ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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あなたはだあれ?
日時: 2011/03/26 20:25
名前: 純 (ID: fS3ho1RJ)

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   夕焼けが幻想的な夏に


   あたしは庭で遊んでいた。
   風が涼しく気持ちいい。



   手毬をしている最中に
   何処からか声が聞こえた。




   〝返して〟





   —— 誰?


   

   まだ幼く純粋だった
   あたしは辺りを見回すが




   
   誰もいなかった










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Re: あなたはだあれ? ( No.5 )
日時: 2011/03/26 22:30
名前: 純 (ID: fS3ho1RJ)

    クピクピsama


  来てくれたんですねっ!!
  凄く嬉しいです★
  更新もネタ作りも、
  全て頑張りまーす笑



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Re: あなたはだあれ? ( No.6 )
日時: 2011/03/27 12:25
名前: 純 (ID: fS3ho1RJ)

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もうすぐ春が来る。



自分の苗字と名前が全て春に関係していた、
もちろん、名前通りに春生まれなのだ。



「もうすぐ桜の季節になるね」



隣にいた親友の凛が言った。



「そーだねぇ」

「何で真由が答えるのよ」



同じく親友の真由があたしの代わりに答えた。
凛が鋭くつっこんで笑い合った。



「もう春休み初日で高校生デビュー!」

「受験なんておさらばだー」

「大学は行く気」

「なーし」



真由と凛が代わりがわり言う。
本当に姉妹みたいに仲が良いなあ。



微笑ましくあたしは芽を付けた桜の木を見る。
自分と同じ名前を持つ木花が愛しい。
何て思っていると。





「桜、桜の家に遊びに行って良い??」

「うん、良いよ」

「桜の家は綺麗だもんね、超楽しみっ!」





真由と凛は一旦着替えると言いそれぞれ道を別れた。
細道の方に自分の家が続いてるので、そこを歩く。




「凛と真由が来るから、何かお菓子を用意しなきゃっ!」




何のお菓子が良いかな、と言いながら家に着いた。
勢いよく玄関のドアを開けた。




—— ギィ…




鍵は掛かってなく簡単に開いた。
お母さんたち掛け忘れたぁ??




「物騒だなあ」




と思い玄関に入った。




靴を脱いで二階に上がると部屋に入り鞄を置き、
学校の制服から普段着に素早く着替えた。




—— ピンポーン




「真由と凛だっ!」




早いなと思いながら下に降りた。
玄関のドアを開ければ二人が居た。







「早いじゃーん」

「まあね」

「とにかく入るよ」

「いらっしゃーい!」






リビングに行くとまず冷蔵庫を開けて
サイダーとチョコクッキーを二人に出した。





「うわあっ!美味しそうじゃんっ!」

「さすが、お金持ちー」

「じゃないよ、早く食べて食べて」





ふざける二人に苦笑いしてクッキーを食べた。
お客様用のコップを出しサイダーをいれた。






庭の風景が見れるリビングは、
あたしの名前の木花が植えてあった。
もうすぐ咲き誇って桜の絨毯が出来るころだ。





「ホントにこの家は広いよねー」



真由が何気なく呟いた一言に凛が食らい付く。



「たしかに、冒険してみない?」

「いや、桜の許可を貰わないとダメっしょ」



冷静に対応した真由に凛はあたしの方を見て。



「ねぇ…してみよーよ!」



たしかにあたしが入ったことも無い部屋もあったはず……




というか明治時代から続く名家だったらしい、
戦後には零落したけど影響はまだあった。



だからあたしは時々〝お嬢様〟と言われる事もあった。




凛に誘われたら断れきれないよ。
それに凄く興味もあるもんなあ。


だからあたしは軽く考えて答えた。





「良いよ、興味あるから」

「やったあっ!!」

「凛、そんなに喜ばなくても…」





凄く喜ぶ凛に呆れながら見ている真由だった。
あたしは立ち上がってリビングのドアノブを握る。






「ほら、早く行こう」

「はーい」

「良いの?桜?」

「良いの、良いの」







あたしたちはリビングを出て廊下に出た。









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Re: あなたはだあれ? ( No.7 )
日時: 2011/03/27 14:30
名前: 純 (ID: fS3ho1RJ)

