ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 禁忌×黒猫
- 日時: 2011/04/09 12:24
- 名前: リン ◆6.NxB5v8oQ (ID: hj9a4sJB)
ねぇ、君は何時から其処にいるんだい??
愛されていたと言いきれるのかい??
玩具になっていると思い込んでいるのかい??
ねぇ、君は僕を愛してくれるのかい??
ねぇ、君は一体何時から———————……・・・・ ・ ・ ・ ・ ・
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- Re: 禁忌×黒猫 ( No.1 )
- 日時: 2011/04/09 12:35
- 名前: リン ◆6.NxB5v8oQ (ID: hj9a4sJB)
漆黒に包まれた部屋。…いや、もしかしたら漆黒という表現すら間違えているのかも知れない。『漆黒』という表現があるならば対義語の『純白』という言葉もあるという事になるから。『闇』に視界を遮られながら私は手を伸ばす。それしか出来ないから。声にならない声を出しながら必死にもがくことしか出来ない自分はどれ程ちっぽけな存在なんだろう。
そんな戯言を考えていると一筋の神々しい光が私の身体を包んだ。…包んだという表現よりは貫いたをいう方が正しいんだと思う。だ……その光と共に私の体内には大量の情報が流されこんで来た。私の体内に巡らされている細胞はその情報の処理に追われ、いつの間にか私は自分が保っている意識を手放なさらなければ行けなかった。
『もう、抗うのはやめよう。』
自然とそう思えた理由は分からない。けれど、私は抵抗する事は無く、自らの身体を貫いた光に身を任せ、半永久的に続くと思われていた闇から逃げた。
- Re: 禁忌×黒猫 ( No.2 )
- 日時: 2011/04/09 13:02
- 名前: リン ◆6.NxB5v8oQ (ID: hj9a4sJB)
「我々にとって必要なものは〜」
かったるい。一体この単語をこの90分の間に何回頭に思い浮かべれば良いのだろうか??そんな事を考えている私に授業は頭になど入る筈は無く、きっと他の人の眼球にはボーっとしている私の姿は滑稽に映っているだろう。私が今欲しいものは何か。考えれば考えれる程見つからない『ソレ』は紐のついていない風船のように私の脳内を只、自由にフワフワと漂っている。
…その時、私の机の上に何かが書かれている一枚の紙切れが置かれた。…どうやらその紙切れを置いたのは私の右隣の女子…椎名綾女のようだ。ニコニコと笑いながら私をジッと見つめている。…退屈な授業を紛らわすのには丁度いい。そう思いながら雑に折りたたまれた紙切れを広げる。
【今日 放課後 旧校舎 外階段裏 綾女】
単語だけが書かれたその紙切れを見て私は微かに思考能力を使う。…私の学校には旧校舎が存在する。そしてその旧校舎は外階段と呼ばれているものがあり、1階と3階をつなぐ階段で普段人などは通らない場所に設置されている。それに加えて外階段裏というのは完全に周りから見れば死角になっている為、何か呼び出しなどに使われる…らしい。そこに何で彼女が私を呼ぶんだろう??さほど仲も良く無ければ悪い訳でも無い。…私が何かしたのか??いやいや、面倒事は嫌だから自分の行動や発言には細心の注意をはらっているつもりだ。
【了解です。 芽久】
私はノートの隅を少しだけちぎってそう書くと綾女ちゃんにその紙を回した。…彼女は満足したのか、ニッコリと可愛らしく微笑んだ。
———————————————————————……・・・・ ・ ・ ・ ・ ・
「…どうしたの??綾女…ちゃん??」
あぁ、もう。じれったい。綾女ちゃんに呼ばれて旧校舎の外階段裏に来たのは良かった。でも先に着いていた綾女はずっと俯いたまま沈黙を守り続けている。
「ねぇ、綾女ちゃん??どうしたのって聞いてるんだけど。」
流石に苛立ちが込み上げて来てついつい強い口調になる。…それでも綾女ちゃんは俯いたまま何も言わないし動きもしない。…本当に何なのだろうか??
「綾女ちゃん…??私、もう帰るからね??」
それだけ言ってその場から去ろうとした瞬間、今まで石のように動かなかった綾女ちゃんが微かに動いた。
「待って!!芽久ちゃん!!」
…そう思った後は、今まで聞いたことの無いような大声で綾女ちゃんは私の名前を呼んで私を引き止めた。
「…どうしたの??」
「何か要件があるならちゃんと言ってくれない??」…と喉まで出かけた言葉を呑み込みながら一言だけ返事をすると彼女は顔を上げ、私の事を見つめた。涙でか潤んだ瞳は私を捉えている。
「あのね——っ!!!」
- Re: 禁忌×黒猫 ( No.3 )
- 日時: 2011/04/10 11:11
- 名前: リン ◆6.NxB5v8oQ (ID: hj9a4sJB)
「——…ごめんね、芽久ちゃん。」
…そう言った綾女ちゃんの声が聞こえたと思った瞬間、私は光の瞬きの中に突き落された。
数多長い長い歴史を自分の体内に押し込んだような苦しさと不快感が身体にベットリと纏わりつく…。でも、それとは対照的に私の身体を包む光は暖かく、凄く心地が良かった。私は、生理的に流れる涙を一筋頬に滑らせ、その光と不快感に自分の身体を託した。
———————————————————————……・・・・ ・ ・ ・ ・ ・
「………ッ」
頭痛と吐き気。大人が良くなる二日酔いってこういう症状なのかもしれない。他の情報を集める余地などは与えられず、只々頭痛と吐き気に耐えるしかない自分に苛立ちを覚えながら今の状況を掴もうと必死に辺りを見回す。えぇっと確か…私は…嗚呼、そうだ綾女に呼ばれて…。それで変な光に包まれたんだったっけ。
「え…??」
目が開かない。永遠と続く闇。身体が言う事を聞かない事なんて今まで一度も無かったせいか、酷い恐怖と不安が込み上げてくる。それに比例するように吐き気と頭痛も増してくる。…落ちつかないと。
その時、私は気が付いた。
私の目は開いている。確かにしっかりと開いている。…辺り一面が闇におおわれているんだと。…此処は…何処??
「誰…か。いないの…??」
先程とは比にならない程の恐怖が込み上げてくる。声が震える。それでも一生懸命声を絞り出す…。でもその声は闇の中に無抵抗に吸収されていくだけ。…嫌だ。恐い怖い恐い。
「誰かあぁっ!!!」
涙が頬を伝う。その涙は先ほどの生理的なものでは無く、確かにしっかりとした自分の感情としての涙。恐怖と不安から流れ出る涙は今まで流してきた涙よりもずっとずっと重く感じられた。
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