ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

     ( Fly . )  、 短編集*
日時: 2011/02/17 17:58
名前:  天音、 ◆wkTL.Kzd2I (ID: 5RAlDtaS)

    僕にも、私にも。
    翼があったらあの空高く飛べるのに。
    
                ——…Fly .
 
        ———————

  どうも初めまして、天音[あまね]です(*´ω∩)
  初,小説はいじめについての短編集を書きたいと
  思います(´・ω・)
  駄文たくさんで読みずらいと思いますが,どうぞ
  優しい目でご覧下さい .
  
        ———————

  ▼Story . 

  ( 私は幽霊 . )
  ■ >>01[ごめんね] >>02[小鳥] >>03[出会い]
    >>04[決意] ■

Page:1



Re:      ( Fly . )  、 短編集* ( No.1 )
日時: 2011/02/16 20:46
名前:  天音、 ◆wkTL.Kzd2I (ID: 5RAlDtaS)

 ( 私は幽霊 . ) - Good-by -

▼Cast .

柊 羽月 … 15歳。妹が死んでから、暗くなり、中学入学から卒業近くまで、友達が居ない。

美羽  …  12歳と言う幼さで死んだ。幽霊となり、羽月の元へと現れる。

▼Story .

私は幽霊。実際には死んでいない。生きているが、暗くて誰にも気づかれない人間。いわゆる、『自称・幽霊』と言う事になる。中学入学前には、友達が居た羽月だが、理由があり、とても暗くなってしまった。
理由は、自殺し、亡くなった妹にあった。
家ではとても明るく、姉の羽月にとても優しく接してくれた妹。だが学校内では、とても激しいいじめに合っていた。
とても明るく接していた妹が、まさか学校でいじめに合っているとは、羽月には驚くばかりの現実だった。
そして妹の小学校最後の日。

妹は落ちた。 小学校の、20m程の高さから、自分から落ちた。 そう、自殺だ。

もう耐えれなくなったのだろう。学校に行くたびに、バケツを投げられたり、トイレの水を掛けられたり。もういやになったんだろう。
死体は信じられないぐらい血が出ていて、ぐちゃぐちゃだった。もう手も負えず、病院に配送される前に、もう亡くなった、と感づかれていたぐらいだったらしい。
その頃私は中学校に居た。妹が亡くなったと伝えられたのは、死んでからおよそ6時間後ぐらいの事だ。
本当は学校に連絡するものだが、大事にしたくない、と羽月の親あっての希望で、後から連絡された。
もっと早く連絡してくれてたら、妹に謝れたのに。

『 気づいてあげれなくて、ごめんね。』

って。聞こえなくてもいい。死んでるんだから、聞こえるはずのない妹に、ただただ謝りたかった。
出来れば、生きている間の妹に———…。

      ————————————

「 出席を取ります 」

羽月の担任が言った。朝のHRは、羽月に取って地獄の時間だった。

「 葉山さん——… 」
「 はい 」

ああ、もうすぐだ…。
羽月は途方に暮れ、目をぎゅっとつぶった。
また地獄だ。一瞬だけれど、地獄が来る。

「 柊さん———… 」
「 ! ! は、はい… 」
「 柊さんは、またお休みですか 」

そう言って担任は、観察ぼに、『柊、休』と書いた。
居るのに。毎日来ているのに。私は誰にも気づかれない存在。

私は幽霊。

>

Re:      ( Fly . )  、 短編集* ( No.2 )
日時: 2011/02/17 17:12
名前:  天音、 ◆wkTL.Kzd2I (ID: 5RAlDtaS)

▼ .

1時限目が始まった。羽月は窓側の後ろの席で、全然目立たない場所にある。初めから目立たない羽月だったが、はじっこになって、もっと目立たなくなってしまった。
今日の日付は16日。羽月の番号は16番。羽月の担任は、日付の番号の生徒にあてると言う癖があった。
でも羽月は、一度もあてたれた事がない。居ると、気づかれていないからだ。
丁度窓辺の席なので、春には満開の桜が咲く、木の上を見ていた。
あの桜の木には、誰にも気づかれない小鳥の巣があった。あそこに巣があると知っているのは、多分羽月ぐらいだろう。

「 次の問題は——…今日は16日か。16番は誰だ ? 」
「 先生、柊さんです 」

生徒のひとりが担任の問いにすぐさま答えた。実際にはいる羽月だが、この際黙って聞いていた。
そして担任が、生徒の答えに返した。

「 そうだったな。じゃあ、17番、答えろ 」
「 げー、何で来ねえんだよ柊 」

いるのに。本当は居るのに。
影が薄いと言うよりもっとひどいわたしは、この世に必要なの?
と、羽月は心の中で叫んだ。心の中でしか叫べない想いを、ぶつけたいのはやまやまだが、そんな気持ちを必死にと抑えた。
羽月は誰にも気づかれない小鳥の巣を見た。

私は幽霊。——…あなたも幽霊?

>

Re:      ( Fly . )  、 短編集* ( No.3 )
日時: 2011/02/17 17:26
名前:  天音、 ◆wkTL.Kzd2I (ID: 5RAlDtaS)

▼ .

