ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 悪魔とあたしと貴方
- 日時: 2011/03/05 18:24
- 名前: 尚 (ID: QpE/G9Cv)
身も心も悪魔
でも、本当は違う
それに気づいてしまったあたしは————————。
今でも好きな貴方
互いに愛し合っていた
あたしは先に来てしまったけれど————————。
あたしは
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- Re: 悪魔とあたしと貴方 ( No.1 )
- 日時: 2011/03/05 18:26
- 名前: 尚 (ID: QpE/G9Cv)
初めまして
尚と言う名ですけど、女です笑
上のプロローグを見て
「あ、無理だ」
と思った方はすぐさま見るのをおやめください
なので悪コメ中傷などは控えてください
ではどうぞ^^
- Re: 悪魔とあたしと貴方 ( No.2 )
- 日時: 2011/03/05 18:49
- 名前: 尚 (ID: QpE/G9Cv)
目が覚めると、一本の道に倒れていた。
——あ、あれ?
あたし、確か親友のミサキと下校していたはずなんだけど・・・?
前にも後にも道が伸びているだけ。
——どうしよう。
とりあえず、下手に動くよりじっとしてる方がいいだろう。
20分くらい経っただろう。
人が来る気配もなく、空気も何か澄んでいる。
けれど、風とかは全く吹いていない。
——何か、怖い。此処。
「何だ、お前」
「はっ?」
人の声がして、顔を上げるとそこには一人の少年がいた。
多分、同い年くらいだろう。
って言うか、あたし座ってるから身長は分からないんだけど。
——立っていいのかな。
少年は鋭い目であたしを見下ろしている。
「な、何?」
勇気を振り絞って声をかけた。
少年は尚睨み続けている。
「いつまで座ってんの」
「あ」
——立っていいのかな?
今の聞き方だと、立て的な?
ゆっくり立つと少年は意外と背が高かった。
あたしと頭半分くらい違う。
少年もあたしの身長が意外に高かったのか、一瞬瞳が揺れた。
——しかし、近くで見るとほんと美少年だ・・・。
顔は凄く整っている。
そこらへんにいる男優よりもかっこいいかもしれない。
だけど・・・、その鋭い目が整った顔をキツく見えさしている。
——笑えば、可愛いと思うんだけどなぁ。
ちょっと残念そうにしていると、あたしの考えてることが分かったのか、もっとキツく睨んできた。
「此処、なんなの」
短気な自分なので、いつまでも睨んでいる少年に少なからず苛立った。
負けじと鋭い声で聞いてみた。
「分かってるだろ」
少年も苛立っている感じがする。
多分、あたし達相性最悪かも。
「分かるわけないじゃない。いきなり此処に来てたんだもの」
「はぁ・・・。自覚しろよ」
「は?」
ため息にむかついた。
って言うか、自覚って何を?
少年はめんどくさそうに冷たく言い放った。
「お前は死んだ。それだけだ」
「・・・え?」
死んだ?
何それ、意味わかんない。
だってあたし、普通に下校していただけなんですけど。
事故ってもないし、通り魔にも会ってない。
「何それ、納得出来ない」
「はぁ・・・。死んでなかったら此処にいねぇってば」
「だから、あたし死んでない!普通に下校していただけだってば」
「・・・え」
お?
少年の顔が崩れた。
微かにだけど。
少年はめんどくさそうに頭を掻きながら後を向いた。
そして歩き出した。
——え、あたし置いてきぼり?
少年は動かないあたしに気付いたのか、少し睨んで言った。
「何してんの。早く来いよ」
——ついて来いとかなんとか言ってからにしろよ!
もう、むかつく。
あたしはわざと地団駄踏みながら行った。
「うるさいよ。静かに歩けないの?女なのに」
——っだから、一言多いんだってば鬼畜野郎!
あたしは鎮めない怒りを抱えながら、出口の見えない道を歩いた。
- Re: 悪魔とあたしと貴方 ( No.3 )
- 日時: 2011/03/07 18:46
- 名前: 尚 (ID: 5kDSbOyc)
暫く歩いていたら、なんか街についた。
全体が街って感じで、とても普通。
でも、・・・何処?
少年は受け付けみたいなところで綺麗なお姉さんと話している。
あたしは、どうしたらいいのか分からずにただ突っ立っている。
少ししたら、少年があたしの方に戻ってきた。
「お前、名前は」
「え、あ、佳央。野中佳央」
「ふーん」
なっ!聞いといてその態度はなに?!
やっぱり気に食わないなぁ、この人。
「あ、貴方は?」
「どうでもいいだろそんなの」
よくないから聞いているのに。
まぁ、いいか。
「早く来いよ」
いつの間にか少年は遠くに行っていて、あたしをまた睨んでいた。
だから、一言言えっていうの。
それからちょっと歩いていたら、お城に着いた。
・・・え?お城?
少年はずかずかと入って行ってる。
あたしは戸惑いながらも足を踏み入れた。
「おや、こんにちは」
「あ、はい・・・こんにち、は?」
え、誰ですか?
