ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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As Story 〜2次(紙)に引っ越し〜
日時: 2011/06/25 04:58
名前: 書き述べる ◆KJOLUYwg82 (ID: 7lLc0QEy)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode=view&no=22013

初めまして。書き述べると言います。コメディ・ライトから移動してきました。よろしくお願いします。

書き(Write)述べる(Novel)=>Write Novel
つまり、ライトノv……。

……皆さんに暖房を余計に使わせてしまいそうです。


人の小説を読むことは多々ありましたが、書く立場になるのは今回が初めてです。

読みづらい文章とは思いますが、冒頭の1行でも目に留めていただけたら幸いです。

最後の記事とタイトルにも記載しましたが、第七話から「Enjoy Club(作:友桃様)」の二次的要素を含んだものとなりますので、二次(紙)に引っ越しました。

どうか今後とも変わらぬごひいきのほどをよろしくお願い申し上げます。

新しいスレの目次ページは、後ほど作りますのでなにとぞご容赦ください。



【お客様】
  アメイジング・グレイス様
  アサムス様


【目次】
 1話 >>1

 2話 >>3 >>4

 3話 >>8 >>9

 4話 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15 >>16

 5話 >>21 >>22

 6話 >>25 >>26 >>27 >>28 >>29 >>30

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As Story 〜4〜 ( No.15 )
日時: 2011/03/06 22:42
名前: 書き述べる ◆KJOLUYwg82 (ID: st6mEGje)

 アビーがマスク越しに頭を掻きながら軽く言い放った。「へっ、すまねぇ。ったと思ったんだがなぁ」おもむろにSIG P220をホルスターから取り出す。大男がここに現れた時に最初に持っていた、サプレッサーとの相性のいい拳銃である。

 最早光曳には選択の余地はなかった。後ろで何か取り出す音と共にガチャ、カチッ、と短く固い音が続く。それが何の音なのか、深く考える必要もなかった。
 自殺する勇気のない人間が自殺志願しているのではない限り、それこそ白豚の如く地べたに横たわっているのは明らかに得策ではない。
 アビーが少し足を開き、体勢の安定を確保する。そして1mほど前方に横たわっている光曳の後頭部にP220の銃口を向けた。ゴリラにも勝るとも劣らない巨大な手に収まっているP220が廉価なエアガンに見えてしまう。

「ぼちぼち逝くか……。お!」
 大男が腑抜けた声を立てた。アビーがP220を握りなおしている隙に光曳が飛び起き、マンションの方——アビーから見て右方向である——へ駈け出したのだ。だが動揺も束の間、アビーは落ち着き払って移動目標に照準を定めた。光曳が全くもって走るのが苦手なため、アビーとの距離もまだ10メートルと離れていない。拳銃でも正確に狙える距離である。
 コードが先の修羅場で痣のできた目で人間が命を絶たれる瞬間を見ようと瞳を全開にし、狂気の興奮をあらわにしていた。
 アビーがトリガーにかけた人差し指に力を込める。

「畜生!ちくしょう!ちくしょう!」

 あまりに唐突で理不尽な己の最期に絶叫しながら駆け抜けた。一瞬、拳銃を自分に向ける大男の姿が視野の右隅に映ったが、顔を向けることはなかった。
 光曳の声がやんだ瞬間、一条の赤い光芒が男の視野を真横に貫いた。
——死ぬのか……。—— そう思った途端、足の力が抜けその場に崩れ落ちた。

「何ぃ?!サツだ、アビー!PC(パトカー)が来やがった!」
「るせえ!んなこたぁお前よりわかってらぁ」

 余りにの喧騒に、付近の住民が通報したのだろう。サイレンは鳴らさないが赤色灯を明滅させながら1台のパトカーが2人の運び屋に接近してくる。
 唾を吐き捨てながら大男は逃走を図ろうと体を翻したが刹那の逡巡の後、踵を返した。

「どうしたんだよぉ。おい!逃げなきゃ!」

 無造作に伸びた髪を逆立てながらコードが叫んだ。しかし大男は動こうとしない。それどころか、相棒の右手にはFN Five-seveNが握られている。Five-seveNは口径が5.7mmと、一般的な拳銃の口径9mmと比べて小さいが、小銃並みの初速と弾丸の材質の改良で、貫通力はあの悪名高きトカレフTT-33を上回ることさえある。アビーのようなものが所持すると極めて厄介な代物だ。

