ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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神都のディスファイア
日時: 2011/07/25 16:13
名前: ハッチしゃn (ID: X96rB3AK)

ハッチしゃnです。よろしくです。読み方は「はっちしゃぬ」
rom専なので、あまりコメントとかしないです。さーせん。
テーマは「仲間」です。
シリアス&ファンタジー重視です。

【皆様へ】
夏休みとなりましたね^^
これからぼちぼちですが、更新していきます。
よろしくお願いしますm(_ _)m


プロローグ

この世界には、五つの都市がある。
その五つの都市には、序列階級も付けられている。

序列第五位 ゴルダの猛獣都市
序列第四位 サフレスとデウスの都市
序列第三位 上空と天空都市
序列第二位 地下と牢獄都市
序列第一位 ディスファイアの都市

これが、この世界にあるすべての都市だ。
そしてぼくらは、これらの都市には存在しない。
ぼくらは、都市ではなく、周りにいる農地や原野で暮らしている。
ぼくら農民は、都市の中で生きて行く事は許されない。
ぼくら農民は、世界の神である『ディスファイア』に、古き昔に命じられた。

『貴方達に都市で生きる権利はない。が、しかし。都市以外で生きる権利を与えよう』

そのあと、ぼくら農民は階級と名前を付けられた。

『序列第六位のパラメキア』と。


登場人物……>>005
※性格は出ません。読み取ってください。


第一話『ディスファイアの都市へ』…>>001 >>002 >>003 >>004 >>006 >>007 >>008 >>009 >>010

第二話…>>011
第三話
第四話
第五話
第六話
第七話
第八話
第九話
第十話
第十一話
第十二話

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第一話 ( No.3 )
日時: 2011/06/15 17:45
名前: ハッチしゃn (ID: X96rB3AK)

 あれから五年————。



 『死刑囚納船』
 今、私が乗っている飛行船の名前だ。

 この飛行船は、神が定めた法律などを守らない生きた生命体を運ぶ物。
 この飛行船に乗ってからの行き先は、序列第二位『地下と牢獄都市』だ。

 『地下と牢獄都市』は、むろん、名の通りの生き絶えるまで食料・水なしの牢の中で労働生活を送らされる都市だ。

 言う事を聞かない者をここに落とし、辛い苦しい思いをさせて生涯を終わらせる場所。

 なぜこんな所が序列第二位なのかは、簡単。
 神がそこをゴミ処理場として使っているから。だから序列を下げさせるわけにもいかないんだ。

 また、なぜここに私がいるのか?、というのも簡単である。
 家族の一人が、『ディスファイアの都市』へ行って以来、どんなに待っても待っても帰ってこないからだ。

 それを確かめるために、助けるために私はここに来たんだ。

 この『死刑囚納船』にも、まだ私と同じ境遇に見舞われて、付いてきた仲間が一人いる。

 私とはまた別の災難だったらしいが、どうしても付いてくると言うので許してしまった。
 こんな、『天使』ばかりがいる飛行船に。

 名前は『ウォン・ゲナー』、娘を助けると言っていたから、父親なのかもしれない。

 飛行船の座席で両手両足を縛られながら座っている私に、隣にいるウォンが、目周りのしわを寄せながら小声で聞いてきた。
 今は巡回している『天使』もいない。

 「おい、お前、名前はなんなんだ? これからこの飛行船、乗っ取るんだろ? 名前ぐらい教えろ」

 多少命令口調なのがウザいが、仕方がない。答えるべきなのだろう。

 「アリス。『アリス・エルセナ』だ」

 「アリス……か。アリス、飛行船を乗っ取るにしても、このあとどうすんだ?」

 まずは……そうだな。
 私は、横の自動ドアから出てくる『天使』を見計らって飛ぶ態勢をする。
 ここは、攻撃態勢で行くべきなのか、それとも見つからないように行動すべきなのか。
 考えれば考えるほど、次の一手を切り開けないように思えてくる。

 だから私は、「ウィーンッ」というドアが開いた音が鳴ってから、
 天使に向かって飛び蹴りをしつつ、先ほどの質問に答えた。


 「まずは、ここの天使を全滅させるッ!!!」

第一話 ( No.4 )
日時: 2011/06/19 09:28
名前: ハッチしゃn (ID: X96rB3AK)

