ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 白黒幻想曲—Monochrome Scriabin—
- 日時: 2011/03/06 10:11
- 名前: ハノ (ID: Gz/gGLCR)
初めまして^^ 二次創作ではひそかに小説を書いているハノと申します。
っと、小5の文なのでお目汚しかと思われますが宜しくお願い致します!
出来ればアドバイス、コメント等を宜しくお願い致しますねノン
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- 登場人物 ( No.1 )
- 日時: 2011/03/07 20:31
- 名前: ハノ (ID: Gz/gGLCR)
『…俺ァ、そんなに優しいオージサマってのには出来てねェんだよォ』
名前/橘 翡翠—Tatibana Hisui—
性別/男
年齢/不詳(外見は18〜20)
詳細/白の国の頂点。通称「白王(シロノオウ/White.King)」。黒髪赤目。白の魔術を操り、レベルは『10・上』だと言われている。喋り方や容姿からして不良のようだが、実は心優しい少年。凛桐奏とは深い関わりがある様子。蝶とホルに忠誠を誓わせた張本人。
『……どうしてこの世のものは全て脆く儚く出来ているんだろうね?』
名前/凛桐 奏—Rindou Sou—
性別/女
年齢/不詳(外見は13〜15)
詳細/黒の国の頂点。通称「黒姫(ヤミノヒメ/Black.Princess)」。白髪黒目。黒の魔術を操り、レベルは『10・上』だと言われている。基本的には喋らず、表情に表すだけ。橘翡翠とは深い関わりがある様子を見せる。冷酷非情で琥珀とフィル以外の部下の事を塵以下と思っている。
『——どうして琥珀は私の事を見てくれないの……、?』
名前/蓮野上 蝶—Hasunoue Tyou—
性別/女
年齢/18歳
詳細/白の国の頂点である白王こと橘翡翠に忠誠を誓った女性。琥珀に想いを寄せているが琥珀が想いを寄せている人物が敵である凛桐奏だと知った瞬間に絶望、その時より凛桐奏に憎しみを抱いてくように。黒髪黒目。
『嗚呼、黒姫はどうしてこうも美しい……?』
名前/大鳥 琥珀—Otori Kohaku—
性別/男
年齢/18歳
詳細/黒の国の頂点である黒姫こと凛桐奏に惚れ、忠誠を誓った男性。蝶の想いに気づかず、凛桐奏に想いを寄せる——というか本人は美しいものを好いているだけで好意とは言わない。蝶の事は凛桐奏を憎む、という事で敵意を抱く。白髪銀目。
※増減有
- 序章【 黒 白 世 界 】 ( No.2 )
- 日時: 2011/03/06 20:25
- 名前: ハノ (ID: Gz/gGLCR)
(————嗚呼、何故俺ァあいつを見捨ててしまった?)
幼い頃の罪の意識に少年は囚われていた。
大好きな少女、しかも自分が想いを寄せ好意を抱いていた少女を少年は“事実上”見捨てた。
死にかけのその少女を助ける事も出来ぬまま、少年はただその場で立ち尽くし少女の必死の助けが聞こえても少年の足は凍りついたように地面から離れなかった。
苦し紛れの言い訳。
わかっていた、理解していた。それでも、少年は罪の意識に囚われたままでずっと生きてきた。
年月を経るごとに増していく罪意識。
それがどうしようもないほど重たいものへと変わり、少年の心を痛めつける。
(……何時から、こんな世界になったんだろうなァ)
気が付けば口元に浮かんでいる自虐的な笑み。
少年はただ、真っ白な国と真っ黒な国しかない白黒世界を見つめていた。
彼女を傷つけてしまったから、この世界は誕生したのか。
少年を蝕んでいく狂気という名の罪の意識。
それは留まる事を知らず、ただ少年の躰を蝕み内部より壊していく。
“仕方、ないんだよね”
少女の悲しげな笑みが、声が、姿が、——瞼の裏に焼き付いて離れない。
ただ、少女の悲しげな姿“だけ”を覚えたまま——…
少年はただ、走る。奔る。
( 白黒の世界に光なんて無かった )
( 勢いに身を任せ、走ろう、奔ろう )
- 第1章 ( No.3 )
- 日時: 2011/03/07 20:55
- 名前: ハノ (ID: Gz/gGLCR)
「奏様ッ、!!」
とある、全てが黒く染まってしまった国の城——……
ふと、自分を呼ぶ声が聞こえて腰までの滑らかな白髪の少女—凛桐奏—は静かに振り向いた。
漆黒の瞳に映るは自分を呼んでいる家臣のような存在である、大鳥琥珀——ではなく、虚無と絶望、そして失望。