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「さっそく目の前に気になるドア発見!!」



凛が指を指したドアは入った事が無かった。



「まずはあそこという事で」

「入っても大丈夫?」

「真由、大丈夫だよ、心配しすぎっ!」



凛が軽く言ったのに腹が立ったのか、
真由はそれっきり何も言わなくなった。



「じゃあ…開けるね」



ドアノブを握る。




—— ギィ…




部屋の中は薄暗いが家具などが置いてあった。
良く見ればアンティークな骨董品みたいだ。




「凄いっ!!これ西洋骨董品みたいじゃん!」

「さすが、桜の家は大富豪だねー」




等と凛たちは言うけど良く見ると、
これは一つの部屋になっていた。




「なんか人が生活するのに使う部屋みたいだね、クローゼットとかあるし…」




物置き場とは違った部屋だ。
人が使える〝部屋〟だった。





「桜……此処は本当に誰も使ってなかったんだよね?」

「うん…」

「何で埃が無いの?」





誰も使ってないはずなら埃とかあるはずなのに……




良く考えれば埃一つもなく
むしろ片付いているように見えた。
急に気味悪くなった。もう出たい。





「あっ!!……桜のおばさんが掃除してるとか?」

「……分かんない」





凛が気が付いたように言った。
だけどお母さんとは最近会ってない。
仕事が忙しくて会う暇も無いから。



だから掃除しているとは到底思えないけど……





「まあ、そーいうことで!」





凛が明るく話を片付けた。




あたしたちは部屋を出ようとする前に、
視界に何かが映った——。






「ん……人形?」





ソファーに気怠く座っているように見える人形だ。




「桜?……フランス人形じゃん」




部屋を出た真由が引き返して言った。
凛も出る前にあたしの元に来た。





「フランス人形って不気味に見えるけど、この人形メッチャ可愛くない?」





真由が言うことに同意を感じた。
あたしの家にフランス人形があるんだ…。
初めて知った。






「ホントに桜ん家は何でもあるんだねー、面白いっ!」

「たしかにー、凄すぎだよ」

「そう…なの?」






ソファーに座っているフランス人形。
あたしはその人形を抱き上げた。






「可愛いから飾ろうかな?」




あたしは気に入ったのだ。
この人形が。




「名前も付けたらー?」

「良いね、凛。何にする?」




珍しく真由も凛の言うことに同意した。




「フランスにかけてマリーちゃん!」

「………処刑された王妃の名前だろ、それ」




ギロチンで処刑されたんだよね?
もの凄く失礼だと思うよ…凛。




「もう、それじゃあ……ローズは?」

「ローズ?」




真由が思いついたように言う。
何で薔薇なの?




「何で?」

「髪飾りが薔薇だから」




たしかに髪飾りが薔薇だった。
ローズちゃん。
たしかに似合ってるかも。




「ローズちゃんに決定だね!」




凛の言葉が部屋に響いた気がする。
フランス人形のローズ。





何処か不気味に思えたのをあたしは気のせいだと、
大して気にせず大切に腕の中で抱きしめた。







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Re: あなたはだあれ? ( No.8 )
日時: 2011/03/27 19:45
名前: 純 (ID: fS3ho1RJ)

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夕方になれば二人は帰った。


あっという間に一人きり。
退屈で孤独な時間。



お手伝いさんたちはいるけど
仕事が忙しくて構う事は無い。
退屈だ。寂しいよ。





「ローズ……」





部屋に戻ったあたしはローズを抱く。
寂しさを紛らわすため。


どうせ今日もまたお母さんたちは仕事で遅い。
あたしは携帯を持ちメールする。
最初は誰にしよ、凛かな?



  
   ————————————


   凛?あたしだよ、桜だよ笑
   今日はホントにありがとっ!
   凄い楽しかったわあ★

   凛はムードメーカだもんなあ、
   居なきゃ寂しいよーン(キモ


   またねぇ^^


   ————————————





「そーしんっ!」





あたしは〝送信〟という単語にボタンを押す。





早く返信が来ないかなと待っていれば、
すぐに凛から返信がきた。






   ————————————


   私に任せなさーい笑
   真由も帰りで喜んでたよ?
   それにしてもローズちゃん
   様子どう?

   って生きてないのになあ笑
   ゴメン、今のは忘れてくらはい


   じゃあね★!


   ————————————







「クスッ……凛らしいね」










あたしは携帯を片手にローズを抱いたまま
ベットに寝転がってる状態だ。






お母さんが見れば怒るだろうなあ…。







ホントにあたしは不自由な生活だよ、
あたしは何の為に生きているのかな?
名誉の為?世間体の為?



良く分からなくなってきた。
とにかく自由になりたい。





「…………眠い」





急に眠気があたしを襲った。





「………眠っ、………」




あたしは意識を手放してしまった。






——





あたしはお婆様に教えられた〝手毬〟という
遊びに当時は夢中になっていた。




和風でとても色鮮やかな手毬に
教えられた童歌を歌いながら遊んだ。




風が涼しく心地好い庭に遊んでいる最中に。






〝返して〟







「…………だあれ?」








辺りを見回すが誰もいなかった。
気のせいだとまた手毬を始める。









〝返して〟










「………だあれ?何処にいるの?」










耐え切れなくなったあたしは
庭中を探し始めた。
が誰もいなく急に背後に視線を感じた。






振り向けば、








——







「…………んん?」







あたしは目覚めた。



嗚呼たしか寝ていたんだっけ、
寝返ればローズに視線が映った。





「お前は此処に居てね」





と潰さないように近くに置いた。
手に持った携帯を見れば、
着信歴にメールが何件ものあった。






真由や凛たちからだ。








「やばっ—………」









早く返信しようと画面に返信ボタンを押した。






書く内容は決まってる。








近くに置いたフランス人形のローズが
ニヤリと笑ったように見える事を、



あたしはまだ気づいてなかった。













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Re: あなたはだあれ? ( No.9 )
日時: 2011/03/27 21:33
名前: かりん ◆SVvO/z.cC. (ID: ueXHoJNS)

フランス人形・・・怖
でも、日本人形も怖い
普段は可愛くても1人で、見たくない・・・


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