ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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怖い怖い人間の話。
日時: 2011/02/26 16:20
名前: きいか (ID: MO5pRcbX)

 ★凛へ★



なにをどうしても昔には戻れないんだね。

どうしてああなっちゃったのかな。

人って本当に怖い。

言葉では簡単に言えるけど、相手にとってはこんなにつらい事なんて

全然わからなかった。ごめんね。

こんなの大人がやることじゃないってわかってたけど、どうしてもああしなきゃならなかったのかな?

私はとても辛いことがあったけど、

どうせ私が死んでも、みんなが悲しむことは無いんだろうね。

たぶん友達が死んでも人ってすぐに忘れちゃうから、すぐ悲しくなくなるよ。

人によって違うと思うけど、

私は、あなたが死んだ時もそうだったから。



                         ★菜種より★

                


これは人間がどれだけ怖いか、いい方悪いですが、かわいい妹と、ダメな姉で表現してみました。
そんな感じの小説です。
ゆる〜く書いていくんでヨロシクです(笑)

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Re: 怖い怖い人間の話。 ( No.1 )
日時: 2011/02/26 16:29
名前: きいか (ID: MO5pRcbX)

登場人物


佐藤 凛  (16)

妹と比較されて毎日苦しみに満ちている高校一年生。
学校では兄弟という事を隠している。
見た目はあまり良くないが、引っ込み思案なだけで、
性格は結構いい。
みんなに虐められている。

佐藤 菜種  (16)

学校で人気でいつも友達に囲まれている高校一年生。
見た目も運動も勉強もスタイルも良く、何でもできる。
凛とは同じクラスだが、他人のふりをして皆と一緒に虐めている。
ケータイに凛との通話履歴が残らないように、凛とは手紙で話している。

Re: 怖い怖い人間の話。 ( No.2 )
日時: 2011/02/27 14:19
名前: きいか (ID: MO5pRcbX)

菜種へ


いったい何がどうなってこんな状況になったか、私には全然わかりません。

ほんの10年前までは一緒に笑ってたのに、どうなったらこうなるの?

あなたが私から離れていくのは薄々感じてたけど、学校でも私をいじめるくらい距離が出でくるなんて今でも信じられません。

もうこんな自分化やでたまらなくなってきました。
学校でも家でも他人の「振り」をするのはやめて。それじゃないと私、
死んじゃうよ?

              凛より


「・・・」

私の姉は頭がおかしくなっちゃったんだね。
そんな脅し、もうずっと前から聞いてたけど、毎日手紙は届くし、死ぬ気配なんてないじゃん。
死ぬなら死んだらいいのに。

登校の電車に乗って手紙を読んだ私は深いため息をついた。


「・・・邪魔者・・・」

そうして毎日が始まるのだ。
ケータイに凛との履歴が残っていちいち消すのもメンドクサイから、
電話もケータイもしなくていいって言ってるのに、どうしてもって古臭い手紙交換なんかしなきゃいけなくなった。

「オハヨー」

「あ、菜種ー」

「今日も来てるよ、アイツ。」

「・・・ふん。・・・まだくるんだ。」

騒がしい教室の中で丸まった背中で椅子に座るのは私の姉の佐藤凛。

「なんであんな奴が、凛と一緒の名字なのかねぇ。」
と幼馴染の慧子が言って、私はビクッとした。

「ホントーw菜種がかわいそうに。」

みんなは話を聞くとずいずい集まってきた。

「今日もしようよ。」「私も言おうと思ってたーwアハハ」
「イジメでしょ?」

入学式、先生の目を盗んで凛をいじめてみたら、意外とはまってしまい、
今ではこれが週間となっていた。

「もうー私、トイレ言ってくるからね—」

「いってら。菜種ー」

私はまた溜息をつくと、教室のドアに向かった。

「ねー緒に遊ぼうよ〜」

向かう途中、イジメの一部始終が聞こえた。

どうせ凛をいじめてるんでしょ?

