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君がくれたもの
日時: 2011/02/10 19:16
名前: 夏奈 (ID: lDEsvGbw)

ねぇ、神様。
どうして彼女を選んだのですか?どうして助けてくれないのですか?
神様は僕らに残酷な運命を与えた。



6年前・・・僕の大切な人は病気で死んだ。
君はいつも笑っていたね。
つらくて・・・苦しかったのに僕の前ではいつだって笑顔でいたね。
大切な「物」を見つけたと同時に大切な「者」を失った・・・。

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Re: 君がくれたもの ( No.1 )
日時: 2011/02/10 20:15
名前: 夏奈 (ID: lDEsvGbw)

15歳の時、僕には彼女がいた。名前は高橋由利香。優しくていつだってほわほわした感じを持っている奴だった。
由利香がいて僕は幸せだった。同じ空間にいるだけで嬉しかったのに・・・。何で・・・「浩輝・・・あのね・・」何で・・・「私、膵臓ガンなんだって。」どうして・・・「だから入院しなきゃいけないって・・・助かる・・可能性も少ないって。」由利香・・。
           僕をおいていかないでくれ・・。



色々説明してなくてすみません。

高橋 由利香(15)
膵臓ガンで亡くなった女の子。
市石浩輝の彼女。浩輝に隠していることがある。

市石 浩輝(15)
高橋由利香の彼氏。
由利香のことを想う優しい彼。

後から登場する人
北本 陸(15)
市石浩輝の友達。
頭がよく頼りにされる。両親を幼い頃
になくし、祖父も病気で亡くなった。
今は祖母と暮らしている。

設定はこんな感じです。
分からなかったり、言葉がおかしい所があるかもしれませんが気軽に見てください。

Re: 君がくれたもの ( No.2 )
日時: 2011/02/14 22:18
名前: 夏奈 (ID: lDEsvGbw)

            突然告げられた運命。
        あらがえない・・・悲しい運命・・・。
       でもそれはまだ「始まり」にすぎなかった。

Re: 君がくれたもの ( No.3 )
日時: 2011/02/14 22:38
名前: 夏奈 (ID: lDEsvGbw)

由利香が入院してしまうこと・・膵臓ガンだったということ・・助かる可能性がほとんどないということ。それを一気に全部聞かされた僕は、しばらく何も言えなかった。だけど、いつまでも黙っているわけにいかなかったから、由利香に一番疑問に思ったことを聞いてみた。
「あ・・・。なぁっ・・膵臓ガンっていつから・・?」
「一週間前にね、家で倒れちゃって病院に行ったら見つかったの。」
じゃあ・・・最近、食欲がなかったのも・・腰痛がひどいっていうのも、病気があったから・・・?
「何で・・すぐに教えてくれなかったんだよ・・。」
「ごめん・・・。私も気持ちに整理つけるの時間かかっちゃったの。」
「だからって!・・・ぁ・・ごめん、つらいの・・お前の方なのに。」
「ううん。私つらくないよ。だって、可能性低いって言ったって分からないでしょ?」そう言って、由利香は微笑んだ。
「そう・・だよな・・。見舞い、ちゃんと行くからな。」
「うん・・・。浩輝、忙しい時とか無理しないでね・・。」
「あぁ、分かってるよ。な。」僕は由利香に向かって笑ってみせた。
うまく笑えていたかどうか・・・それは分からなかったけれど。
      僕たちは泣いたりせずにそれぞれの家へ帰った。
だけど、僕はやっぱり耐えきれずに泣いた。あいつはまだ笑っているのだろうか?泣いている親やお姉さんにあの明るい笑顔を向けているのだろうか?    あの笑顔のもとは何なのだろうか?

Re: 君がくれたもの ( No.4 )
日時: 2011/02/14 23:19
名前: 夏奈 (ID: lDEsvGbw)

次の日には、もう由利香は入院することになっていた。僕といたかったから入院を引き延ばしていたそうだ。僕は、学校へ行ってから見舞いに行くことになっていたから、とりあえず学校へ行った。授業をうけて、やっと放課後になったと思ったら先生に呼び出されて「北本にプリントを渡してくれ。」と言われ、急いで北本をさがした。
北本というのは僕の友達で、頭が良く気の利くやつだ。実は、北本には両親がおらず祖母と暮らしている。両親は事故で、祖父は病気で亡くなったらしい。
「あ。」   「え?」   
「北本、お前にプリント渡してくれって先生が。」
「あ。ありがとう。」
「勉強してたのか?」
「いや、ちょっと考えごとをしていたんだ。」
「そっか・・・。」
「浩輝は帰らなくて平気なのかい?授業中、そわそわしてたから・・。」
「あ・・ああっ!!ごめん、北本、先帰るわっ!」
「うん。あ、プリントありがと。」
「どういたしまして!じゃあなっ!」
「うん、バイバイ。」北本のプリントを渡し終えた僕は、とりあえず走って病院まで行ったのだが、入ったときにも走ってしまったから廊下を歩いていた看護婦さんに怒られてしまった。
番号は・・・106番・・・。
「106番・・106番・・・お、あった。」コンコン「はい。」
「由利香?」 「浩輝?」
「あ〜、良かった。ここであってて・・。」
「ふふ。浩輝、髪ぐしゃぐしゃ。」 「お?そっかぁ?」
とりあえず、髪を直しながら由利香のベッドの脇にある椅子に座った。
「具合どうだ?」 「うん、平気!元気だよっ!」
「そうか。良かった。あぁ・・見舞いに何にも持ってこれなくてごめんな。」 「ううん。良いの。来てくれただけで嬉しいよっ!」
「・・うん・・。」 「浩輝・・?」
「検査やったのか?」「うん。」「どうだった?」「やっぱり悪化してたよ・・・。」
「そうか。」「浩輝・・どうしたの?」「・・いや・・。」
「浩輝がいてくれて嬉しいよ?」「!?何で・・。」
「何で思っていたことが分かったんだ・・・って思ってるんでしょ?何年一緒にいると思ってんの?浩輝の思ってることぐらい少しは分かるよ。」「ははっ・・。分かるんだ?」「分かるよ。彼氏のことだもん!」「だもん!って・・。はははっ・・。」「笑うとこじゃないよぉっ!」「怒るなよ〜。でも・・だもん!って・・ぷっ・・あははは!」
「笑うなあっ!!」「はいはい。お、時間だからそろそろ帰るよ。」
「えっ!もう帰っちゃうの?」「ごめんな。明日早いから・・。」
「う、ううん!平気だよ!ありがとう。」「あぁ。」「バイバイ。」
「うん、じゃあな。」パタン・・。「はぁ・・・。」僕は病室を出ると深いため息をついた。由利香、本当は寂しいんだろうな・・。
優しい奴だから僕のことを気にして、あぁ言ってくれたのだろう。
「ごめん。何もできなくてごめんな・・・。」
そう言った僕の言葉は誰にも届かずに静かに消えた。


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