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エマネマス
日時: 2011/04/11 05:48
名前: マツタリオ (ID: 8PS445C3)

 私は暗い町のバス停の前に立っていた。あの娘はどこにいったのだろう?彼女は私の小学校の同級生だった。彼女はその事を覚えているだろうか?彼女は悪い友達にだまされて、どこかに連れていかれそうになっていた。彼のことはあまりおぼえていない。印象の薄い彼は、彼女を止めようとしていた。彼女はおそらくもう覚悟を決めていたはずなのに、彼は彼女を連れていかなくてすむように、あらゆるコネを使って、今までの自分の犯した罪を棚にあげて、彼女を助けようとしていた。彼女は彼の説得を受け入れ、最終バスに乗って町を出ることした。彼は彼女の代わりに罰を受けにいく。私は彼女をバス停で待っている。最終バスが闇の中からぼんやりとしたヘッドライトを照らしながらバス停に横付けする。ドアがゆっくりと開く。私は闇におおわれた歩道を見渡したが、誰かが来る気配はなかった。ドアを閉めるというアナウンスが鳴った。私は閉まりかけたドアの隙間に体を挟まれそうになりながらバスに乗った。私は後部座席に座り、後の窓の向こうを見つめた。バスがゆっくりと発進を始めた。タイヤがアスファルトを踏みつける音が聞こえる。バス停の闇の奥に彼女が立っていた。まるで私を見送るように、彼女はうっすらと笑っていた。私は彼女に手をふった。彼女が手をふりかえしたように見えたとき、窓の向こうは闇に包まれていた。

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