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その藍の旅人は
日時: 2011/02/05 23:59
名前: 更紗蓮華 (ID: lNJ.MCVY)

ねえ、こんな話、知ってる?
夜月の神と、月夜の神の話。・・・話、というよりは、神話に近いかしら?
そっくりながら決して相容れない、だけどお互いが無いと存在し得ない、1組の神様。
・・・え? そんなこと知ってる? 常識だって?
ふふふっ、知ったかぶりはだめよ。だって、絶対に知るはずがないんだもの。
これは、この世界の神話じゃない。ずーっと遠くの、だれも知らない世界の物語。
・・・ねえ、聞いていってよ。この物語を。
本当にその世界で伝わっている神話とは、少し違うけれど。
だけど、人が伝える神話なんて、どれもアテにならないもの。
それとも、もしかしたら私の言葉が一番信用ならないのかしら?
・・・あらあら、そんなにふくれないで。怒らせちゃったかしらね。
さあ、では語り始めましょうか。
二人の・・・いえ、三人の神の物語を。

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Re: その藍の旅人は ( No.1 )
日時: 2011/02/06 09:41
名前: 更紗蓮華 (ID: lNJ.MCVY)

「昔々、ずーっと昔。それは、神代のころのお話です・・・」

ポロン、と竪琴が鳴る。歌うように、物語を紡ぐ少女。
暗い森の奥、月明かりに照らされた少女の周りには、その物語を心待ちにする、小さな者たち。

「まだ地にも天にも神はいて、笑い、泣き、時に愛しあい、憎み合いながら、人と同じように生きていました。
 夜月と月夜。相対しながらも寄り添い、愛しあいながらも憎みあう。そんな、対の神の話」

ポロン、ポロン。その儚げな音色は、光となって闇夜を照らす。
奏でるように。か細い声は、闇を絡めて月光に映える。

「それは、儚く悲しい物語・・・」


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