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- 夢にとらわれて
- 日時: 2011/03/22 20:45
- 名前: ガ チャ 子 (ID: cmJUFzJC)
彼女は夢にとらわれていた。
現実が、信じられなくなってきたのだ。
父親の浮気。
母親の失踪。
姉の自殺。
取り柄のないワタシ。
ワタシの苦労なんて知らずに、
ミンナは何故、そんなにヘラヘラしているの———??
怒りと悲しみの絶頂にいる
渡辺 サラ、君の話である。
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- Re: 夢にとらわれて ( No.1 )
- 日時: 2011/03/22 21:14
- 名前: ガ チャ 子 (ID: cmJUFzJC)
1 小さな夢
父親の浮気が分かった日の夜、
ワタシは小さな夢を見た。
顔はあまり見えなかったけれど、
痩せ型で、でもしっかりしている理想の体系の
男性がワタシに何か、ピンクのものを渡してきた。
『それは、何?』
夢は途切れてしまった。
いつもの朝。では、ない。
いつも同じように広がる窓からの風景が、
なんとなく、重く見える。
ドアを開け、廊下をペタペタと歩く。
「あら、おはよう。」と言い、
「ご飯が出来たわよ。学校遅れちゃうから、早く食べなさい。」
と、「おはよう」を返す暇もなく言う母親の姿が思い浮かぶ。
それは、たった、昨日までの話である。
わざと、ふざけて「おっはよ〜」っといつも通りにドアを開けてみた。
返事は、ない。
細い腕を七分袖から出している。
あぁ、せっかくのネイルをしている爪のパーツが、
所々とれていて、勿体無いじゃない。
「ふぅ」とため息をついて、
ミルクに砂糖を入れて、レンジで暖める。
「サラ」
あ、居たんだ。
お姉ちゃんが、ワタシを睨みつけていた。
「あんた、もうちょっと周りの空気読んだら?」」
「じゃあ、学校を休めっていうの?」
「そうとは言ってない。」
お姉ちゃん、つけまつけすぎ。
ワタシを睨む目が、いつもより3倍、4倍の目つきになっていて、怖い。
「・・・ お姉ちゃんは、学校、行かないの?」
「行かない。」
「じゃあ、ワタシも休む。」
「あんたは受験生でしょ?中2の一番大事な時じゃない。
あたしは中3だからいいのよ?」
これは、ワタシに対する優しさなのか?
「言っとくけど、弁当は作らないからね」
「えぇぇえ〜・・・!?」
あぁ、優しさじゃなかった。
仕方ない、売店で買わなきゃな。
日々たっぷりの牛乳に砂糖を入れているワタシのお腹は、
すでに155のワタシに対して母親の162㎝の体重を、
はるかに超えている。
「お姉ちゃん・・・サラ・・・ 本当に・・・御免ね。」
お母さんの、蚊の飛ぶような声だった。
「・・・お母さん、大丈夫だからさ・・・。」
玄関を飛び出て、
ワタシは走った。
思いっきり。
あ、ワタシ、目頭が熱くなってるかも・・・
ヤバイ。
走るたびに、ワタシのお腹の脂肪は揺れていた。
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