ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 幽閉少女は屍を愛でて死ぬ
- 日時: 2011/02/12 00:56
- 名前: なる ◆7lihNriEqk (ID: nxPXMTJg)
初めまして なるです
今回は必要最低限のキャラクターで物語を構成してみようと思います。
繊細な作品にしたいので読みにくさは人一倍ですが、お付き合い頂けると嬉しいです。
★登場人物
リスト
>>1
シェリーベルフ伯爵
>>2
Page:1
- Re: 幽閉少女は屍を愛でて死ぬ ( No.1 )
- 日時: 2011/02/11 22:36
- 名前: なる ◆7lihNriEqk (ID: nxPXMTJg)
リスト
オーストリアのとある塔に幽閉された16歳の少女
親に売られたリストを買ったのが今の主人であり、リストの夫であるシェリーベルフ伯爵。
幼い頃からシェリーベルフ伯爵に教養を叩き込まれ、外界との接触を遮断されてきた。
銀色のウェーブした髪に紫の目が類稀なる美顔を引き立てている。
- Re: 幽閉少女は屍を愛でて死ぬ ( No.2 )
- 日時: 2011/02/12 01:07
- 名前: なる ◆7lihNriEqk (ID: nxPXMTJg)
シェリーベルフ伯爵
先代からの大地主で、豪華絢爛な生活を送っている。
売りに出されていたリストに一目惚れし、大枚を叩いて念願の購入を果たすも直ぐに飽き、リストを離れの塔に幽閉する。
リストとの間には4人の子供がいる。
金髪を後ろで一つに縛った髪型で、赤い衣服を好んで着用している
現在41歳
- Re: 幽閉少女は屍を愛でて死ぬ ( No.3 )
- 日時: 2011/02/12 15:14
- 名前: なる ◆7lihNriEqk (ID: nxPXMTJg)
小高い丘陵に聳え立つ、煉瓦造りの巨塔。
蔦をまとった外観は人を寄せつけず、長年放置されていた塔の周りには背の高い雑草が競い合うように生えそぼっている。
オーストリア郊外のとある小さな街。
その街に巨塔はあった。
点々と散らばる集落をかき集め、大地主であるシェリーベルフ伯爵が統制したのが街の始まり。
強欲に支配されたシェリーベルフ伯爵は、先代から引き継いだ地位を利用して大きな城を建てた。
それこそが、かの有名なシェリーベルフ城である。
そして時は経ち、城が現在の陰湿な姿に変貌を遂げた頃。
離れの塔に、美しい一輪の薔薇が咲いていた。
シェリーベルフ伯爵が大枚を叩いて買った、美しい銀色の薔薇である。
柔らかい笑みを湛えたその少女は、無駄な抵抗を一切見せることなく狭い塔に閉じ込められた。
まるで自分が幽閉されるのを待ち望んでいたかのように。
幽閉されるのが宿命だと、たかを括っていたのかも知れない。
どちらにせよ少女は、人形のようにやすやすと塔に閉じ込められてしまったのである。
そして今日も少女は塔の中にいる。
育ての父であり、主人でもあるシェリーベルフ伯爵から授かった4人の娘達に思いを馳せ、一人静かに幽閉されている。
友達は当然の如く一人もいない。
ただ唯一の話し相手が、愛猫のルナであった。
ルナは上品に整った黒い毛並みをリストに擦り寄せて、甘い鳴き声でリストを誘惑する。
首に掛けられた青い首輪には、銀の薔薇があしらわれていた。
リストはルナの背中を一撫ですると、モミの木でできた粗雑な棚から、古びた蔵書を取り出した。
「アドベージェフの兄弟」
特に有名な著者が書いたものではないが、リストにとってこの本は宝物だった。
本を抱えて、窓際に置かれた椅子に腰掛ける。
ギシリと板が軋む音が響き、その椅子がいかに年季の入ったものなのかを確かめさせられた。
リストが本を開くと、膝の上にルナが飛び乗ってきた。
ここがルナの特等席なのである。
リストはそんなルナの行為を気にも留めず、ぶ厚い紙の束を一枚一枚捲っていった。
物語はこうだ。
ある貧しい村に、アドベージェフの兄弟と呼ばれるとても頭の良い兄弟がいた。
二人はとても仲が良かったが、ある日突然親の都合で離れ離れにされてしまう。
それから月日は流れ、お互いには妻も子供も出来た。
だがしかし依然として連絡はつかず、兄弟の仲は冷めていくばかり。
お互いがどうにかして会いたいと考えていた頃、母親が亡くなったという訃報が届いた。
兄弟は葬儀に出席した際に、念願の再開を果たす。
しかし亡くなった母親の遺品を整理していると、驚くべき事実が発覚してしまった。
兄弟は、本当の兄弟ではなかったのだ。
その事実を知ったのは兄だった。
弟を悲しませまいとその事実を隠し始めた兄だったが、遂に弟にばれてしまう。
弟は当然驚き悲しんだが、最後には笑顔を湛えながらこう言った。
「俺たち、兄弟だろ。隠しごとは無しだ。」
兄弟は本当の兄弟になった。
というような物語である。
リストは離れ離れになった兄弟に自らの姿を重ね合わせ、感傷に浸っていた。
顔も覚えていない両親から貰った、唯一の宝物。
それが「アドベージェフの兄弟」だった。
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