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百年桜花 ─巡る季節─
日時: 2011/01/30 17:31
名前: Yuri. (ID: R1Rd.hdi)


■主な登場人物


花百/カオ 
十五歳の少女。字は読めるが、知識は無い。


東 圭司/アズマ ケイジ
十七歳の青年。 立派な武士になるのが夢。


吾妻 雪/アズマ ユキ
十五歳の少女。 一人でいることを好む。


高坂 正成/コウサカ マサナリ
十八歳の青年。 女好きの武士。



■挨拶

はじめまして! Yuri.です。
このお話は江戸時代(幕末あたり)が舞台となっています。

小説書くのは初めてなので、
「ここ、おかしい!」とか「間違ってる!」という部分が
ありましたら、すぐに言って下さい。


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Re: 百年桜花 ─巡る季節─ ( No.1 )
日時: 2011/01/30 18:00
名前: Yuri. (ID: R1Rd.hdi)

其の一


「おい、そこのガキ。
 良い刀持ってるじゃないか、ちょっと見せろ」


思わず、足がすくんでしまう。
見知らぬ男に話しかけられたのだ。 怖い。 話したくない。
その男の身なりは、ひどいものだった。


大きな刀傷が顔に二つ、不気味な笑み。


「…………っ」


「おい、待て、ガキ! 逃げるンじゃねえっ」



男は一人ではなかった。 三人もいる!
───とにかく、逃げなければ!



刀を両腕でしっかりと抱きしめ、小道へと逃げる。
だが、そこで大きな失敗に気づいた。


行き止まり。



自分の身長よりはるかに大きな塀が、ある。


どうにかしたら、越えることが出来るかもしれない。
刀を右手にしっかりと握り、左腕を伸ばす。



「───見つけたぞ、このガキ!
 逃げても駄目だったなあ? がっはははは!」


不気味な三人組の男たちが、汚く笑う。
汚い笑みで、近づいてくる。 後ろは塀。



逃げれない。





どうする、この刀で刃向かってみるか?
勝てる自信は全くない。 だが………。



「ンあ? 何だ、刀を使おうっていうのか?」
「ぎゃははは! 勝てっこねエよ!」
「殺されたくなきゃ、その刀をこっちへよこせ!」



男たちも、抜刀した。


勝てる、か……?
いや、分からない。




「おいおい、そこのおじさんたちー。
 一人の子に刀向けて、危ないなあ」



突然、男たちの背後から違う男の声がした。
見れば、若い武士。 十八くらいだろうか?



「なンだガキ! このガキが悪いんだぜ?!」


若い武士は爽やかに笑う。
こいつらとは全然違う、笑みで。



「悪いのは、………お前らだよッ!」



若い武士が抜刀し、素早く斬りかかる。


「ぎッ」「あがあッ?!」「あぎゃッ!」



次々と奇声を発し、男たちは血の海に沈んでいく。




「大丈夫だったか?」


若い武士は刀を鞘に戻しながら、問いかけてきた。
自分も刀を鞘に戻す。


「あ、はい。 ありがとうございました………」


「それにしても、良い刀だな。 お前も武家の者か?」



「いえ、違います!」


若い武士は不思議そうな顔をした。
ぐいっと、顔を近づけて、


「綺麗な顔立ちをしているな、女みたいだ」


小さく呟いた。


「おッ、女なんかじゃない!」


「あぁ、すまない。 とても綺麗な顔立ちだから、つい。
 俺の名前は、東圭司だ。 お前は?」



そう問われて、悩んだ。
どうしよう……。



「わ、私は……」
そう言いかけると、東は再び顔を近づけ、



「やはりお前、女だろう。 男装しているんだな?」



顔が真っ青になるのが、自分でも分かった。


あぁ、もうこうなってしまったら仕方がない。



「そうです、私は、女です……」


「なぜ、男装を?」



「京は物騒だと聞きましたので、男装をすれば大丈夫かと……。
 この刀は、母からいただいた大切なものなのです」



そうか、と東は頷く。


「それで、名は?」


「か、花百です」



私の名前は、花百です。


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