ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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殺人衝動 vs 女子高生
日時: 2011/04/05 19:20
名前: シグナルイエロー (ID: 4mrTcNGz)

 はじめまして、シグナルイエローなる者です。
 黄色信号、つまり赤になるぎりぎり前のオタクちゃんの書いた小説ですが、楽しんでくださると嬉しいです。

・殺人シーン(グロ要素)、エッチなシーン(エロ要素)は、なるべく避けて、幅広い年齢の方にお読みいただけるように、配慮いたします。

・初心者〜中級者のアマチュアなので、表現や言葉が足りないといった場合もありますが、精一杯配慮いたしますので、ご了承下さい。

・アドバイスやコメントは大歓迎ですが、他の読者様への暴言・中傷はご遠慮ください。

・荒らしなどの対処として、注意はせず、そのままスルーという形でお願いいたしします。

 ではでは、始めます(^^)/

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Re: 殺人衝動 vs 女子高生 ( No.1 )
日時: 2011/04/05 19:45
名前: シグナルイエロー (ID: 4mrTcNGz)

ぷろろーぐ『

 ——どうして、人を殺してはいけないのか?


 誰しも、人生で一度くらいは抱く疑問であろう。
 
 人の心の中には、相手に対する複雑な感情が、幾多とある。

 例えば嫌悪。
 例えば憎悪。
 例えば怨恨。

 例えば好意。
 例えば悪意。
 例えば害意。


 例えば——殺意。


 その相手に抱く感情、ひとつひとつが、人を殺す理由に繋がる。


 嫌いだったから。
 憎かったから。
 怨んでいたから。
 
 好きだったから。
 死んだ方が世の中のためになると思ったから。
 邪魔だったから。

 あるいは、単純に——殺したかったから。

 こんなに理由はあるのに、人は人を殺してはいけない。
 
 答えは、意外に単純明快だ。

 道徳に反するから?
 殺人を犯したら、その周りの人が悲しむから?
 逮捕されて、牢獄で暮らすのが嫌だから? ——そうではないだろう。


 ——ルールを、破ったことになるからだ。


 殺人を犯してはいけない、というルールを、破ることになるから。
 ルールを破って、ルールに背くことになるから。

 だから、人を殺してはいけない。

 まあ。
 こんな殺人鬼にとっちゃ、それは邪魔なルールでしかない。
 
 殺人鬼は、そんなルールに従わないし、従えない。

 そう。
 人は人を殺してはいけない。


 殺人鬼が人を殺してはいけない、なんてルールは、あるのかねえ?
 
 

 
 
 

 


 
 
 
 
 
 

Re: 殺人衝動 vs 女子高生 ( No.2 )
日時: 2011/04/06 11:24
名前: シグナルイエロー (ID: 4mrTcNGz)

登場人物

月崎蛍(つみざき・ほたる) 殺人鬼。

翳里蜥蜴(かげさと・とかげ)病み医者。

月影他人(つきかげ・ひと) 死神。

祈祷円儒(きとう・えんじゅ)助手。

空蝉空子(うつせみ・そらこ)情報屋。

空蝉研磨(うつせみ・けんま)殺し屋。

Re: 殺人衝動 vs 女子高生 ( No.3 )
日時: 2011/04/06 11:18
名前: シグナルイエロー (ID: 4mrTcNGz)

壱『人生がゲームであるなら』

 人生に、取り返しのつかない失敗というのは、いくつもある。

 無論、人生はゲームではない。
 リセットができないから、データを消すことも不可能。
 ゲームオーバーがないから、途中でやめることも不可能だ。

 人生がゲームと違うのは、致命的な何かを背負ってまで、生き続けなければいけない、というところだ。

 そして、私——月崎蛍(つきざき・ほたる)の人生もまた、ゲームではないのだった。

「…………あれ?」

 私は、汀学園高等部の教室で、首を傾げた。
 目の前に広がっている景色が、やけに現実味のない光景だったからだ。

 教室は、血の海だった。
 全員、地雷をぶつけられたように——損傷し、死んでいる。

 ——死んでる?

 この死体、元クラスメイトたちは——『死んだ』のではない。
 私に、クラスメイトの一人に——『殺された』のだ。

 人が死ぬときには、誰かに殺されて死ぬ。

 病魔だったり。
 運命だったり。
 他の人間だったり。


 そして——殺人鬼だったり。


 自分は、人間でないような気がしてきた。
 いや、実際——これだけ殺して、頭だけは冷静なのだ。
 血に濡れた身体も、正常に稼動している。
 私は、人間でなくなったのだろうか?

 私の傍には、親友も、好きな人もいる。

 担任の、鍛冶原八香(かじはら・はちか)先生。
 親友の、水面揺羅(みなも・ゆら)。
 片思いしていた、初島海里(ういじま・かいり)。

 みんな、みんな——私が殺した。
 
 なんで殺したか分からない。
 ただ、人の声を聞いていたら、苛立ってきたのを覚えている。
 息苦しくなって、周りが疎ましく思えてきたのも、記憶している。

 そして、気がついたら、これだった。
 殺した瞬間のことを、リアルに思い出せる。
 思い出すだけで——快楽に満たされていくのも感じる。

 まるで、まるで——殺すのを楽しんでいるみたいじゃないか?

 一つだけ、はっきりしていることがある。
 

 もう、殺人鬼でなく、人間としての月崎蛍には、戻れない——。


 そのとき。
 研ぎ澄まされた感覚の中で、何かが蠢(うごめ)いた。


 後ろに、誰かがいる。


 私は、ゆらりと振り返った。





 


 


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