端整な顔立ちはつまらなさそうに歪められ、その口元は微かに弧を描いている。
「なぁに? 琥珀」
鈴を転がしたような幼い、それでいて凛とした声が響き渡る。
奏は、騒々しい様子の琥珀に呆れつつも視線を投げかけた。
当の琥珀は、奏の仕草一つ一つに見惚れており、最早意識があらぬ方向へと旅立ってしまっている。
「琥珀、!」
先程の可愛らしい声ではなく、今度は奏の怒声が響き渡った。
その黒い瞳はまっすぐに琥珀を睨んでおり、早く用件を伝えろと言っているかのようだ。
琥珀はその瞳に気付いたのか、慌てて謝罪をするかの如くその場に跪き、非礼を詫びていると全身で表す。
奏はその姿を見て十分謝罪しているとわかったのか、くい、と小さく顎をしゃくり用件を伝えるよう急かす。
その動作に琥珀は軽く頷き、跪いたまま奏の顔をまっすぐに見つめて言った。
「白王が動き出した様子です」
「……!」
琥珀が静かに瞳を伏せつつ言った言葉に奏が驚いて目を見開いた。
しかし、それも束の間すぐに奏は指令を下す。
「すぐに迎え撃つ準備を、私はフィルの元へ行く」
奏が何処か拗ねた子供のような表情でそう言う。
その表情に琥珀が笑みを浮かべつつ、御意、と小さく頷く。
それに満足したのか奏は踵を返し、フィル、という人物の元へ向かうべく歩き去っていく。
ふわり、と舞う漆黒のドレスを見つめつつ、琥珀は騒々しくなる騎士達に命令を下すべくマントを翻して去っていくのだった。
/
「フィル、……?」
一方、奏が向かったのは自分の部屋。
ベッドの周りにはぬいぐるみが錯乱しており、漆黒のカーテンは何処も閉じられ、天井には星が鏤められ、至る所にぬいぐるみや玩具の類が散らかる、まるで幼児が居そうな雰囲気を漂わせている。
星が鏤められる空に浮かぶ綺麗な三日月に、眩しさを覚え思わずふかふかの黒色のソファへとその華奢な躰を沈めた。
か細い声で、寂しそうな声音でフィル、と名を呼び続ける奏。
「此処に居ますよ」
ふと奏の耳孔を擽る甘ったるい声に重たくなっていた瞼を無理矢理開けて、その存在に手を伸ばす。
フィルと思われる金髪の男性はその手を取り、奏を自らの腕の中へと閉じ込める。
彼—フィル・ターナス—は奏に仕える琥珀の親戚であり、誰よりも奏を想っているであろう人物だ。
奏もフィルを愛おしい存在だと思っているのか甘えたな一面を見せる事も度々ある。
やっと奏はフィルの温もりを感じ安堵したのか、微かに口元を釣り上げた。
「……黒は黒同士でしか、生きてけないんだよね」
「…………、ええ」
奏が浮かべる、自虐にも似た笑み。
その笑みを何度も見たことがあるのに、何時みても虚しさと——同情心が芽生えてくる。
誰よりも同情を嫌う彼女だから、自分は失言をしてしまわないようにとフィルは常々思う。
所詮、何時もの彼女はどうせ虚勢を張る、子猫のような存在に等しいのだから。
奏の事を壊さない様に必死になっていく内に、何時の間にかフィルは自問自答を繰り返していた。
何故自分は彼女を護りたいと思う? (好きだから、だ)
何故自分はこの国を護りたいと思う? (彼女の国だから、だ)
なぜなぜなぜなぜ!?
何故、自分は彼女を——……?
所詮、黒姫など憎むべき存在じゃないか。(俺の家族を殺したのは、黒姫なのだから)
一度芽生えてしまえば止まらない憎悪を無理矢理押し込めて奏を護ろうと必死になっているフィルはさぞかし哀れなんだろう。
ぎりぎりと強く歯を噛み締めていれば、腕の中の奏が不思議そうに自分を見上げているのに気づき慌てて笑顔を取り繕う。
「どうした?」
「何でもありません」
「嘘」
「本当、です」
「どうせ私が憎いのだろう。その憎悪をお前は表に出さないように必死なんだろう。——嗚呼、別に私は憎まれようとお前を手放そうとは思わないがな」
「そ、」
「お前が私を裏切るならば、私はお前を殺してやるよ」
嗚呼、本当に奏には敵わないとフィルは笑みを浮かべた。
病んでいる、ともいえる発言も彼女にとってはやはりただの虚勢なのだろう。
フィルは笑みを浮かべたまま、奏を抱き上げ——
「琥珀に殺されそうですし、行きますか」
「ん、そうだな。私は休みたいのだが」
「……仕方無いですね」
と笑うのだが奏を連れて行くわけでも無く奏をふかふかとしたベッドに下ろす。
そして、ぱちりと電気を消せば輝く三日月。
にこにこと笑う奏を見て満足げな表情をすれば、琥珀の元へ向かうために自分も部屋を後にする。
残った奏は一人、
「——ばぁか」
と呟いた。
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