ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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狂さん
日時: 2011/02/23 22:07
名前: 朝霞 (ID: MO5pRcbX)

狂さん








狂さん









殺すってどういうことですか??














※注意※


・またまたグロテスクな表現があります。
・つまんないって人は戻る!
・作者がどうしても嫌いな人は戻る!          

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Re: 狂さん ( No.2 )
日時: 2011/02/24 21:34
名前: 朝霞 (ID: MO5pRcbX)

EPISODE2




もう13年がたった。

刺激がほしいと上京し、一人で身の回りの事をしている。
これがフツーなんだ。

でも生活には刺激が無い、いつもの道をいつも通りに辿ってるだけ。

いつも不幸が訪れているのが僕だ。それがらしい。
それじゃなきゃ僕じゃない。
刺激がほしかったんだろう。

僕は人を殺してしまった。たぶん。

だって眼を開けると血だらけで手には凶器で、目の前には震えている母がいたんだ。
死んでないけど、口からはツーッと赤い液体が流れ出ている。


(早く此処から出よう。)


僕はまず服を着替えた。
血だらけの服は、ビニール袋に入れて、ゴミ捨て場に捨てる。
人を殺した犯人が、こんなに落ち着いているのは逆におかしいと思った。



ガチャ




これからはどこに行こう。

「・・・そうだ」

僕の行き先はただ一つしかなかった。



「ただいま。」



無駄にでかいこの一軒家は僕の実家でもあり、僕の『大嫌いな妹』がいる。



「誰??」


「僕だよ。」


「もしかして??」


「ああ、うん。」


「来てくれたんだ!!」

妹は極度の『記憶障害』である。
きっと僕が誰かもわかってないんだろう。
昔の事故が原因で、前頭葉に強い衝撃を与えてしまったからである。


「今日はなにしてたの?」

「うーん。わかんない!!」

「・・・んー」

妹はいつもそう言う。
そういう時はテーブルの上に使用人が書いたメモが置いてある。
それは妹が今日したことなど全てが分かってしまうメモだ。
だが今日はそれが無い。

(まあいいや。)

「あ、俺、今日此処に泊まるから。」

「・・・」

「僕、此処に泊まるから。」

「うん。どうぞ。二階の部屋ならどこ使ってもいいよー」

「・・・じゃあ昔僕が使ってた部屋でいいか。」

「え、昔??」

妹は目を丸くして、こちらの顔を見た。







Re: 狂さん ( No.3 )
日時: 2011/02/24 21:53
名前: 朝霞 (ID: MO5pRcbX)

EPISODE3





やはり覚えていないか———
一か月前のことは完全に、一時間の前の記憶も危うい妹の脳は
徐々に妹の記憶をかき消していく。
妹とは思い出話なんてできない。でも出来なくていい。
そのほうが僕にとって—・・・

「李磨は?使用人の。」

「リマ・・・?あ、ああ!アノ人ね。それなら寝室で寝てるよ。」

使用人が主人の寝室で寝るなんてあり得ないよ。

僕は二階の寝室に行った。
その光景は僕が予想した光景。

そうか。妹も僕と同じだった。

Re: 狂さん ( No.4 )
日時: 2011/02/25 18:54
名前: 朝霞 (ID: MO5pRcbX)

EPISODE4



さて、どうしようか。
寝室に眠る血だらけの使用人は、妹に見えないように何かかけておこう——

僕はベットから白いシーツを取り、使用人の上にかぶせた。

(・・・)


妹は李磨を殺した。
でももうその記憶は妹の脳からは消えてしまったはずだ。もうとっくに。
殺されたのに、殺した本人の脳になにも残らないなんて無残だ。

シーツに隠れた李磨の下から、小さいビーズが散らばっている。

「!」

「なに・・・してるの?」

一階にいるはずの妹は、寝室の前にいた。

「なにも・・・」

妹は早歩きで僕を横に押して、シーツを引っ張った。

「・・・・・・」

「・・・」

「まさか、コレやったのってあなた?



