ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 神と種と滅びと唄
- 日時: 2011/02/14 21:07
- 名前: 更紗蓮華 (ID: lNJ.MCVY)
この世界では、人間は大きく4つにわけられます。
今はなき創造神の遺した力の欠片、【奇跡の種】を持つシードホルダー。
現存する神からその力と役目を受け継いだ、神位持ち。
人の身には余る巨大な魂を持ち、それに則した異能を持つ異形の者、咎人。
そのどれにも属さぬ普通の人々。
そして、別の方法では、人間は3種類に分けられます。
[光]に属する【奇跡の種】、もしくは神位を持つ者。
[闇]に属する【奇跡の種】、もしくは神位を持つ者と、咎人。
どちらでもないシードホルダーと神位持ち、普通の人間。
・・・といっても、2つ目の分類は、後世の人間たちが勝手に決めたことですが。
[光]は善、[闇]と大きすぎる力は悪。そういう考えから生まれた分け方です。
しかし、[光]は必ずしも善なのでしょうか?
[闇]は、そのすべてが悪なのでしょうか?
当たり前だ、と思うかもしれません。
でも、本当にそうなのですか・・・?
常世の神と創世の遺産、滅びを呼ぶ者・・・そして、だれも知らない【新しき唄】。
4つの力が交わるとき、世界は終わって、また始まる。
それは、新しい創世の物語・・・。
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- Re: 神と種と滅びと唄 ( No.1 )
- 日時: 2011/02/18 17:39
- 名前: 更紗蓮華 (ID: lNJ.MCVY)
「柚姫(ゆずき)のあほっ!」
「アホってゆーなっ! 綾音(あやね)のほーがもっとアホだっ!」
ぽくぽくぽく。女の子2人が、取っ組み合いの喧嘩をしている。
といっても、小さな女の子2人だ。迫力とかはまるでない。むしろ、ちょっと微笑ましいぐらいだ。
「だって、だって。ホントに見たんだもんっ! 種のお姉さんが、火事起こすの見たんだもんっ!」
半分泣きべそをかきながら、白い髪に淡い青緑の瞳の女の子、柚姫は言った。むしろ叫んだ。
「・・・・でもっ! ホントでもそんな事言っちゃダメなの! ダメなんだよ!」
黒髪に深い紫の目の女の子、綾音も負けじと声を張り上げる。
それを見てびっくりして振り返った公園のお母さんたちは、ヒソヒソとうわさ話を始める。
「やだ、あの子・・・」
「ああ、坂上さんとこの? あんなこと言って・・・」
「最近あればっかり、一度や二度なら子供のことだけど・・・親が親だと、子も子なのね」
「なんでこんなところで遊ばせているのかしら。うちの子に近寄らせないでほしいわ」
そう言いながら、それとなく自分の子供たちを柚姫から離れた公園のすみに連れて行く。
その陰口を聞いて、その行動を見て。柚姫は顔をくしゃっと歪めると、泣き叫びながら公園を飛び出して行った。
「あっ、柚姫っ!」
慌てて後を追いかける綾音。
その様子を見て、ほっとしたようにお母さんたちはまた子供たちを自由に遊ばせ始めた。
あの2人には近寄っちゃだめだよ、としっかりと教え込んでから。
「ゆず・・・柚姫っ!」
「来ないでよぉっっ! だって、どうせゆずはっ・・・!」
綾音は、泣きながら逃げる柚姫を必死に呼び止めるが、絶対に止まらない。
そのうちに。
「あっ」
べしゃ 涙で視界が悪かったのと、うつむいて走っていたのと、足元がおぼつかなかったのと。
いきなり、つんのめるように転んでしまった。
「・・・痛いよぉ・・・」
「柚姫っ・・・ゆず! だいじょうぶ? 痛い?」
心配した綾音が慌てて駆け寄ると、柚姫は、しゃがみこんだままでポロポロと涙を零す。
「だって・・・ホントだもん・・・」
泣きながら、まだそんな事を言い続けている。
「・・・分かってる。私だって分かってるもん! ゆずは嘘をつかない。
だけど・・・だけど。【奇跡の種】は神様の種。神様の種に選ばれた人の悪口は、ダメなんだよ。
ホントのことでも・・・ホントのことだから、ダメなんだよ!
そんな事言ったら、ゆずが・・・ゆずがっ!」
今度は、綾音が泣き出した。慌てて柚姫は綾音の頭を撫でる。
「ごめん、ごめんねっ! だって、知らなかったの。知らなかったんだよ・・・」
その後、結局綾音が泣いていた時間のほうが、柚姫が泣いていた時間より長かったらしい。
それは、2人の小さい時の話。
- Re: 神と種と滅びと唄 ( No.2 )
- 日時: 2011/02/18 17:41
- 名前: 更紗蓮華 (ID: lNJ.MCVY)
そして、それから5年。
2人は、私立砂波(さなみ)学院中等部の2年生になった。
いちじちゅうだん
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