「・・・ごめんなさい。今日はお金持ってきてなくて、」

「いいのいいのー明日倍持ってきてくれればねっ」

ドンッ

そう言って凛を椅子から突き落とした。
机からカバンを無理やり取ると、中をあさった。

慧子は指の先にとがったものが刺さったのを感じた。

「んー?なにこれー?」

手探りで取りだしてみると、それは一通の手紙だった。

「え?手紙?」

「!」

ドアの取っ手に手を掛けたとき、その声が聞こえた。


手紙ってもしかして・・・


「キャーwラブレター?きっもーwww」

「なになに?コイツそういうの好きなんだぁ」



「やめて!」

私は大きな声を出してしまった。


「・・・え?」





「なんでかばうの?」


Re: 怖い怖い人間の話。 ( No.3 )
日時: 2011/02/27 14:55
名前: きいか (ID: MO5pRcbX)

菜種へ


あの時のことはいまでも覚えています。

いつも私の事をいじめているのに、高橋さんの事をかばうなんてって思ったけど、

あれは勘違いだったんだね。

本当は私のカバンから菜種宛ての手紙が発見されたって思ったんだよね。

ひどいよ、あの手紙はそんなに見つかりたくないの?

見つかったら文通するほど仲がいいって知られちゃうし、下手したら姉妹って事わかっちゃうしね。

家ぐらいでは仲よくしてよ。

十年前まではあんなに仲良かったのに。

私はまだ持ってるよ。二人で取った写真とかプリクラとか。


                 凛より









「え?なんでかばうの?」

私は振り返った。

虐められていたのは凛ではなく、隣のクラスの高橋さんだった。
慧子は高橋さんのカバンから出しただろう、薄ピンクの手紙を握っている。

つまり、勘違いしてたってわけだ。

「・・・菜種もしかして」


「あ…ち、違うくて、ほら、話したじゃん。前、一緒に合コンして彼氏出来たって。あれと喧嘩しちゃってさあーっ
その事考えてたらつい大声・・・」

「・・・なに焦ってんのー?菜種がかばうわけないってみんな分かってるってw」

「・・・!そうだよね!ごめんねー」

私は急いで教室を出た。

「もー危なかったぁー死ぬところだった。ヤバイヤバイ。」

いきなりこんなことが起こってどうなることかと・・・
凛の私への手紙が見つかったら本当に終わる。
靴箱にもいつも凛の手紙が入っている。

こんな生活、いつまでつづくかな・・・


—*—


「ただいまーあ。」

久しぶりに、駐車場にお母さんの車が止まっていた。
お母さんが久しぶりに帰ってきたみたいだ。

「ママー帰って来たの?」

そんな期待を背負ってリビングのテーブルに目をやるとお気手紙が置いてあった。

【また仕事にいってきます。お父さんも今日は帰らないので、菜種と凛で過ごして下さい。
今日の晩御飯は冷蔵庫に入れています。

お弁当作れなくてごめんね。母より】



私はソファの上にカバンを投げ、ネクタイを軽く緩めた。
そして考えた、手紙の事を。
今日こそ凛に云う。

「ねぇ!!いるんでしょ?」


すると二階から、小さな足音が聞こえてきた。
足音はどんどん大きくなり、凛の姿が現れた。


「・・・なに?菜種。」

肩まで伸びた髪はボサボサしていて、顔は丸っこく鼻の上に細かいそばかすがある。
腫れぼったい目はいつも目つきが悪く見え、周りに人を寄せ付けない雰囲気を出していた。

「・・・もうさ」


「もう手紙はやめて。」





Re: 怖い怖い人間の話。 ( No.4 )
日時: 2011/02/28 18:55
名前: きいか (ID: MO5pRcbX)

菜種へ



いつか言われると思ってた。手紙の事も。
私はこの世に生きている意味なんか何もないけど
この手紙をかいてるだけで私がちょっとでも救われるなら、
このまま手紙を書いていてもいいとは思わない??

私の生き甲斐はこの手紙だよ。


                      凛より


「え・・・??なんで、手紙ぐらい書いてもいいでしょ・・・前はいいって言ってくれたじゃん・・・
手紙ぐらい書かせてよ。」

私は嫌な気分になった。
こいつはまるでストーカーだ。
そこまで私に執着するのは、私を生き甲斐にされてるからか。

フゥ

「それはあんたがしつこいから、その場ではいいって言ったの。
 言わなかったらあんたいつまでもしつこくしてくるでしょ??」



「そんなこと・・・私にだってちょっとぐらいいいじゃない。
いつも一人ぼっちで、家でも無視されるし、手紙の返事だって来たことないし・・・」


「いいかげんにしてよ!!あんたのそういうとこほんときもい!」


ドンッ!!

私は凛を突き飛ばした。
壁に寄り掛かった凛はまっすぐこちらを見てきた。
目には涙があふれそうなぐらいだった。


ごめんね凛。


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