ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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     まっかっか。【短編】
日時: 2011/02/11 21:25
名前: 青色 ◆wYQ49VzLeo (ID: VWe1Yz33)

ダーク掲示板初投稿、皆様初めまして、青色です。
いつもはコメディライトにいるのですが、PNは違いますので知らないと思います。
今回は何となく、シリアスを書きたいと思いまして……挑戦させていただきます。
ヨミキリを溜めてみるという形の小説にしたいと思っています。長編は続きそうにないので……
まあ、気付いたら長編になっている可能性もあります。

初めてのダークですので、グロじゃなかったりダークじゃなかったりします。狂気系の方だったり……
初挑戦なので、暖かく見てくださることを願います。では、ごゆるりと。気紛れ更新にお付き合いください。



 まっかっかな、
     せかい

        ( 綺麗ね、)

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Re:      未定。 ( No.1 )
日時: 2011/02/05 18:44
名前: 青色 ◆wYQ49VzLeo (ID: u58hNmdw)


【 おとうさん 】

 夜中、トイレに行こうとして。悲劇は起こった。
 アルコール中毒だった親父が、母を暴行していた時だった。母は苦しそうな表情を浮かべ、父は笑いながら、母を殴っていた。
 私は、トイレに行くのも忘れて。立ち尽くしてその光景を見ていた。
 母が苦しんでる。助けたい。でも、怖い。
 そんな気持ちが私の体中を巡ったが、私は動くことも出来ず、愛しい母を見つめていた。

 父がキッチンの方へと向かうのを、見た後。母はボロボロ泣き出した。
 母の苦しそうな表情は、私の心を苦しめた。やがて、父がキッチンから戻ってきた。
 歯を剥き出しに、焦点の合わない瞳で、血管の浮いた拳を振り回して。
 また暴行が始まるんだと、私と母は怯えた。でも、そんなことは起こらなかった。
 父の手には銀色に光る刃が、握られていたから。
 そして、その刃は母の胎を向いて振り翳された。そして、振り下ろされる———

 包丁で切り刻んだ時、母の胎から真っ赤な燃えるような、血が飛び散った。
 母は、胎からどくどくと血を流して、弱々しくその場に崩れ落ちた。
 肌の色が白くなり始めていた。呼吸も乱れて、とても苦しそうだった。悲鳴を零すこともなく、ただ黙って死にかけていた。
 父は、そんな母に容赦なく刃を向け、次は頬に包丁を向けて、刺した。
 景色が歪むような音が聞こえて、そして甲高い母の悲鳴が聞こえた。
 母の頬を父の振り下ろした包丁が、貫通したのだ。ぼたたっという重たい液体が滴る音を耳にする。
 その音を聞いて。私は、母の姿を想像するだけで、吐き気が襲ってきた。
 逃げなきゃ、お母さんも私も助からない。近所のおばさんに言わなきゃ。
  
 私は歯を鳴らしながら、その場から離れようとした。
 お父さんが怖い、逃げなきゃ逃げなきゃ。その一心だった。
 錘でもつけられたみたいに、足が重い。動かさなきゃ動かさなきゃ。その思いでいっぱいだった。
 何の運命か。私は、ようやく動かせるようになった足を、棚にもたれているバトミントンのラケットに、ぶつけた。
 ばたばたばたっとラケットがその場に倒れる。私は血の気を無くして外に出ようと、飛び跳ねるように玄関に向かう。

 ガチャガチャガチャ……鍵は、開かなかった。
 よく見れば、チェーンがかかっていた。私は指先を伸ばして、足りない背丈を補いチェーンに指を絡めた。
 かしゃんと言う音が聞こえて、チェーンは外される。あとは鍵をあけるだけ。 
 冷たい鍵に指が触れた時。ぼたたたと、音が聞こえた。振り返ると廊下で、私を庇う様に父の前にはだかる血みどろの母の姿。
 私は怯えながら外に飛び出た。深夜だったから真っ暗だった。
 近所のおばさんの家に行くんじゃなくて、遠くに行かなきゃ見つかってしまう。
 私は裸足で真っ暗な夜を駆けた。そしたら、父さんが怒ったような表情で。
 血に塗れた包丁を手に追いかけてきた。お母さんは。お母さんは?お母さんは死んじゃったの?
 そう考えたとたん、吐き気と嫌悪がこみ上げてきた。どうしたらいいの、みつかったらおわりだ。
 警察の所へ行かなくちゃ。でも、どこになら警官はいるの。お父さんを取り押さえてくれる人がいるの。
 私は足の裏の痛みを堪えながら、次の角を右に曲がると。血の色に染まった刃を煌かせ握った、父の姿が、そこにはあった。
  
