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ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 愛刀歌
- 日時: 2011/02/26 11:38
- 名前: 山崎直哉 (ID: DU1UqTFp)
山の近くの野原の中心に女がいた
その顔は生きているのか、死んでいるのかわからない
しかし、かろうじて動き、首を上げた
彼女は生気のない顔で月を見上げた
しかし、彼女にとってその月は赤い月のように見えた
彼女の周りは男の血で濡れている。男達が金や領地をめぐり、死を賭けてこの戦場に赴き、そして散った。
血は地面の上に赤い川を作り、その血がこの野原を育てているように思えた
彼女は白い布で包んだその体を愛おしそうに両手でかき抱いた。
死体は彼女を中心に・・・・・いや、死体の中心に彼女はいた
「わからんな」
いきなり、そんな声が聞こえてきた。女が振り返るとそこには
男が立っていた
しかし、その男からは鬼のような殺気が出ていて、それは人であって人ではないように思えた
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- Re: 愛刀歌 ( No.1 )
- 日時: 2011/02/26 11:34
- 名前: 山崎直哉 (ID: DU1UqTFp)
「お前は何故そこにいる?」
鬼はそう言って女の前に立った。足元の死体が嫌な音を立てる
女は生気のない顔のまま、鬼を見据えた
「人を斬るため、人を殺すため」
女はボソッとそう呟いた。
人の形をした鬼はその声に笑った
「何だ、その死体よりも怖いその声は」
そして、女の傍らにある刀を見つけるその刀は刀身が出ており、
美しく銀色に光りながらも、赤い血によってその刀は不気味に見えた
「なぜ人を斬る?」
「この時代だからです」
刀と同じような顔をしながら女は続ける
「私が生きる道はここしかないのです」
女のその声はなぜか悲しく聞こえた
男は女を数秒見つめた後、重い口を開き
「この死体たちに家族があると知っていてもか」
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