナイケド、〃努力〃ト〃奇跡〃ハ別物ダト言イタイノカシラ…。ドチラニセヨ、コノ男ノ幸福ハ、〃努力〃デ得タモノデハナイカラ…〃無クシヤスイ〃。不幸ト幸福ハ両立シテ初メテ、コノ地球ホシノ均衝ヲ保ッテイルトイウノニ…目ノ前ノ幸福ガ長ク続クハズ無イジャナイ。ホント、バカゲテルワ』
 そう言う彼女の顔には笑みが溢れていた。その口から笑い声が漏れ出しても不思議ではないぐらいに。
 アッシュは久々に彼女の冗舌を聞けてそれだけで満足なのか、何も口にはしない。
 ただ、この男は哀れだなと、胸の奥で呟くに留まるだけである。
 そして、今夜の宴が黙したままその重たい幕を自力で開けたのだった。
 「……動き出したな……」
 『ウフフ。サテ…イイカシラ?』

 

 


       —————無くしたモノは何ですか?—————

第1章『友達と恋人』 ( No.2 )
日時: 2011/01/31 13:36
名前: ミズキュウラ・ドラッテ (ID: u3k5ctnm)

小林勇には自分の日常を支える人が2人居た。
友達である、北条湊。
恋人である、堀夏希。
彼らが居て自分が居る、勇は少なからずそう思っていた。
あんな事態に巻き込まるなど、到底信じられなかった——————。




◇◆◇

冬の黄昏時。
勇ら三人は、家路に着いていた。
「ねぇ、勇。数学テスト、何点だった?」
勇の隣に居た夏希が可愛らしい笑顔を向けて話をふった。
「数学?良い点だったとだけ言っておくよ」
意地悪く勇は笑って言う。夏希は「ええぇっ!?教えてくれたっていいじゃん!」と頬を膨らませた。
「90点以上だったんだよな、勇」
テストの点を知ってるのか、湊がにひっと笑って勇に同意を求めた。


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