ほんとそこらへんに居そうな優しくて小柄な普通のお爺さんが、あたしの隣にいた。
「ちょっと、意味が分からないと言う顔ですね。素直で宜しい」
お爺さんはそう言うと、にっこり笑った。
そして、お爺さんは、目の前にある椅子に座った。
「此処は、生前と死後の世界」
にっこりと・・・え、なんか凄いことをにっこりと言わなかったですか。
「簡単に言うと、死んだ人が天国に行く前に通る街です」
「あ、あのっ、あたし、死んでないんですけど・・・!」
「ああ、その様ですね。大丈夫ですよ」
大丈夫・・・?
ほんとにそうなんですか。
「君はちょっとした手違いで此処に来てしまったようです」
「あ、じゃあ、戻れるんですね」
「いえ、君はもう死んでしまいましたからね」
「・・・・・・・・・え?」
「ほんとにごめんなさいねぇ」
いやいや、軽すぎませんか。
「大丈夫。君には生への未練が残ってるでしょう。それを消すのを、我々が手伝います」
未練・・・。
「ただし、こちらとも忙しいので、叶えるのは5つまでです」
「生きたい、時間を戻したいなどの願い事は無理です」
お爺さんが言ってる言葉は、全然頭に入ってこなかった。
——死んだ?生き返れない?戻れない?
それは、もうミサキとも、お母さんお父さんとも、マナトとも・・・会えないってこと?
何それ・・・。
お爺さんの手違いで、あたしの夢や将来を・・・奪われちゃったよ。
「そして、君を担当するのは、そこにいる來哉だよ」
え。
一気に現実・・・じゃないか、引き戻された。
そこにいる?
來哉?
恐る恐る横を向く。
少年はやっぱり・・・あたしを睨んでいた。
「ら、來哉って・・・」
「ああ、俺」
・・・嘘。
最悪。
なんでよりによってこいつなの。
他の人にしてよお爺さん!
って言おうと椅子を見たら、お爺さんはいなかった。
どこ行った?
ってか、あとの説明はこいつから聞くの?
こいつ、話せるの?
- Re: 悪魔とあたしと貴方 ( No.4 )
- 日時: 2011/03/09 19:58
- 名前: 尚 (ID: QpE/G9Cv)
「・・・お前、未練とかあんの?」
10分くらい経っただろう。
あのままずーっと立ち竦んでいたあたし達だったけど、ふと來哉が問いかけてきた。
「未練・・・?」
「やり残したこと」
やり残したこと・・・。
ふと、頭にマナトが浮かんだ。
「ある」
「何」
「マナトに、お別れ言いたい」
來哉は意味の分からない顔をしている。
暫く考えてから(多分考えていたと思う)、誰と聞いてきた。
「・・・彼氏」
ビックリしたのか、一瞬顔が崩れた。
あたしに彼氏がいちゃ駄目ですか?
「じゃ、行くか」
「えっ、ど、どこに?!」
「現世」
いっ、行けるのー?!
聞いてないですけどっ。
あたしは、またあの長い長い道を歩き戻った。
歩いてる途中、
「あ、言っとくけど、生き返ったり出来ないから」
「生きてる人間にはあんたのこと見えないし、変なことしないでね」
「へ、変な事って・・・!」
「物は触れるから、人間の前で物動かしたり、持ったり」
「分かった」
物、触れるんだ。
よかった・・・。
なんか、それだけでまだあたしは存在るって感じ。
「着いた」
「え?」
あ・・・。
あたしの、街。
お気に入りのコンビ二。
あたしの家。
通っていた学校。
何一つ変わってない。
変わったのは、あたしだけ・・・。
——ピーンポーン
考え込んでいると、來哉があたしの家のチャイムを押していた。
「な、何してんの?」
「俺は人間に見えるから。とりあえず、潜入らなくちゃ」
「な、なんであたしの家知ってるの・・・」
「あんた、最初に自己紹介した」
あっ・・・そういえば。
こいつ、人の話聞いてないと思ったけど、結構聞いてるんだな。
「・・・誰も、いない?」
來哉は思いつめた表情をした。
そういえば、さっきから誰も出てこない。
・・・どうして。
「そうか」
「分かったの?」
「今日は、あんたの通夜だ」
・・・それから、來哉は何も言わず通夜の会場に行った。
何で知ってるのかとか、不思議に思ったけど、聞けなかった。
「着いたけど、・・・行く?」
「え」
「ここで残っててもいいけど」
・・・優しいの?
それは、來哉の意思から来てるの?