「お、とう……さん」

 渇いた唇を動かす。怖い怖い怖い怖い。
 何時もよりも優しそうな穏やかな表情が怖い。
 お酒を飲んで怒っている方がまだ怖くない。微笑む姿が怖い。

「楽しくない鬼ごっこだったな、ミサキ。それじゃあ、お母さんのもとへ行っといで?」
 
 にこりと微笑む父。真っ赤な包丁が振り翳される。
 ぽたりと私の頬に母の血液が滴った。それが合図と言うように、父は。
 私の頭部に包丁を振り下ろした。


  ああ、わたしもころされた。



———————————————————
初めてのシリアス。
正直在り来たりすぎて泣けてしまいそう。
ダークっぽくない……暗そうで暗くない話。

ホラー感なしだ……コレをホラーと読んでくださる方。
慰めどもです。ありがとございます。

まあ、諦めずに挑戦していきたいなと思います。
ホラー目指している訳ではありませんので、
開き直ったように頑張っていくつもりです。では。

Re:      未定。 ( No.2 )
日時: 2011/02/11 21:22
名前: 青色 ◆wYQ49VzLeo (ID: VWe1Yz33)


 カチカチカチ、時計の短い針が夜の11時を指した頃。
 僕は街灯の光しかない、物音立てぬ静かな道を歩いていた。ふうっと息を吐くと、白い煙のようになったあと、すぐに消えていった。もう12月か、早いなあと思いながら、足元にあった小石を蹴飛ばす。肌寒い風が、鼻を撫でていった。 
 こんなに夜遅い時間に、道を歩いているかというと。今年、僕は、受験生となり受験に終われる日々を送っているからだ。
 ひっそりと夜遅くに塾から帰って、明日を迎えると学校の繰り返し。いい加減、飽きるというか。それに僕はどうしようもなく、普通な奴だった。成績は中の中と言った所で、平均レベルって所だった。
 今日は早く帰って、暖かい布団を巻いて寝てしまおうと、この後の予定を脳裏で立て、ふとを横目で裏路地を見た。
 家へとの近道として、頭の中にはあったが、明かりも無く。泥棒とかホームレスとかがいそうで、何かと物騒だったから、入ったことは無かったが、今日は足を運んで、早く帰ろうと思った。
 一歩、足を踏み入れるだけで、冷たい風が横を通り過ぎる。恐怖に近い寒気が、僕の中で流れたが、それを無視してもう一歩、足を踏み入れた。ひたひた、という音が聞こえたあと、人の気配を感じて。僕は息を呑んだ。
 足が動かず、その場で立ち尽くしていると、その音は次第に大きくなってきた。
 呼吸をするのも忘れそうになるほど、僕は何も出来なかった。恐怖心が膨らんでいくのを感じる。
 すると、道の奥から現れたのは、少女だった。10歳前後の身長に、幼げ残るあどけない輪郭に、表情。茶色の髪の毛。小さな瞳。
 少女はにこりと僕に微笑んだ。優しそうな笑み。少女はついで、小さな唇を開いて、僕に語った。

「人間て素敵よね」

 「えっ?」と僕がいう。少女は気にせずに、語り続ける。

「切ったら、ぴちゃぴちゃあって、水風船みたいに割れて液体が散るのよ」

 うっとりとした表情で。長い睫毛の瞳を伏せて。
 僕は、血の気を無くしたように立ち尽くす。何、言ってんの?

「その赤い色はとても綺麗なのよ」

 次いで、嬉しそうな表情。

「貴方もきっと、素敵な赤い色をお持ちなのでしょうね」

 最後に陶酔したような表情。

「ねえ、見せてくださる?」

 少女が笑った。そして、銀色の刃をナイフを僕に向けてきた。
 恐怖心が僕の全てを覆う。怖い怖い怖い!
 声が出ない。でも、叫び声が出る。矛盾してる、何コレ、世界が回ってる。

「あっ、あっ、あっ、ああぁぁぁああ!」

 何だよコレ、何だよ何だよ。どういうこと、コレ?
 僕は逃げようとしても、足が動かない。嘘だろ、夢なんだろ?
 やめてくれよ、ドッキリと。でも、僕

「そう叫ばないで?大人しくしてくだされば、痛くはしませんよ」

 彼女は一瞬鋭利な視線を、向けたが。すぐに笑う。
 楽しそうに愉しそうに。愉快に。嬉しそうに、微笑ましそうに。綻んで。
 なにこれ、意味分かんない。
 少女は近づく、足音を立てて。ひたひた、ひたひた、ひたひた。ピタリ。
 銀色の刃を、僕に向けて笑う。その笑みは、美しいのに。どこか冷たかった。

「もっとも、痛いかは人それぞれですけどね?」

 刃を僕に向けて
 ぐじゅり、という音が聞こえたような聞こえなかったような気がする。僕はその場に倒れる。
 腹が、痛い。赤い血が溢れる。「ひっ」喉の奥が引き攣るような気分。何コレ。どういうこと?
 僕は頭をくらくらさせながら、渇いた唇で悲鳴を叫ぼうとしたのに。出ない。
 少女は、「まあ、綺麗」と言った後、笑う。

「それじゃあ、素的な水風船を。割りますか」

 少女はまた笑う。僕は意識を手放す。あ、あ、あ。力をなくして、気を失う。
 少女は刃をたて、僕の腹部につきたて、話、付きたてるを繰り返して。
 美しい顔を真っ赤な血飛沫で、染め上げたあと。にこりと微笑むように笑った。


 【 赤 い 液 体 の 入 っ た 水 風 船 】


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