ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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幻想短編集。
日時: 2011/04/07 18:24
名前: 矢吹涼和 (ID: ohiIgZdM)

こんにちは。
趣味と突発的にうかんだ短編の小説書いてきます。

主に幻想的(?)みたいのしか書けません

すんません…。

Page:1



Re: 幻想短編集。 ( No.1 )
日時: 2011/04/07 18:31
名前: 矢吹涼和 (ID: ohiIgZdM)

【蒼の塔】






 孤島の夜。

白い砂浜を歩いている。


 
夜空を見上げれば、幾つもの星が輝いていた。



目を閉じれば…

夜風が冷たく心地いい…






 サアアァァ…


波の音。

ふと目をあけると、美しく光る蒼の塔。


 しばらく見とれていた。





 グオオオ…






 なんだろう







グオオオオオオオオオオ





 視界は歪み、塔は近づく。



その時かんじたものは歓喜などではなく恐怖に近い感情だった。



 「きゃああああああああああああああ!!!!」












   叫び声と共に目を覚ます



 いつもの白い部屋。


  ベットに横たわる。


 朝のひざしが差し込み。

  カーテンが揺れた。




    ジャリッ…





 何かの感覚。



  手にはあの白い砂が握られていた。













   あの青い塔は夢…?
   
  
    はたまた、異世界への入り口だったのだろうか?

Re: 幻想短編集。 ( No.2 )
日時: 2011/04/08 12:16
名前: 矢吹涼和 (ID: ohiIgZdM)


【雷鳥】




 ゴォオォォ!!!!






 ある山奥の谷は、いつもけたましく雷が鳴っていた。

休むことなく、重なるように鳴り響く


 
 そんな轟音の絶えない谷に、ある怪鳥が住んでいた。

とても大きく、まるで焦げたように黒い鳥

 毛がところどころなく、不快感をあおるような浅黒い肌をもっている


 
そんな怪鳥は雷に向かって叫んだ。


  『 なんと皮肉なことよ 』


『 私たちを守るはずの雷が、私たちを脅かしてしまうとは 』



 とても言葉とは思えない掠れた声。


 『 子供たちは、全員 お前に討たれ 山へと堕ち その肉体は土へと朽ちてしまった 』


 とても怪鳥とは思えない悲しい声。



 


  『 そして私もお前に討たれ 日々、弱り果てていく 』

『 肌は浅黒くなり もはや血は通っていない 』


  『 ここで生涯を終えるなら 私はお前を連れて行こう雷よ 』






 怪鳥が震えながら、空高く舞い上がった。



 













  —— 次の瞬間…!!!!!!






 ドオオオオオオオオオオォォォンン!!!!!











 雷は怪鳥を射抜いた。




だが、怪鳥はひるむことなく飛び上がる。




 金色の衣を纏って





怪鳥が羽ばたくと雷はまるで寄り添うように怪鳥のそばへとすり寄る。






 そうして怪鳥は暗雲の立ち込める空を斬っていった。













 

 子供をせおって天へと昇って行く 

       これが雷鳥の始まりなのかもしれない

Re: 幻想短編集。 ( No.3 )
日時: 2011/04/09 15:16
名前: 矢吹涼和 (ID: ohiIgZdM)

【四季桜】




 ある男が1つのサクラに恋をした。


  春…——




 暖かな日差しが、丘にぽつんと取り残された桜を照らす。
そしてその男は息を切らしながら、その桜にもたれた。


  ふぅ……と息をついて、汗をぬぐう。


そして、男の頭上から桃色の花びらが、ひらひらと舞い落ちてきた。




    これは見事——





終始その男は桜にみとれ、日暮まで桜にもたれていたそうな。






 それから毎日、毎日と執着するように桜を見に来た。
もう春だ、ほかの桜は見事満開に咲いているはず。

 男が見に来る桜は、大きくもないというのに

何故、息を切らしてまで見に来る必要があるのか…





   男に魅入られた桜は理解しがたかった。

 だが【彼女】は嬉しく思っていた。



こんな丘の上で独りの私を

 ここまで大事にしてくれる人が居ただなんて…。


 【彼女】も、男に恋をした。








 だが、ある時、ぱったりと男は来なくなった。


【彼女】は寂しくなり、また独りになってしまった。

 




 そして、日暮の時。




何やら丘の下を黒服の団体が歩いている。


何かしら…?



そう思ってよーく見てみれば

 黒服の団体は泣いていた。
そして老婆が まぎれもなく男の遺影をもっている。



 あら…?あの人だわ



どこか遠くに行ってしまったのかしら……



桜には何が起こったのか分からなかった。
だから彼女は





  そうだ、彼が帰ってくる目印に私は咲き続けよう。

 彼がまた来てくれるなら夏も寒い冬も乗り越えられる。




そう思って 春 夏 秋 冬 と



 咲き続けた。







  2年が過ぎた冬。



 彼女はもう咲き続ける元気がなかった。


  


 あらあら…ダメでしょう。

あの人がまだ帰ってないのに……







    ふわり…




  雪に埋もれてしまいそうな桜は、何かあたたかなものに触れた。




 男が【彼女】の手を取っていた。




  あら、帰ってたのね、お帰りなさい。



 【彼女】は満面の笑みで笑った。
男はうなずいて【彼女】の手をにぎる。



「 咲いてくれたおかげで、道がわかったよ……寒かったろう……暖かい場所があるから行こう 」

 男はそう言い【彼女】はうなずく



桜は枯れた


でも【彼女】は彼と共に暖かい日差しの中へと消えて行った。








 




 

 四季桜







Re: 幻想短編集。 ( No.4 )
日時: 2011/04/25 20:24
名前: 矢吹涼和 (ID: wnkXBzTQ)

【余白】









  何も無い





  ただ ただ 苦し紛れの間が空いた、白。






  心中の奥深くを熱く苦しめる。


 —孤独という悲しみか?


 —純白というせつなさか?

 


 だが、此処にあることに悔いはなく。



 ただ、そこにあることを誇りとする。









 矛盾が幾度も繰り返されると、余りものの意味がわかる。


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