「行く」
でも、あたしは向き合わなくちゃいけないと思う。
自分の、死と。
中に入ると、思った以上に暖かかった。
むしろ暑いくらいだった。
そして、思った以上の人がいた。
クラスメイト、幼馴染、親戚、家族、ミサキ、マナト・・・。
みんな、みんな泣いていた。
「ねえ」
來哉は珍しくあたしに耳を傾けた。
「ほんとに、みんなあたしのこと見えないの・・・?」
「ああ」
涙が、零れ落ちそうになった。
必死で堪えてると、來哉が一言言って去って行った。
「俺、ちょっと用事」
來哉が背を向けた瞬間、嘘みたいに涙が溢れ出てきた。
止まらなかった。
声も漏れた。
でも、聞こえてないんだ。
みんな、あたしの声は届かないんだ。
気が付くと、みんなお線香をあげに行っていた。
あたしは、ゆっくりと、お線香の前に立った。
「ミサキ・・・色々、ありがとう。ずっと、親友だよ・・・忘れっないでね」
届かない届かない。
それでも、あたしは届けたい。
「マナト・・・待ってて。後でちゃんと、お別れ言いに行くよ。っ絶対」
大丈夫。
ちゃんと、言いに行くから。
だから・・・泣かないでよ。
男なんだから・・・。
「お母さん・・・、17年間、育ててくれてありがとうっ。喧嘩もしたけど・・・いっぱいいっぱい我儘言ったけど・・・大好きだよ」
ごめんね、ありがとう。
大丈夫・・・じゃないけど、いつか、きっと大丈夫な時が来るから。
「お父さん・・・あたし、お父さんのこと嫌いじゃないよ。傷つけてごめんね。大好きだよ」
いっぱい、偽りの言葉で傷つけちゃっていたね。
それでも、貴方たちはあたしを愛してくれたよね。
ありがとう。
暫く泣いていたら、涙も枯れ始めた。
涙って枯れるんだね。
枯れるまで泣いた事なかったんだ。
- Re: 悪魔とあたしと貴方 ( No.5 )
- 日時: 2011/03/14 18:50
- 名前: 尚 (ID: 5kDSbOyc)
「・・・行くぞ」
涙も枯れ、しばらく思い出に耽ってるところだった。
來哉は声をかけてきた。
——この人は、空気を読むのが上手い。
悪魔?って、人の心も読めるのかな・・・?
それじゃなかったら、元から分かってしまう人なの?
あたしが思うに、そういう人って、何か小さい頃に心に傷が出来たって言う・・・。
「あんたが透けてるんだよ・・・」
「え?」
「まぁ、強ち間違ってはいないか」
・・・あ、あたしが考えてたこと?
透けてるって、バレバレ的なのかな?
だとしたらやばいんじゃ。
そんな悩むあたしを余所に、來哉はすたすたと会場を出る。
あたしは急いで後を追った。
「ま、待ってよ!どこ行くの?」
ドンッ。
來哉がいきなり立ち止まる。
あたしはそのせいで來哉の背中に思い切りぶつかってしまった。
「あんたん家。部屋あるでしょ?」
「あ・・・る、けど」
——え、何こいつ。
あたしの部屋に、入ろうとしているの?
それに加え泊まろうとか思ってるんじゃないだろうか。
「当たり前じゃん。俺に野宿させる気?」
——・・・勝手に野宿しろ!!!
あんたならサバイバルでも余裕で行けるわ!
幸い、あたしの部屋は死んですぐに母さんが片付けたからか、そんなに汚くはなかった。
あたしは漫画を読みながら音楽を聴いていた。
「・・・なに、いつも通りいるの」
「え?だってもう地上これないかもしれないんでしょ?だから、今満喫しとかなきゃねー」
「・・・脳天気」
「あ、ってかいつまでいれるの?どうやって未練果たすの?」
「俺は、期限があるけど・・・。お前は未練果たすまでいれる。だからって、ずっといようなんて思うなよ。ずっといると・・・・・・二度と、戻れなくなる・・・」
——? 来哉?
來哉は苦い思い出があるのか、眉を顰め唇を噛み締めた。
「お前の未練は、なんだっけ」
「え、あ、マナトに・・・お別れすること」
「具体的に、どうやって?」
「・・・・・・・会いたいけど、会って話がしたいけど・・・無理だよね」
あたしは笑って見せた。
——無理だよ。
あたしはもう、死んでいるんだから。
「じゃあ、手紙とかかな?それなら今すぐにでも書こうか
「会える」
「・・・・・・・・えっ」
——來哉?
來哉は、あたしを見ていた。
初めて会ったときとは違った、暖かい目だった。
それはまるで、誰かとあたしを被せてるような。
「だけど・・・相手があんたを想って後追いしないか・・・それを思って、みんな会うのは避けてるんだ。あとは・・・逝きたくなくなるから」
後追い?
それって、あたしを追って・・・マナトまで死んじゃうこと?
そんなの嫌だ!
でも・・・でも・・・
「大丈夫。会いたい。大丈夫、マナトはそんな弱くない」
——あたしはマナトを、信じてるから。
「・・・・・・それは、どうかな」
「えっ?ごめん、聞こえなかった」
手が滑って、聴いてた音楽の音が大きくなってしまった。
そのため、來哉の言葉が聞こえなかった。
聞き返したけど、「なんでもない」とそっぽを向くばっかりだった。
來哉はあたしの押入れから勝手に布団をひいてさっさと寝てしまった。
あたしは気になりながらも、眠りについた。
夢で、マナトに会った。
付き合って間もなく、初めてデートしたとき。
マナトは始終照れてて、なんども頭を掻いていた。
楽しかった。
それでも、最後は別れてしまうの。
そう、必ず・・・
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