「パトロールのポリ公なんざぁ丸腰みたいなもんよ」大男はにやけつきながら左手を腰に当て、Five-seveNを掌で回しながら言い放った。男の右手にあるマンションの明かりがチラホラと点きはじめた。

「おめぇら俺に目が合ったやつからぶっ殺す!」

 アビーがただでさえ馬鹿でかい声を更にはりあげた。幾つかの部屋でサッシの開けられる音が止まり、ピシャリと音を立てて閉じられた。更にもういくつかの部屋は再び蛍光灯が消され、暗闇の中で一部始終を見届けるようだった。

 アビーの目測で約150m。大凡の状況を把握しているのか二人の不審者からかなり離れたところにPCが止められ、二人の警官が車を降りた。

「そこで何をしている!」二人の警官が距離を詰めながら大男に叫びかけた。
「お互い拳銃もって、なにしてるんですかぁは、ねえよなあ!」

 アビーは嘲笑混じりの声で警官に返した。街灯に照らし出された警官の手に拳銃が握られているのが見えた。警察の場合は恐らくSIG P230かニューナンブM60系のものだろう。いずれにしても、火力・使い手ともにこちらが有利と確信していた。

 何回か警察官とのやり取りがあった。アビーたちを動揺させないように極めて慎重な内容の会話であった。アビーとの距離の詰め方もそれに輪をかけて遅々としたものであった。


——あいつら完全にビビッてやがる。もっと詰めてきやがれ。さっさと終わりにしてやらぁ。

 アビーはほくそ笑みながら射撃の姿勢をとった。アビーの射程は約35〜40m。今はその中に入るのを待つのみであった。
お互いの持つ銃は、有効射程が50mだが、これは相手に効果的なダメージを与えられる威力を保てる距離である。加えてメーカー公表なら更にサバが読まれている可能性がある。一般的には拳銃の場合、20m離れた静止目標に当てるのも熟練を要する。
 計り知れないほどの修羅場を潜り抜けてきたアビーは、射撃に関して熟練した技能と才能を持ち合わせていた。

 二人の警官が足を止めた。その距離100m。まだお互いの顔の判別すらつかない。
「ん。なぜ止まる」 アビーが怪訝な表情をした。そして自らのキャリアとインスピレーションを引きずり出し、思索を巡らせ始めた。何者かと交信しているのだろうか?だがしゃべっている様子も、何か操作している様にも見えない。
 アビーの推測は直ぐに崩された。片方の警官が片膝をつき、拳銃をこちらに向けたのである。大男の表情が驚愕の色で埋め尽くされ、言葉を失った。だが、次の瞬間アビーは光曳の傍に駆け寄り、その銃口を頭部に向けた。

「てめぇら、下手な真似するとこいつの脳みそが酔っぱらいのゲロみたいに道端に散らばるぜぇ!」
「10数える間に。銃を下しなさい!10……9……」

 警官たちはアビーの警告を無視したばかりか、向こうから最後通牒を言い渡し、一方的にカウントダウンを始めた。


As Story 〜4〜 ( No.16 )
日時: 2011/03/10 07:46
名前: 書き述べる ◆KJOLUYwg82 (ID: fypwKGNz)

——おいおい、どっちのセリフだ!制服野郎!

 ベテランの運び屋が刹那、冷静さを失った。「野郎!俺の言ってることがわか……?!」

 アビーの背筋に戦慄がはしった。「コード!狙撃手を探せ!どこかにもう一人隠れてやがるはずだぁ!」呆然と突っ立っているだけの相棒に、声を殺して叫んだ。

「え?え?そ、狙撃手ぅ?!」頼りなさげな相棒が泣きそうな声を立てて狼狽した。

——んにゃろう、全然使いもんになってねえ!

「4……3……2……」
万事急須。アビーは最終決断を下した。「コードぉ!ずらかるぞ!」
出し抜けに二人が後方の交差点に向かって走り出し、進行方向に何か小さいものを放り投げた。そして、眼前に信じられないことが起きた。
突如高さ1mほどの虚空に2台のフルカウルタイプのバイクが現れ、そのまま地面をバウンドしながら落下、逃走者が器用にそれに跨ると即座にスロットルを全開にして加速し始めた。

 警官達が一瞬呆気にとられた。更に闇に息を潜める狙撃手が射撃する気配もない。代わりに、我に返った拳銃を構えた警官がアビーのバイクのタイヤに狙いを絞る。固より3人目の警官などいなかったのだ。逃走する目標ターゲットを抑止する狙撃手は今、手のひらより少し大きい程度の拳銃を握っていた。
目標は僅かの間に200mくらいまで離れ、ご丁寧に蛇行までしている。

