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赤い少年と青い少女
日時: 2011/02/02 11:04
名前: ナナミ (ID: A2bmpvWQ)

はじめましてナナミです。
はじめて小説を書かせていただきます。
文章とかがメチャクチャになっているかもしれません(汗)。
いろいろ失敗はあると思いますが、ぜひぜひ見ていってください。
感想は大歓迎です。

Page:1 2



Re: 赤い少年と青い少女 ( No.1 )
日時: 2011/02/02 11:28
名前: ナナミ (ID: A2bmpvWQ)


序 偽物


ここではない世界の世界でもないどこかの物語。

ワタシは、アナタを愛しています。
ワタシは、アナタを信じています。
ワタシは、アナタを尊敬します。
ワタシは、アナタを慕います。
ワタシは、アナタを守ります。

アナタが喜べば、ワタシも喜びましょう。
アナタが悲しめば、ワタシも悲しみましょう。
アナタが怒れば、ワタシも怒りましょう。
アナタが憎めば、ワタシも憎みましょう。
アナタと感情を共にしましょう。

アナタが飢えれば、ワタシの肉を与えましょう。
アナタが乾けば、ワタシの血を与えましょう。
アナタが欲すれば、ワタシの肉体を与えましょう。
アナタの欲しいものすべて差し出しましょう。

アナタの罪は、ワタシが背負いましょう。
アナタの罰は、ワタシが受けましょう。
アナタの咎は、ワタシが償いましょう。
アナタの苦はすべて請け負いましょう。

アナタが願いは、ワタシが叶えましょう。
アナタの命令は、ワタシが従いましょう。
アナタの望みは、ワタシが満たしましょう。
アナタの求めしものはすべて探しつくしましょう。

アナタの痛みは、ワタシがもらいましょう。
アナタの病は、ワタシがいただきましょう。
アナタのすべてを保護しましょう。

ワタシは、アナタに尽くしましょう。
アナタを第一に。
アナタだけを。
アナタしか、ワタシは望みません。
アナタだけを考え。
アナタだけを求めましょう。

ワタシは、アナタのものです。
所有してください。
何でもします。
アナタに従います。
忠実に。

だから。
どうか。
ワタシを。
ワタシを。

ステナイデ。




Re: 赤い少年と青い少女 ( No.2 )
日時: 2011/02/04 11:47
名前: ナナミ (ID: A2bmpvWQ)

序 本物



ここではない世界の世界でもないどこかの物語


もう嫌だ。
なにもかもが嫌だ。
この世の全て。
なにもかも全て。
全部。

殺すのは嫌だ。
もう嫌だ。
もう誰も。
誰も殺したくない。
なのに
どうして殺してしまうんだろうか。

おれはどうしたらいいんだ。
おれの心の内から湧き上がる殺人衝動。
怖い。
嫌だ。
止められない。

誰かを殺すたびに
真っ赤な血。
ドロドロの内臓。
腐臭を放つ皮膚。
吐き気がする。
全てを吐き出したくなる。
しかも
殺したのは
おれだから
おれ自身に
吐き気がする。

もう強くならなくていい。
もう誰も殺したくない。
嫌だ。
やめろ。
やめてくれ。
おれがいけないんだ。
全部おれが悪いんだ。
許してくれ。
おれはもう誰も殺したくない。
誰か
誰かおれを止めてくれ。
おれを助けてくれ。
おれを殺してくれ。

こんな思いはもうたくさんだ。

止まらない。
止められない。
この殺戮衝動。
嫌だ。

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。

誰か。
誰か。
助けてくれ。
止めてくれ。
殺してくれ。

誰か。
おれを。
おれを。

殺してくれ。

Re: 赤い少年と青い少女 ( No.3 )
日時: 2011/02/04 12:19
名前: ナナミ (ID: A2bmpvWQ)


1, 裏
 
壊れた少女



「フフフ・・・・」

突然、少女がクスクスと何か楽しいことを思い出したように笑った。

「エヘヘヘヘ・・・・そうなの?あらぁ」

まるで誰かと会話でもしているような口ぶりだった。
だが、少女の近くには誰もいない。
それ以前に、この世界には少女しか存在していなかった。

この世界は闇だった。
闇しかない世界だった。
木や生き物や建物などは、存在しない。
風も光も水もない。
濁った空気だけはかろうじてあった。
いうならば、地獄だ。

どこまで歩いても終わりがない。
宇宙空間のような世界。
この闇の世界に
少女はただ一人、存在していた。

長い、海のように青い髪。
澄んだ空のような青い瞳。
真っ白な肌。
今にも折れてしまいそうな細い体。
小さな体躯。
薄い、ほとんど下着の白いワンピース。
靴は履いていない。

