ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

衰退の地球
日時: 2011/02/18 16:00
名前: シューマイ (ID: MeGdyxZe)

プロローグ

「その時歴史が動いた」

午前9時36分

その時、地球は大きな変動を遂げようとしていた。
上部マントルから地殻にかけて大きな断層が生まれ
大規模な大陸移動が開始しようとしているのである。

大陸移動時には、亀裂からマグマが噴水の様に噴出す。
人類が築き上げてきたハイテク文明は全てこの
マグマに焼き尽くされてしまうのは歴然であった。

立派な知性を兼ね備えている人類は、数ヶ月前から
この事態を予測していた。各国で様々な学会が
開かれ、対策方法が練られたが

どれもこれも有効な手段ではなかった。

一部の大統領や上層部の者は宇宙にスペースシャトルを
作り、コロニーを形成して一部の者だけが地球から
離れるという考えが持ちいれられたが
当然の事、国民からの批判は相当な物だった。

誰もかもがいざとなったら自分の事ばかり。
これでは人類の滅亡は目前である。


混乱に包まれながらも、数ヶ月の月日が過ぎ

ついに、その時が来たのである。

予想時刻は9時35分

この時、地球の各部分に亀裂が生まれ、マグマが噴出される。
一部の上層部は既にスペースシャトル計画を実行しており
宇宙から地球を眺めていた。

地球から宇宙へ飛べたのは極わずかの上層部
だけだった。
国民の批判がピークまで高まり、スペースシャトルに向けて
ミサイルが放たれたのである。

タイミングを見計らって宇宙へ飛んだ上層部達は
運良く逃げられたのだ。

午前9時36分

予想時刻よりは若干遅いが、適切な時間であろうか。
震度5は軽く超える大地震が発生した後、巨大な
亀裂がいたる所に発生する。

国民達は悲鳴を上げ、どよめきながらどこへ逃げたら
いいのかもわからずにうろうろする。

中には発狂してその場で立ち尽す者も居た。

亀裂から鮮血の様にマグマが噴出す。
運悪く亀裂の上にいた人間は、1000度を超える
マグマの洗礼を受け、ヨーグルトの様に
ドロドロに溶けてしまった。

次々と噴出す溶岩に人類の文明は焼き尽くされ
一夜にして人類の文明は崩壊した。

今や地球はかつての姿、原始地球と同じ姿をしていた。

生命の面影など何処にも無い。

そんな一部始終を、丁度地軸の上にいたスペースシャトルから
眺めている者がいた。

ジェームズである。


ジェームズはジョージア州で生まれた陽気な男性だ。
それなりの学校へ進学し、それなりの会社に就職した後
政府関係の仕事へと就いた。

仕事を次々とこなして行く中、ジェームズはどこか
退屈な気持ちになっていた。

与えられた仕事をこなし、安定とした生活を築き上げる。
波乱万丈も何も無い、平らな道を今歩いている。

誰もが理想とする道である。
だがしかし、最初から道が平らだったジェームズにとっては
それはとてもつまらない物だった。

Page:1



Re: 衰退の地球 ( No.1 )
日時: 2011/02/17 23:37
名前: シューマイ (ID: MeGdyxZe)


しかし、そんなつまらない人生も
今、変革を起そうとしている。今起きた地球の
大陸移動は、自分の人生に一つの壁を作った。

地球という故郷へもう帰れなくなるのは
寂しい事だが、ジェームズの心には何かが込み上げてきた。

「こんな所にいたのかい、ジェームズ」

後ろから声がする。振り向くと、そこにはパンチパーマを
かけた茶髪の男性がいた。

「やあ、トム、今日の地球はとてもピーナッツバターでも
塗ったかの様な色をしているよ。」

このパンチパーマの男性、それはジェームズの古き親友
トムである。ノースカロライナ州で生まれ
ジェームズとは中学校時代に出会った。
それから大学に入ってからは一度
離れ離れになるが、就職先で再び出合ったのだ。

トムも政府の位置ではそれなりの地位に居た。
ジェームズと同じく、彼の道も平らなのかもしれない。


Page:1



この掲示板は過去ログ化されています。