休み時間の予鈴が鳴った。男子生徒はサッカーボールを持って外へと駆けて行ったり、教室で走り回ったり、とにかく自由な時間だった。
そんな時、羽月も男子の流れのはじっこに混ざって、校庭へと向かっていた。
外へ出ると青空が羽月を迎えてくれた。冬には良く見える、雲ひとつない綺麗な空をしばらく見つめていた羽月は、ふいにどこかへと歩き出した。
羽月が向かったのは、一本の桜の木の下。上を見ると、見覚えのある生徒がじゃれあっているのが見えた。
そう。此処はついさっき羽月が見ていた桜の木。桜の下には、枯れた葉が所々に落ちているのが気づく。
そして木には小さな蕾。これを見ると、もう春が近付いているんだ、としみじみ思う。
そんな羽月は、上を見上げた。

「 小鳥さん、小鳥さん。寒くないのかしら ? 」

羽月はひとりごとのように一匹の小鳥に話しかけた。まるで羽月の言葉が分かっているかのように、小鳥はチュン、と鳴いて返した。
その時羽月は、足元に小さな動くものがあったのに気がついた。
それは小鳥だった。雛だろうか。とても小さく、少し暖かく感じた。
ああ、巣から落ちたんだな、きっと。羽月はそう思い、小鳥を抱いた。

「 待っててね、今お家に返してあげるわ 」

そう羽月は呟き、小鳥を包んでいる両手を上に差し出し、下にあった木と木の間に足を掛け、登ろうとした瞬間

『 優しいのね 』

どこからともなく声がした。とても優しくて、風で包んでくれそうな、暖かい声。
羽月は、( 空から聞こえた )と思いこみ、空を見上げた。そこには——…。

『 …気づいた ? 』

浮かんでいる少女が居た。顔は幼く、体もまだ伸び盛りな、小学生のように見えた。しかし浮いている。
リアル幽霊?羽月はそう思い、一歩下がった。

『 怖がらないでよ。別に呪ったりしないから 』

そのひとりの幽霊の声に、羽月はちょっとばかし安心し、肩を下げた。
小学生なのに、死んじゃったの、この子…。
羽月はそう感じ、少女の足に手を伸ばした。
すると手はすうっと少女の足をすりぬけて空へとのびていた。

「 あなた…死んでるの ? 」

羽月が尋ねたら、少女はくすりと笑った。

私は幽霊。 ( あなたも幽霊。 )

>

Re:      ( Fly . )  、 短編集* ( No.4 )
日時: 2011/02/17 17:50
名前:  天音、 ◆wkTL.Kzd2I (ID: 5RAlDtaS)

▼ .

『 仲良くしてね 』

あの後、少女は羽月にこう告げて、どこかに消えて行った。
一体何だったの?羽月は夢のように思い、頬をつねってみたが、凄く痛かった。
少女の名前は美羽と言った。どこかで聞いた事がある、と羽月は思った。誰か身近な人が、同じ名前だったような気がすると。まあいいや、と羽月は歩き出した。手の上にあった雛は、いつの間にかいなかった。
もうすぐ2時限目を告げる予鈴がなる。早く帰らないと。羽月の足取りはだんだんと早くなっていった。

そんな羽月を後ろから見ていたものは、空に浮いていたのだ。

       ——————————————

鐘が鳴り、生徒がガタガタと席に着く。羽月はなる前には座っていて、静かに本を読んでいた。
担任がガラっとドアを開け、教卓の前に立った。すぐさま日直が号令を掛け、授業は始まった。次の授業は英語だ。
羽月は英語の教科書を出し、頬杖をついて、窓の外を見た。そしてそこに、驚くべき光景があった。
桜の木にある小鳥の巣に、美羽が居た。そう、さっき羽月の前に現れた、あの幽霊少女だ。
美羽はどこかに隠してあったのか、小鳥を取り出し、巣へと返していた。あの鳥は、確か羽月が先ほど、拾ったものである。いなくなった理由は、美羽が羽月の手から取ったのだ。
この光景には、羽月は口をあけて見ているだけだった。開いた口がふさがらないとは、まさにこの事だろう。 その時、美羽は羽月に気づき、羽月の方へと視線を向けた。
羽月は驚き、ついつい黒板に視線を戻してしまった。と言うより、目をつぶってしまった。そんな羽月に美羽はくすりと笑い、どこかへと動き出した。
どこかへ行ったかな?羽月はそっと目を開き、前も見ずに窓の方に視線を向けたが、誰もいなかった。
ほっとし、前を向いた羽月は、またもや驚いた。

『 もう、何で無視するのよ 』

そう、目の前には美羽が居たのだ。ついさっきまで窓の外に居たのに…幽霊だから、窓をすり抜けて入ってきたのだろう。
夢じゃない…夢じゃなかったんだ!

「 あ、あなたは誰なの ? 」

羽月は誰にも気づかれないように声をあげた。
すると美羽はこう答えた。

『 あなたと、凄く身近だった人 』

わたしと、身近だった人?確かにいたけれど、誰か思いだせない…。
羽月は悩んだ末、美羽にこう尋ねた。

「 あなたは何故、わたしの前に現れたの ? 」

尋ねたが、美羽は答えず、逆に羽月に尋ねた。

『 変わりたくない ? 』

そんな美羽の言葉に、羽月は驚いた。
変わるとは、何なのかと思う人も多いだろうが、羽月はすぐ感づいた。自分が変わりたくない?そういう意味だろうと。
羽月は美羽に、こう返した。

「 変わりたいけど、変われないのが現実ってもんなのよ… 」

そんな羽月に、美羽は言った。

『 あたしと、約束して 』
「 え ? 」
『 卒業まで、友達を作る事。誰にも、頼らなずに ! 』

その美羽の言葉に、ただただ驚いた羽月だったが、美羽に決心を伝えるように言った。

「 作ったら、あなたが誰なのか教えてくれるね ? 」

そう言うと美羽はうん、と頷き、またもやどこかへと消えて行った。
しかしもう羽月の決心は変えられない。
自分を変える。こんなわたしとは、もうおさらば。

私は幽霊。あなたも幽霊。——…前まで幽霊。

>


Page:1



この掲示板は過去ログ化されています。