 「乗っ取るのはそれからだッ!!」
 私は、そう叫び、ウォンに片手で持てるくらいの拳銃を投げ渡す。

 「お、ぉおいッ! こんなん渡されたって俺撃った事なんてねぇぞ!?」

 いちいちうるさい。だったらなんで付いてきた!? と思うが、生憎今私の目の前にいるのは、少々手ごわい『天使』。
 長ったらしい話を交わしている場合ではない。

 「知るかッ!!」

と、私は切り捨て、肩に付けている鉄でできた片手剣を取り出し、天使に向けて構える。

 「私は前をやる。お前は後ろを援護しろ!」

 「う、後ろーーッ!? って、マジでいたんかよッ! お、おいアリ———ッ」

 やかましいのでもう構わない。
 目の前にいる、身体全体を白で覆われた人型の『天使』の顎を徐に片足で蹴り飛ばし、そのまま剣で顔面を貫通してやった。

 私が剣で貫通させ、天使の息の根を止めさせると、後ろでウォンに接近している二体の天使の後ろに疾走で回り、二体とも首を切断させる。

 一応、これで私達の周りにいる『天使』は殲滅させた。
 だが、まだ先を進めばいるだろう。『死刑囚納船』だ。あと数十人いてもおかしくはない。見張り役として今倒した三体だけでは、足りなすぎる。

 先ほど後ろの天使を倒さなかったウォンに、少し憤りを感じる。天使を倒せないのなら、足を引っ張るだけだ。いい迷惑であり、若干怯えているのが腹が立つ。だったら、どうして戦場に来たのか、ってな。

 その気持ちも含めて、私はウォンに言った。

 「この『死刑囚納船』にいるのが、『天使』だけとは限らないからな? 他の都市から来た魔物・猛獣が捕獲されているだろうし、まだ『天使』は、倒しやすい方だ。こんな所でもう戦えないって言うのなら、お前は引き下がってろ。いるだけ邪魔。そこの格納庫で怯えながら隠れてるんだな———」

 「ふ、ざけんじゃねぇ!!」

 私が言い終った瞬間、ウォンは怒号を放った。
 ウォンの視線は、すぐに私を見つめて眼前まで寄ってくる。

 「娘が、……娘が俺を待ってるんだ。俺が行かなきゃなんにもならねぇだろッ!? それに、俺にだってこの拳銃を使いこなせるかもしれねぇだろ! 可能性はあるだろ! 俺だって次からは、絶対闘う。一緒に!」

 「けどお前は、拳銃を撃った事もない! ろくに撃つ事も出来ないで、それでどうやって戦う!? 舐めてるのか?! その達者な口で、 戦えないド素人が胸を張れるほどの言い草ってのを言う気か!? ふざけるな!!」

 刹那。

 パァンッ!! と、怒鳴り声を言い放った私の前で発弾した音が鳴りつつ、何かが倒れる音が後ろから同時にした。

 後ろを振り向けば、『天使』が額を撃たれて倒れていたのだ。ピクリとも動かず、もう死んでいた。
 撃ったのは、紛れもない、……私の前にいるウォンだ。

 振り戻ってみれば、私が渡した拳銃を構え持っていて、先端からは発弾による火薬の煙と匂いが漂っていた。

 「これでいいだろ? これで俺も戦えるだろ? 娘を、この手で救えるだろ!?」

 私は視線を揺るがし、通路の床に着いている足元へ向かって舌打ちをした。
 これが、こいつの覚悟。だったら、もう一度確かめよう。

 眉を寄せながら、ウォンをもう一度確認するために、顔を真正面に向け直す。

 「本当に付いて来るんだな? 死ぬかもしれないぞ? 娘さんに会う前に」

 「そんなもん、もうここにいる前から覚悟決めてんだ。今更逃げてもなにもねぇ。だったら、娘を助けに行って死ぬなんてお安い御用だ」

 私は、その言葉に何も言う事が出来ない。そこまで覚悟をしていたのは、知らなかった。理解できていなかったのは、私だった。

 視線を下に向かせながら、通路の出口へと向かう。

 この飛行船にいる『天使』全体に私達の居場所は把握されている。早くこの場から離れなければ。

 私はただ、ウォンに向かって理解したと暗示するように頷くと、次にすることを伝えた。

 「付いてこい。ここから一旦、離れる。先に進んで、出てきた天使を片っ端から倒していく」

 「あ、ああ。分かった」

 ウォンは頷き、拳銃を下に降ろして私のすぐ隣へ寄ってくる。
 私は背中に剣をしまい、通路の出口のドアを開け、さらなる先へ急いだ。

登場人物紹介 ( No.5 )
日時: 2011/06/18 19:50
名前: ハッチしゃn (ID: X96rB3AK)


