ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 魔性の黒猫
- 日時: 2011/04/14 21:47
- 名前: 涼香 (ID: fS3ho1RJ)
プロローグ
魔性の黒猫と呼ばれるとても美しく神秘的な猫がいるの
その猫を愛玩や飼育しようとは思わないほうが良い
死にたくなければ、の話だけど……。
今宵も闇夜に紛れて黒猫が魅力的な鳴き声を聞いたら、
早 く 逃 げ て
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- Re: 魔性の黒猫 ( No.1 )
- 日時: 2011/04/16 12:24
- 名前: 涼香 (ID: fS3ho1RJ)
大親友のリナは都市伝説好きだから良く都市伝説を聞かせて貰った。
怪談大好きのあたしとリナは気が合うのはたしかだった。
だから、今日もリナになにか良い都市伝説はあるのか訪ねれば。
「それなら、黒猫はどう?」
「黒猫ー?」
魔女の相棒とかに出てくる黒猫かあ…。
良く不吉だとか言われているよね。
「うん、黒猫だよ…昔々にね」
「何々?」
あたしはリナの話に集中して聞いた。
リナは次のように話した。
「ある女の子が大好きな黒猫を家庭の事情で捨てる事になったの。
そうとは知らず黒猫は大好きなツナ缶を空き家に独り食べてた。
しばらくしても主人たちは帰ってくる事がなかった。
でも黒猫は主人がいつか帰ると信じて待ち続けていたけど、
遂に捨てられたのだと悟ったの。
だけど気付くのが遅くて黒猫は餓死しちゃった。
それ以来その死んだ黒猫は自分を捨てた主人を探し続けているのよ」
とても悲しい都市伝説だった。
あたしのある過去と同じ内容だった。
昔にお父さんが自殺したから生活は少し苦しくなった。
そして大好きな飼い猫で黒猫の愛海を手放す羽目になったのだ。
同じくツナ缶を餌にさせて、独り空き家に愛海を置き去りした。
都市伝説と、とても似ている。
その後の愛海はあたしは知らない。だから愛海は死んじゃったのかな?
まさか……、ただの偶然だよね。
「真紀?まーき……大丈夫?」
「えっ、あっー……大丈夫だよ、リナ」
不意にボンヤリとしていたあたしにリナが話しかけた。
心配そうにするリナに適当に誤魔化した。
ズキンッと胸が痛んだ気がした。
愛海にしたことは許されない人間のエゴだと分かっている。
だから、もしも天罰が下るなら、快く受け入れよう。
愛海にもう一度逢いたい。
どんな形でも良いから愛海に逢って抱きしめてあげたい。
それすらも叶わない夢なんだ。
だって愛海はもう死んでるのだから。
都市伝説に限らず、もう愛海は猫の寿命が近い歳だったから。
「もうすぐでチャイム鳴るよ、真紀」
「あっ…うん」
自分の席に戻って座った。
チャイムが鳴る。
この授業を受ければ放課後で部活は今日は無い。
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- Re: 魔性の黒猫 ( No.2 )
- 日時: 2011/04/16 12:57
- 名前: 涼香 (ID: fS3ho1RJ)
放課後になったがいつもより違うのは空の明るさだった。
夕焼けで赤く染まる空が今日は昼間の明るさ。
全ての先生たちが会議で生徒たちは帰る羽目になったのだ。
早く帰ろうとリナは通学路の近くにある小道に足を踏み入れる。
そこは学校が通ってはいけないと言われた道。
「真紀、早く行くよ、バレる前に」
「はいはい」
校則を破る気分はなんとも言えないワクワク感がある。
あたし等は小道に入った。
そこはなんとも和風な感じの路地が並んでた。
桜が見事に誰かの庭に咲き誇っている。
地面には、桜の絨毯が出来ていた。
「キレーじゃん、何でここに入っちゃダメなのよ」
「路地だからじゃない?」
「使っても問題ないよ」
路地は階段になっており上りがキツイ急な坂だ。
頂上に着いた途端に息が途切れる寸前だった。
息を整えた後に、あたし等は頂上の道を進む。
「ここはどーやら、丘みたいだね」
「そうだね、初めて来たよ」
近くに公園があるのをリナが発見したのでその公園に一休みする。
そこへ茂みから何かが動いている。
カサッカサッ…。
不気味だ、何が出てくるのよ、リナはすっかり興味津々だ。
茂みから出てきたのは、猫だ。しかも、黒猫。
「うわあ!メッチャ可愛い!」
リナは黒猫に近づき頭を撫でてあげた。
黒猫は気持ち良さそうにゴロゴロと喉を鳴らした。
—— 愛海みたいだ。
あの頃のあたしも良く愛海の頭を撫でていたよねぇ…。
ふと、黒猫と視線が合った。
野良猫だよね、罪滅ぼしに飼ってあげようかな。
愛海と良く似たこの黒猫が急に心配になってきた。
今なら生活は安定しているから、別に飼っても困らないはず。
それに一軒家だからマンションじゃないから飼っても良いはず。
あたしは黒猫を抱き抱えた。
「真紀……飼うの?」
「うん、丁度、猫が欲しかったし」
「都市伝説みたいにならないでよー」
リナが冷やかすように言った。
あたしはムッとして。
「何をバカな事を言わないでよ、この子はそんな子じゃないもーんだ」
「はい、はい」
愛海に本当に良く似ているこの黒猫は静かだった。
驚いて暴れだすかと思ったけど、大人しい性格なんだ。
あたしの腕に抱かれている黒猫は大人しく眠っていた。
「じゃあね、真紀」
「またねー」
あたし等は途中で別れた後、家に着いた。
お母さんは流石に驚いたけど愛海の事を思い出して。
「そうね……、飼っても良いわよ」
「ホントっ!」
玄関に響くあたしの声。
黒猫は静かなまま。
「えぇ、ちゃんと世話をお願いね」
「はーい!……良かったねぇ、子猫ちゃん」
大きさはまだ子猫の大きさだった。
黒猫は嬉しそうに「みゃー」と鳴いた。
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