ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

———随想。
日時: 2011/02/03 18:08
名前: 奏 (ID: Gz/gGLCR)

初めまして、ソウと申します。
小説を書くのは初めてなので、変な部分があれば言って下さい;
注意書きは特にありません。
では、これからよろしくお願い致します!

Page:1



Re: ———随想。 ( No.1 )
日時: 2011/02/03 18:13
名前: 奏 (ID: Gz/gGLCR)

登場人物紹介 【物語が進むにつれて増えます】

“わたし”
本作品の主人公であり語り手。本名は不明。皆に「少女A」と呼ばれている存在。
物語のキーパーソンとなる人物でもある様子。

不知火しらぬい
本作品で“わたし”という人物に大きく関わっているらしき人間。

織田 白夜(おだ びゃくや)
本作品のサブ主人公である少年。

“彼女”
作品で“わたし”の随想に度々出てくる人間。

Re: ———随想。 ( No.2 )
日時: 2011/02/03 18:28
名前: 奏 (ID: Gz/gGLCR)

プロローグ


「護りたいものがあるから」

そう言って彼女は笑った。
護りたいもの、が“わたし”じゃない事が少し苦しかった。

突風が吹いた。彼女の銀色の髪が揺れた。
彼女の綺麗な琥珀の瞳も、揺らぐ揺らぐ。

その瞳に、わたしは映らない。
何時も何時も、あの子ばかりが映って居る。
わたしは彼女の護りたいものにはなれない、ならない。
なっても彼女は、わたしを見てくれないんだから。

気がつけば彼女は消えていた。
わたしを置いて、何処かに行ってしまった。

「帰って来てよ」

そう掠れた声で呟いても、彼女は戻って来てくれない、戻れない。

何時の間にか、時は流れていた。
気付けば、わたしの中で時間は止まっていた。

気付けば、彼が隣にいた。

あまりにも、彼女の護りたいものに酷似していて。
わたしは彼が、憎くて憎くて仕方無かった。
だけど、愛しかった。




—彼を見た瞬間トキ、少女の随想は始まった…—

Re: ———随想。 ( No.3 )
日時: 2011/02/04 17:07
名前: 奏 (ID: Gz/gGLCR)

壱 随想ノ始マリ


ひらひらひらり。
儚く掌でとける雪を、わたしはただ呆然と見つめていた。

「少女Aさん?」

隣で怪訝そうにわたしを見る男—不知火—の声を無視して、わたしはずっと雪を見つめ続ける。
—…否、わたしが見ていたのは雪では無く足元に落ちているひびの入ったガラスの写真立て。
写真に写るわたしの横で笑う彼女と、ぎこちないわたし。
彼女はブイサインまでしている。

「……嗚呼、あの人の事ですか」
「——うん」

小さく頷いたわたしの頭を、不知火が優しく撫でる。
人に触れられる事があまり好きではないわたしだが、不知火だけは好きだった。

「ッ…わたしの、所為だから」

全部全部自分の所為にしてしまえば楽になれる気がした。
それは全て、勝手な思い込みだったのだと気付いたが。
そう言った瞬間、不知火の短い黒髪が風に揺れた。

「そんな事を言う貴女を、あの人は望んでは居ませんよ?」

わかってるよ。
そう言おうとしたのに、声が出なくなった。
息が詰まった。この世界に、彼女が居ない生活に。あの人、と不知火が彼女の話をするたびに、心が締め付けられる思いがする。
強がって笑ってみる。だけど、わたしは今、笑えているのだろうか。

「…無理しないで下さいね」
「うん」

わたしはずっと彼女を探して居る。
わたしはずっと彼女を思っている。
だから、わたしは。

「————っ」

わたしは彼女を、思ってる?
嘘嘘嘘ウソウソウソうそうそうそ。

わたしは、彼女を思って無い。
きっとわたしは、彼女を利用しようとしているような気がしている。

そう、舞い落ちて行く雪を見てわたしはただ切なくなった。


Page:1



この掲示板は過去ログ化されています。