ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- MIND CONTROL
- 日時: 2011/02/25 21:23
- 名前: 御守り王子 ◆/2ui9ZetHo (ID: PmZsycN0)
こんばんわーw
初めまして、御守り王子と申しますww
まだまだ未熟者ですが、どうぞよろしくお願いしますw
コメントは大歓迎です!!
荒らしはダメですよーw
アドバイスなんぞしてもらえると、とっても嬉しいです!
Page:1
- Re: MIND CONTROL ( No.1 )
- 日時: 2011/02/25 21:31
- 名前: 御守り王子 ◆/2ui9ZetHo (ID: PmZsycN0)
プロローグ
とある時、とある場所—
失くした心を取り戻すことができる男がいた。
その男はその力を誰かの為に役立てようと思った。
とある時、とある場所—
心を失った少女がいた。
その少女は、自分がここにいる意味をただ探していた。
男と少女は、偶然の糸によって引き寄せあう。
そして。
恐らくは誰も知ることがない、2人だけの物語が始まる……
- Re: MIND CONTROL ( No.2 )
- 日時: 2011/02/27 13:32
- 名前: 御守り王子 ◆/2ui9ZetHo (ID: PmZsycN0)
story 1 「心を感じる男」
多くの旅人でにぎわう街、アーティア。
この世界でもっとも栄えている国、ロレイア王国が誇る観光都市だ。
日々の悩みなどどうでもよくなるような美しい自然の景色を求め、人々は心の渇きを癒し、あるいは大切な人との仲を育む。
見渡せば、至る所に陽気な音楽を奏でる合奏団がいて、それを笑顔で眺める見物客がいる。
たくさんの、明るい空気がこの街を覆っていた。
ところが、そんな喧騒に包まれる道の隅に、少女が1人座っていた。
「うう……お母さん……どこぉ?」
少女は、人ごみの中を歩いている途中母親とはぐれてしまったのだった。
自ら母親を探しに行けるほど、道行く人に助けを求められるほど、彼女は成長してはいなかった。
故に、こうしてじっと道の隅にうずくまり、泣きながら待つしかない。
いつか来てくれるはずの母親を。
しかし、少女が10分待っても、20分待っても、母親は現れてはくれなかった。
幼い少女の不安は、たちまち妄想を生み、恐怖に変わる。
自分は捨てられてしまったのではないか? そんな、純粋な恐怖。
母親を信じる心の決壊。
しかし、人々は少女の様子に気付かず、または気付いても特に気にする事なく歩き続ける。
とうとう日が暮れ始め、少女はいよいよ恐怖に身を震わせるしかできなくなってきた。
と、その時、1人の男が少女の前にしゃがみこんだ。
黒い帽子に、赤いリュックサックを背負った若い男だ。
「どうしたんだい?」
凛としつつも、優しさのある声で男は少女に声をかけた。
少女はゆっくりと顔を上げ、小さな声でつぶやいた。
「お母さんと、はぐれちゃった」と。
「そうか………」
男は、少女の目に恐怖と絶望の色が映っていることに気づいた。
「お母さん、私を捨てちゃったんだよ…」
すねた様子で少女が言葉を紡ぐ。
「どうせ、お母さんは私のこと—」
「そんなことない」
男の否定の言葉に、少女は目を丸くした。
「どうして? お母さんは来てくれなかったよ?」
「お母さんは君を大事に思ってる。まだ来てないのは、君の居場所が分からないからだよ。お母さんは今も必死に君の事を探している」
「そう………かな?」
少女は男の言うことが何故か嘘だとは思えなかった。
「そうさ。この世に子供が嫌いな親なんていないよ。だから、お母さんを許してあげて、もう1度、信じてあげて。できるかな?」
男は笑顔で、少女を諭した。
「うん…できる!」
少女が、今さっきまで抱えていた恐怖と絶望は、嘘のように消えていた。
「いい子だね。さ、お母さんのところに行こう」
男はポンと少女の頭に手を置くと、立ち上がった。
「でも……どこにいるの?」
少女は不安そうに聞いた。
「少し待ってて」
男は背負っていたリュックサックを地面に下ろし、両腕を広げて目を閉じた。
刹那、風が優しく吹き渡る。
数秒後、男は目を開けた。
「こっちだ」
「? 本当に?」
少女は不思議の思いながら、男のあとをついていった。
数分後、少女は不安そうに辺りを見渡している自分の母親を見つけた。
「お母さん!!」
少女は一直線に母親の元に走り、その胸に飛び込んだ。
母親はとても嬉しそうな顔で少女を抱きしめ、ひたすら「ごめんね」と言っていた。
少女はたっぷり5分ほど母親にしがみついていたが、やがて腕を放すと、急に何かを思い出したように後ろを振り返った。
「あ、お兄ちゃん?」
だが、そこに男の姿はなかった。
「どうしたの? ティル?」
母親は娘の様子がおかしいことに気付き、声をかけた。
「あのね、私お兄ちゃんに助けてもらったの。とっても優しくて、かっこよかったんだよ?」
「お兄ちゃん……?」
もしかして娘をここまで送ってくれた人だろうかと思い、母親も辺りを見渡したが、それらしき姿は無い。
「お母さんのこと、知ってるみたいだったんだけどなあ………」
「そうなの? 困ったわね…お礼がしたいんだけど……どんな感じのお兄ちゃんだった?」
「んーとね、黒い帽子かぶってて、赤いリュックサック背負ってたよ!」
そういった瞬間、母親の顔色が変わった。
「………それ、本当!?」
「うん! 本当だよ!!」
少女は自分が何を言ったのかも分からず、ニコニコしている。
「黒い帽子、赤いリュックサック…………まさか、ねぇ…」
母親は呆れたようなため息をついた。もし自分が思い当たったような人物なら、それはとんでもない奇跡だから。
「うん、今夜も月が綺麗だね」
男は誰もいないベンチにすわり、1人月見と洒落込んでいた。
男の名前は、ハンス・スターク。
この世界で彼の名前を知らないものはほとんどいなかっただろう。
それこそ、幼い少女でもない限り。
それもそのはず、ハンスは広い世界の中でただ1人、「心を感じて操作する事ができる」能力「MIND CONTROL」を持つ人間なのだから。
Page:1
この掲示板は過去ログ化されています。