 ♀アリス・エルセナ(主人公)17歳
 茶髪で肩までのロングヘア。前髪はサラサラで、毛先は多少丸み 
 服装は白の硬い革で作られた兵士が着るような防護服
 下は赤いミニスカート
 茶色い革の長いベルト付きのブーツを履いている
 背中には剣(種類は時によって変わる)を装着している

 ♂ウォン・ゲナー 31歳
 黒髪でワックスを使ったナチュラルソフトモヒカン
 服装は冬に着るような黒いコートで覆っている
 下は黒のジーンズでやや腰パン
 暗い茶色革でできた靴を履いている
 アリスからもらった拳銃は、使わないときは腰のサンドバッグに納める

第一話 ( No.6 )
日時: 2011/06/19 11:17
名前: ハッチしゃn (ID: X96rB3AK)


 『死刑囚納船・一階通路』————。

 私とウォンは、まっすぐこの通路を進んでいた。
 通路入口から入り、今のところまでまだ『天使』には遭遇していない。

 これを自然と言えるのかは分からないが、少なくともどこかで出方を見ているのは間違いないだろう。

 もうすぐ一階通路の終盤だ。壁に当たる前に左折すれば、二階に上がる階段があるだろう。
 私はそのまま二階に上がる階段へ向かおうとしたのだが、疑問を顔に曇らせたウォンが私の手を取って止めた。

 止められたことに多少イラついたが、振り返ってみる。

 「いきなりなんだ? 止まってる暇なんてないぞ」

 「いや、止まってる場合じゃないのは分かってんだがよ。なんでこの飛行船を乗っ取るのか分かんなくてな。ちょっと聞きてぇんだ」

 「そうか。説明していなかったな」

 私は斜め向きに壁へ寄りかかり、腕を組みながら説明した。

 「序列順に、都市同士の距離は縮まってるんだ。だから、一番『ディスファイアの都市』に近い序列二位の『地下と牢獄都市』へ運航させる飛行船を乗っ取ろうと思ってな。それがこの『死刑囚納船』だったんだ」

 「だからわざと無理やり乗り込んだのか」

 「ああ、そうだ」

———————————————|
 
 この飛行船に乗る前の出来事————。

 私とウォンは共に農民のみんなが育てた農作物を汚し、食べれぬ物にした。
 そうして禁忌を起こさなければ、この『死刑囚納船』に乗れないからだ。

 農民の皆とも、二日掛けて打ち合わせをした。母は泣き崩れたが、皆は私達に祈りを捧げてくれた。
 その打ち合わせした通りに実行したのだ。

 体を縛られ、馬の上に乗せられ、そのままこの飛行船に連れて来られた。

 そして今に至る。

———————————————|

 「けどよ、じゃあ五年前に『ディスファイアの都市』へ向かった人間の勇敢な戦士達はどうやって行ったんだ? まさか、俺等と同じ感じで行ったのか?」

 「それは違う。それに、勇敢な戦士達……というよりかは、私の兄が作った『甲殻機動隊』だな」

 「あ、あぁッ!? もしかして、お前が帰ってこない家族の一人って……」

 少し驚き過ぎだし、あまり声を大きくされると室内にいる猛獣や天使などに居場所を与えるからやめてほしいんだがな。
 こめかみがはち切れそうになったが、なんとか堪えて兄の事を話した。

 「そうだ。帰ってこないのは私の兄……。『甲殻機動隊』のリーダーだった。『ディスファイアの都市』へ行って以来、連絡も付かず、戻ってこないんだ」

 なぜだかわからないが……膝の力が抜けて、私はそのまま壁に寄りかかりながら座り崩してしまった。

 でもあとから分かる。これは恐怖だ。

 「本当に生きているのかも分からない。確かめると言っても、確証もない。無駄足になるかもしれない、とは考えていたんだ。けど、考えれば考えるだけ時間は過ぎて行き、何もしないままじゃ何も変わらないと気付かされたんだ。だから」