妹は見たことのないような眼で僕を見た。
妹は静かに座ると、口角が上がった。


妹は、
床に散らばるビーズを一粒拾うと、それをベランダに透かせた。ビーズの水色が妹の顔にうつって




とても綺麗だった。

Re: 狂さん ( No.5 )
日時: 2011/02/26 15:28
名前: 朝霞 (ID: MO5pRcbX)

EPISODE5




—警視庁—



「木村さん。容疑者が発見されましたよー。」

警視庁捜査本部の社員、是永は、前を歩く上司の木村に報告をした。

「なんだって?やっと見つかったのか。」

「ハイ。えっと容疑者には妹がいて、妹は昔交通事故にあったらしいです。」

「・・・?他は?他の情報は?」

「えぇ、それが・・・まだわからなくて。なにも言ってくれないんですよぉ。」

木村の動きが止まった。

「そんなことってあるのか?」

「これが初めてだと思われます。あ。家の近くの交番で自首ですって。」

「・・・まあ行ってみるか。許可は下りてるな?じゃあ是永も一緒に・・・」

「ハイ。そう思って。私は今休みなんで。じゃっ」

「お、おう。」


フゥ・・・

俺も部下になめられたもんだ。
上司を置いて休みに入るなんて、

(年は変わらないけど・・・)







—*—








僕は何を考えていたのだろうか。
あれから妹は「普段通り」に過ごしていた。
妹は自分でやった殺人を、ぼくがやったと勘違いしているようだ。
妹には辛い思いをさせたくない。

そう思うあまり、僕は妹の殺人という重荷を代わりに背負った。
僕は自首したのだ。



ガチャ・・・


薄暗い部屋に長身の短い黒髪の男が入ってきた。

「えーと、君を調べている木村昌樹だ。これからよろしくな。」

ペコ

「どーも。」

そう言うと、木村という男は僕と向かい合わせに座った。

「まず、名前を聞かせてくれ。」

「・・・名前・・・」

「名前は?」

今まで紙に目をやっていた木村は僕を見た。

「恭です。」

「・・・名字も教えてくれるかい。」

「あ、黒山で。」

(で?こいつ、きっと嘘をついてる。「偽名」だ。)

木村は気を取り直して、黒山にクリップの付いた紙を差し出した。

「私の部下が君に、いくつか質問しただろう。その結果だ。
 本当は見せるのはあまり良くないんだが、今日は特別だ。」

黒山は色の濃い眼で文を見つめた。

「・・・殺人鬼に出す質問ですよね。」

「!お前、前にも受けた事があるのか?」

「いいえ。これが初めてですよ・・・嫌ですね。疑われるのは。」

「ああ・・・すまん。」

ってなんで俺が。ペースみだされるなあ。

「んで、大変なことが分かった。君の答えは全部、殺人鬼と一緒。」


殺人鬼と一緒ということは殺人鬼とおなじ脳を持っているという事だ。

(危険人物に間違いない。)


「・・・そうですか。それはもっともな答えですね。ってことで、







殺しちゃって下さい。」


Re: 狂さん ( No.6 )
日時: 2011/02/27 15:37
名前: きいか (ID: MO5pRcbX)

EPISODE6


は?何を言っているんだ?こいつは。
こいつは頭がおかしい。
殺してくれって、死にたいのか。

「・・・君は本当に、この事件にかかわってるのか?」

「ええ。自首したんですから。」

黒山は横を向いて、一点を見つめている。
真っ黒な眼は今はもうなにも映していない。

「だがな。君はまだ未成年だね?」

「・・・」

「君がもし人を殺していたとしても、死刑にはならない。」

『残念だったな。』

黒山は俯いた。

「・・・そんなことはわかってるんだよ・・・」


!


「僕はこの世界に生きてちゃだめな人間なんだ。」


「なにを・・・」

ガチャッ

「木村さん!!通り魔殺人事件の犯人が分かりました!!至急「わかった・・・今行く」

刑事は席を立つと、僕と目を合わせた。

「あ、邪魔しちゃいました?すみませんっ!」

部下だと思われる男は、僕の方を見ると「もうとりあえず今日は帰りなさいっ!」と大きな声で言った。



***



妹は一日見ないものは「存在しないもの」と判断してしまう。
僕は空を見上げた。
晴れか曇りがわからない天気だが、僕にはとても美しくみえた。


「ただいま。」

妹は僕をみて目を見開いた。

「・・・誰?」

「僕だよ。」

「ああ!!」

妹は僕に抱きついてきた。

「ごめんね。遊んであげたいけど、ちょっと確認したい事があるんだ。」

「ん?うん」

妹は手を離すと、窓の近くのソファに座った。

ガチャ

寝室—・・・

「死体が無い・・・」

 僕はビックリした。
なぜ死体は無いんだ。

あるていど部屋を見回しても、死体かけたシーツも死体もない。

その時僕の背中に冷たい汗がつたった。


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