まだ十にもなっていない小さな少女に見えた。

少女は座って独り言を言っていた。

「フフフ・・・え?そうなのねぇ・・・・アハハ」

鈴の音のように可愛い声音。
しかし、その口ぶりにはどこかが壊れてしまったかのようにおぼつかない。
少女は、この世界にいることが当たり前だと思っていた。
なにも変だとは思っていなかった。
不思議と思うことすら微塵たりともなかった。

なぜかこの世界は真っ暗なのに、少女の姿は昼間の時のように、目にとらえることができた。
まるでこの世界が少女の為にあるかのように。

「アハハハハハ・・・・・」

死んだように・・・いや死んでいる世界に、少女の無邪気な声が響く。

時間の流れが止まってしまったのか。
それとも呪いが掛けられているのか。
この世界は、不変だった。
少女も、不変だった。

少女はいつからここにいるのか。
少女自身、忘れてしまった
この暗闇に、長い時間心を押しつぶされてしまったのか。
少女は忘れてしまった。
全てを。
自分の名前すら。
忘れてしまった。

記憶のないまま。
不変の世界で
気が遠くなるどころではないくらいの時間。
ここに存在した。
心は空っぽに
壊れてしまった。






Re: 赤い少年と青い少女 ( No.4 )
日時: 2011/02/04 20:14
名前: ナナミ (ID: A2bmpvWQ)

1,表

狂った少年



「ぎゃっ」


思わず耳をふさぎたくなるような、鈍い音とくぐもった悲鳴が聞こえた


「や・・・・やめろ・・・やめてくれえ・・・!」

男の低い声、おびえた声が、必死でなにかを拒んでいた。

「かかかかかか・・・金ならやる!・・・金ならやるから・・・・命だけは・・・・命だけ・は・ぎゃあああああああああああああ!」

ぼきっ!という骨の折れる音が響いた。

今叫んでいた男は、首の骨を真っ二つに折られ、醜い死体と化した。

少年はその死体を見下ろし、傑作だと言わんばかりに大笑いした。

「わはははははははは!わははははははは!わははは!マジかよ!マジですかぁ!こいつ高位魔術師だろぉ!?なんでこんなにザコいんだよ!
ちょっと期待してた二分前のオレが馬鹿みてぇ!はははは!」

少年は死体を蹴り飛ばした。
それだけの行為で、男の四肢はバラバラになり、粉砕した。
胴体だけの、見ることも耐えかねる姿になった。
その姿を見て、少年はまたも笑う。

「あっはーははははん・・・」

その笑みは、邪悪でおぞましい、悪魔のような表情だった。

男なのに、足首まで届く真っ黒のストレートヘア。
血で染めたように赤い瞳。
化け物じみた力のわりには、身長もそこまで高くなく、細身。
よくわからない動物の皮のジャンパー。
そこらじゅうが破れているジーンズ。
靴は履いていない。

十代後半くらいに見える。

「さて・・・っと!やりますか」

少年は死体の前にしゃがみ込む。
そして、死体の左胸に手を置く。

「うーうー・・・これじゃあ期待は望めねえなあオイ」

ずぶっ・・・というなにかが突き刺さる音。
少年は長い爪を使い、左胸に穴をあけた。
その穴に腕を突っ込み、内臓をグチョグチョかき混ぜるように腕を動かす。
そして、男だった死体から心臓を抜き出した。

少年は満足そうに、またはうんざりしているかのような表情をした。

「はぁ・・・こいつも失敗かな」

少年は血まみれの手の上にのった心臓を

自分の口の中に押し込んだ。

ゆっくり、ゆっくりと

堪能するかのようにゆっくりと

口内に収め、ゴクリと丸呑みした。


「おーおーおー・・・・んー・・・まあまあ・・・か?」

少年は血でべっとり汚れた口回りを、皮ジャンの袖で乱暴に拭う。
その他にも汚れた箇所を、かるく拭いたりはたいたりした。

そして、にやりと、口が裂けるくらいの笑みを作った。

「お前の能力。確かにいただいたぜえ」

不敵な笑みと共に、言い放った。
それと同時に、ゆらりと立ち上がった。
どうやらここは、薄暗い路地のようだ。
人がいる気配は、ない。

少年は道端の石を蹴るように、死体を蹴った。
石が砕けるように、死体はこの世からも形としても、消えた。

「さいなら。んーと・・・名前忘れちまった。ま、いいか」

少年は長い髪をなびかせて、どこかに歩き去った。


少年は『心臓喰らい』と呼ばれていた。
その名の通り、殺した人間の心臓を喰らう、殺戮者だった。
その人間の能力を宿した心臓を喰べることによって、少年は強さを得ている。
殺すたびに、強くなる。

少年は強くなるために、たくさん人間を殺した。
気が遠くなるどころではない人間を。

殺しすぎて、殺すことだけを考えていたのか。
殺戮衝動に心を押しつぶされてしまったのか。
少年は捨ててしまった。
全てを。
自分の名前すら。
捨ててしまった。


殺戮するだけの存在。
心はぐちゃぐちゃに
狂ってしまった。



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