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- 孤島からの無線
- 日時: 2011/03/21 12:09
- 名前: Ley ◆SAvQ/U.Sqg (ID: BL8fZ.Pl)
どうやらスレッドがIndexに残ってなかったみたいなので新しく作成。
ご迷惑をおかけします。
<---※まず最初に--->
1.オマージュ・転載などはしていません。
2.無意味なコピペ・AAを貼り付けるのはご遠慮ください。
3.荒らしを行うのはやめてください。
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- Re: 孤島からの無線 ( No.1 )
- 日時: 2011/03/21 12:04
- 名前: Ley ◆SAvQ/U.Sqg (ID: BL8fZ.Pl)
……———Prologue———……
「……終わりか………」
君たち御機嫌よう。 僕の名前はトーマス・フィリオ。 一応考古学者だ。
ちょうど飛行機で新たな遺跡が発見された島、ルーベイン島に行こうと思っていた所だよ。
何の予兆かは知らないが、飛行機がゆらゆらと下に向かってるんだ。
到着とかそんな物じゃない。 明らかに墜落しようとしているんだよ。
僕は咄嗟に頭を抱え、座り込んだ。 その瞬間さ。
眩い光が飛行機を覆ったのかと思えば、知らない間に僕は頭から血を流して倒れこんでいた ただそれだけだった。
まず目の前に入ったのは異様な形をした木々さ。
そして僕は炎上した飛行機の中に閉じこもられている事を知った。 どうやら割れた窓ガラスから外の光景を眺めていたようだ。
他の人達は僕より一足早く飛行機から脱出したのかは知らないが、「早くこっちに来い!……危……ぞ…!」って言ってるようなんだ。
何を言ってるかはハッキリ聞き取れなかったけども、とにかく今自分は窮地に置かれているという事がわかったのさ。
そして怪我だらけの体を、痛みに耐えながら必死に動かして、炎上した飛行機から脱出しようとした。
うん。 この時は死ぬかと思ったよ 今までで体験した事の無い窮地だったからね…
これが起きる前に一番怖かったのは遺跡を探検していた時に岩が崩れて出れなくなった事かな?
まあ地元の考古学者達に助けてもらったんだけどさ。 今思うと卑屈な話さ。
そして僕は飛行機から身を乗り出した。 匍匐前進で只管生きる事を考えていたね。
そして他の人達が助けに来たんだ。 腕を引っ張って飛行機から出そうとしてくれた。
なんでさっきは助けてくれなかったって? そりゃ燃えている飛行機の中に留まっていたから助けるにも助けられなかったのさ。
「ありがとうございます……」
僕は簡単にお礼を言うと、焼け焦げた服を手で叩いた。 まさか自分の服から煙が出てくるとはね、今思うと滑稽だ。
火傷だらけの体を動かして、あたりを見渡すと、どうやらここは島の様だった。
空気は墜落して燃えた飛行機の煙と混じってとても煙い。 少し歩いてみると海が無辺際に広がっている。
絶海の孤島に取り残された僕達はこれからどうすれば良い? 答えは簡単さ。 生き延びるんだ。
……———Prologue———……
- Re: 孤島からの無線 ( No.2 )
- 日時: 2011/03/21 12:36
- 名前: Ley ◆SAvQ/U.Sqg (ID: BL8fZ.Pl)
01
「ふう。 それにしても絶体絶命だったね… 君たちの名前は?」
トーマス・フィリオは安易に絶体絶命という言葉を使っている様に見えた。 しかし周りの人は唯一の生存者を貶す訳にはいかない。
島に漂う風を浴びながら、飛行機墜落の被害者は今も悲しみにふける。
「あれを絶体絶命って言うなよ。 たまったもんじゃねぇ。…あと、俺の名前はアドルフ・ヘルヴィッヒ。ただの人間さ。 ちょうど故郷に帰ろうとしてたのにな…」
アドルフはその筋肉質な体を動かし、否定する。 呆れた様な顔で今も燃え続けている飛行機を凝視した。
飛行機は見事なまでに炎上していて、まるで大きなキャンプファイアーの様。
「…あの飛行機をどかせば、道が出来るのですが。とても邪魔ですねぇ… おっと…私の名前はロイ・ヴァーシル。 大学教授を営んでいます」
ロイは自分の口を達者なまでに動かしながら、とにかく皮肉を吐き出した。 とても聞いていられる内容ではなかったが。
トーマスは怪我のせいで頭痛のする頭を必死に手で押さえ、地面に座り込んだ。
頭から垂れていた血はいつの間にか硬化していて、塗らした布等で拭かないと取れなさそうだ。
「それにしても…こんな不幸に狙われることしてない気がするんだよなあ? あ、自己紹介しときます。 僕の名前はアレン・スディアロです。 一応医者やってます。」
アレンは物静かに手に持たれていたボロボロの医療パックを開け、大量の薬や回復薬を全員に見せ付けた。
「このケース、頑丈なんでよかったです。 怪我したらこれで治してくださいね。 使い方は薬を出して、塗るだけです。」
アレンは簡単に使い方の説明をし、さり気無く額の汗を手で拭った。
「他に人は居ないのかい? どうやら僕も含めて四人の様だけど。」
「飛行機が墜落した時、此処とは違う場所に落ちた可能性もあるな。 捜さないと餓死の可能性も否めん。」
アドルフはそう心配事を言うと、おもむろにシャドーボクシングを始める。
空を斬る音が響き、アレン達は呆れている様。
「アドルフさん… 殴り合いなんて起きませんよ。 とりあえず此処に留まってもしょうがないですね。 移動しましょう。」
「おいおい医者さんよ…… どこに移動しろと? まだ場所を把握してない中、無闇に行動するのは無難だぜ?」
「お前ら落ち着けよ… とりあえず今日だけは行動するのをやめよう 下手に動いて大変な目に会って困るのは誰だ?自分だ。」
三人の会話が結構な速さで繰り広げられる中、トーマスはボンヤリとしながら空を見つめていた。
虚空に残っていたのは被害者の無念と悲哀。
そしてその後生きれるかの、不安だった。
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