 「結果はどうこうよりも、確かめよう、って訳か」

 座り崩してしまった私の背中をウォンは頷きながら優しく撫でてくれた。
 これが、大人の優しさか。私にはできない……。戦術では上でも、まだ、こういう所は身に付いていない。

 私は立ち上がり、剣を背中から抜き、強く握る。目指すは『死刑囚納船』の運転席。

 「行くか……」

 あどけない雰囲気の中、ゆっくりと階段を上って行く————。

第一話 ( No.7 )
日時: 2011/06/20 17:53
名前: ハッチしゃn (ID: X96rB3AK)


 『死刑囚納船・最上階』————。

 もうこんなに上がっても、敵と呼べる者が何一つ現れなかった。
 ありえない。ここは『死刑囚納船』だぞ?
 私達が倒したあの三体だけで、この飛行船の見張り役が務められるわけがない。

 「ここの飛行船の運転席前、つまりこの通路の奥にある両側や真ん中のドアから『天使』が出てくる可能性が高いな」

 私は考えがまとまるとすぐにそうウォンに伝えた。
 隣にいるウォンは、厳しい顔でまっすぐ目の前にある通路の両サイドや奥にある扉を真剣に見つめると、いきなり真っ青になって後ろに下がった。

 「予想してなかったのか……?」

 「いや、予想はしてたんだけどよ。まさかマジになってくるとは考えていなかった……」

 「見た限り、必ずしも数十体はいるだろう。覚悟して前に進むぞ」

 すぐ後ろで呼びとめる声が聞こえたが、無視して前に進む。
 私達の目的はこの飛行船を奪うためであって、わざわざ地獄の『地下と牢獄都市』に自滅しに行くわけではない。
 この飛行船の行き先に着く前に、なんとかして乗っ取らなければいけないのだ。

 私が大体、扉との距離を縮めると、後ろからウォンがため息を漏らしながら走って側に寄って来た。
 振り返ってみると、精悍さがある。覚悟を決めたみたいだ。

 「ウォン、かなり後ろまで下がっていろ。今からここの扉すべてを破壊するからな」

 私は言ったとおりにかなり後ろまで下がったウォンを確認すると、
 ———握っていた剣を横に振り捧げ、目の前と両サイドにある扉を斬るために、足と足の幅、腕と腕の幅を限界まで広げて、一気に力を入れて、勢いよく三回転斬りを喰らわした。

 ガコンッガコンッ!!、と木材で出来た扉が三つすべて真ん中を横斬りで斬られ、音を立てて剥がれ落ちる。


 予想通り、数十体の『天使』が姿を現した。
 扉が落ちた音が合図だったかのように、皆一斉に私に襲い掛かる。

 「襲い掛かるタイミングは良いんだが、————遅いなッ!!」

 私は再び回り全体を巻き込んで、回転斬りをし、数体の『天使』に致命傷を与える。その訳はウォンが口で呟いてくれた。

 「すげぇ……周りにいた奴らの顔面を全部吹き飛ばしやがった……」

 『天使』は体内に液体などが含まれていないから、返り血を浴びずに済む。だから私は、ウォンが呆気に取られている内に、再び襲い掛かって来た『天使』を順序良く倒して行く。

 ある時は横斬り、ある時はそのまま、まっすぐ天使の胸を突いて貫通させ、ある時は下から上に向けての返し斬り、など、いろんな剣技を使い、『天使』の数を減らしていく。


 「悪いが、お前らに勝ち目はない。接近戦は、私が一番得意とする戦い方だからなッ!!」

 私は眉を寄せながら、次に襲撃を掛けてくる『天使』共に吐き捨てる。
 同時にもう一度構え直し、態勢を整える。
 そこで、少し息が荒くなっているのが自分でも分かる。剣を腕で持ち上げるだけで腕の筋肉が痛みを訴える。


 しかし、それでも。
 この、あと数体を倒せば飛行船を鎮圧できるのだと、思えば闘争心は燃える。

 私は口から一喝を放ち、天使の中心へと構えて走って行った。


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