 警官が僅かに吸気をし、息を止め、SIG P230を握り直す。

「……0」一方の警官が最後のカウントを終える。「風速ゼロ!ターゲットセロイン、にい!はち!まる!カウントにい!」
 ゼロイン——つまり280m先のポイントで発射地点との相対高度が0になるよう、銃身を調整しろという意味である—— それを言い終えるのと狙撃手の警官が調整完了の意の靴を2回鳴らす動作したのはほぼ同時であった。息をつく間もなく早いカウントが始まる。「にぃ!いち!」

 全神経を左右に振れるタイヤの図形に集中する。視界がホワイトアウトし、黒い物体のみが視野の中央に映った。

パァァン……。

 バイクの爆音をかき消すような音が響き渡った。マンションの壁面に跳ね返り、2,3回こだまが続いた。「諏内……」カウントを告げた警官が祈るような気持ちでかすれるような声を発した事に、拳銃を握る狙撃手は気が付かなかった。
 目標までの距離280m。弾丸は、タイヤを捉えていた。タイヤが弾け飛び、大男が一気に姿勢を崩した。しかしガッツポーズをしようとした二人の警官は、再三にわたり現実離れした事態を目の当たりにすることになった。

 弾け飛んだはずのタイヤが瞬時に復元したのである。そして外から力でも加えられたかのように不自然にバイクの姿勢も復帰し、アビーたちは何事も無かったかのように闇の彼方に消え入った。挑発するように手を振りながら……。

 警官たちはただ立ち尽くすばかりであった。

——何だ、今のは……。

 お互いの顔を見合わせることも、対象者を取り逃がしたことを連絡するのも忘れていた。
 驚愕していたのは警官らだけではなかった。自分の状況が夢なのか現実なのか分別のつかない朦朧とした意識の中で、光曳も事の一部始終を否応なしに見せられていた。

 今日はあまりに事件が有り過ぎた。夢でも勘弁である。

 凸凹コンビの運び屋。——あいつら横文字で呼び合ってたけど日本人だよな?—— 何故かどうでもいいことが脳裏に浮かんだ。それにしてもあの装備やら乗り物は一体……。
 向こうの警官も普通じゃない。警察が一方的に発砲って聞いたことねぇよ。逃げらてしまってるが、異常な距離で射撃——いや、あれは最早「狙撃」というべきか——を成功させてる。
 最期に、そもそもの原因となった白い光……。

 光曳の脳が突如発生した大量の情報でオーバーフローし、路上で眠りに就いてしまった。

「君、大丈夫か——」

 満天の星と俄かに点きはじめたマンションの部屋の明かりに照らされる中、拳銃をホルスターに仕舞いながら二人の警官が横たわる巨漢の男に駆け寄っていった——。


As Story 〜登場人物プロフィール〜 ( No.17 )
日時: 2011/03/07 00:08
名前: 書き述べる ◆KJOLUYwg82 (ID: st6mEGje)

新しい登場人物が現れたので、プロフィールアップです。

〜プロフィール〜
【氏 名】(後ほど・・・)
【コールサイン】AB(アビー)
【性 別】男
【身 長】212cm
【体 重】141kg
【年 齢】38歳
【趣 味】未設定
【住 所】不定
【装 備】バラクラバ、拳銃、バイク

【氏 名】(後ほど・・・)
【コールサイン】CD(コード)
【性 別】男
【身 長】174cm
【体 重】60kg
【年 齢】28歳
【趣 味】(考え中・・・)
【住 所】不定
【装 備】バラクラバ、拳銃、バイク

Re: As Story 〜4話アップ〜 ( No.18 )
日時: 2011/03/07 16:57
名前: アメイジング・グレイス (ID: gWH3Y7K0)

何となくニトロプラス臭がする作品……よいぞよいぞ!
更新ファイト。

Re: As Story 〜4話アップ〜 ( No.19 )
日時: 2011/03/07 23:51
名前: 書き述べる ◆KJOLUYwg82 (ID: st6mEGje)

こんばんは〜。

コメをいただきまして、本当に感謝感激であります!
ニトロプラスって何であろ?と調べてしまいました。

至極勿体ない激励の言葉、なんとお礼の言葉を申せばいいのか。
この拙作はその「臭い」の1分子にも及びませぬ。ただただ恐れ入るばかりであります。

遅筆ではありますが、完結まで頑張ってみます。

それでは、また〜


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