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少年Sの沈黙
日時: 2011/04/19 17:53
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)

ちょっと残酷で、哀しくて、切ないのが書けたらなーって。

登場人物


◇崎岡 かえで
(サキオカ   ) 16歳 男 
        生まれつき影を操れる。 
        そのせいで両親から捨てられ、祖父と暮らす。
        性格は少々歪み気味。


◇月読 乙女
(ツクヨミ オトメ)  16歳 女
      母親の父親に対する異常な愛を見て、
     「好きな人を必ず自分のものにする」
     という概念を持つ。 かえでを好き。


◇染井 よしの
(ソメイ   )  17歳 男
        生まれつき半身に痣のある少年。
        包帯を巻いている。基本無口で無愛想。
       学校には行かず、バイトをしている。


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Re: 少年Sの沈黙 ( No.4 )
日時: 2011/04/21 18:05
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)




            序章
       『すきです、だいすきです』



小中学校と9年間同じクラスになれば、高校もそうかなって予想をしてしまう。
その予想があたったとき、たいていは少し喜ぶんだろうけれど、ぼくの場合はげんなりしていた。

「かえでくん、また一緒だねぇ。 もうコレ運命共同体でしょっ」

新しい高校の制服に身をつつみ、隣でめちゃくちゃはしゃいでいるやつがいる。 迷惑なことこの上ない。 もう少し静かに喋れないのか。
あと腕を掴まないでほしい。
ジロジロ見られていい気分はしない。

「乙女、手ぇ放してくれ」
「むう……。 はーい」

幼稚園のときからの幼なじみである、月読乙女は、それはそれは元気で明るい美人さんになっていたのであった……。 みたいな事を言えばいいのか?

「もう入学式始まるし、さっさと体育館行こうよ」
「わーったわーった」

高校ってなんでこんなに人が多いんだろう。 うじゃうじゃいて気持ち悪いな。
人酔いしてしまうから、苦手だ。 こういうの。
体育館に入ると、もう既に大半の生徒はパイプ椅子に座っていて、なにか喋ってる。 香水の匂いがして、思い切り顔をしかめた。

「かえでくん、こういう所大嫌いなんでしょー」
「そう。 吐きそうになる」

とりあえず、右から6番目の列の椅子に座り、じーっとしておいた。
乙女はまるで遠足にでも来たかのようにじっとしていない。 

「見てよ、あの子茶髪だよ? よくあんなんで受かったよねぇ」
「……そうだね」
「わたしも地毛が薄いから、中学ンときよく言われたなぁ。 ほんとまいっちゃうよ」

そう言いながら、地毛を掴んで見つめる乙女。

「かえでくんも薄いよね」
「ぼくは染めてたから」
「ああ、そっか」

不良少年ってほどじゃなかったけれど、夏休みとかは染めてたな。 色が黒く染まらなくてかなり焦った。

「よしのが上手く染めてくれてよかったねえ」
「そうだね」

よしの、というのは幼なじみの一人。
名前が女みたいだから、よくぼくに愚痴を言っていた。 まあ、その気持ちはすごくわかる。
ぼくらより1歳年上だけど、高校には行っていない。

「でも、よしのがかえでくんの頭触ってるの、嫉妬するなぁ」
「………………」

乙女が笑う。
うーん。 よくわからないけれど、あまり突っ込まないほうがいいかもしれない。

「もう少しで入学式始まるから。 静かにしてなよ」
「はーい」

Re: 少年Sの沈黙 ( No.5 )
日時: 2011/05/01 14:55
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)



入学式が終わって、それぞれのクラスに行く。 なんだか、個性の少ない、普通なクラスだな。
不良ってほど不良もいないし、生真面目ってほど真面目な人もいない。
ちょっと背伸びしてスカートを短くしている女の子がいるくらい。
担任も気弱そうな男の教師で、特に何もなく入学式は終わった。

「帰りはかえでくんの叔母さんが、迎えに来てくれるんだよね」
「そう。 校門前で立ってろだって」

ちなみに、僕と乙女の両親は入学式に来ていない。 僕ら二人、親はいないわけで。
乙女の事情は、まあ説明がつくけれど、僕の場合は科学的に説明がつかない。

「かえでくん」 「なに?」 「影、勝手に歩いて行ってる」

振り返る。
本来、僕の足元にあるべき影が、ない。
またか。
見ると、校舎の壁にペタリとくっついている。

「どこ行ってんだよ。 戻れ」

影はビクリと動きを止め、壁から地面へ、そして僕の足元にすいつく。
この変な僕の影のせいで、僕は幼いころ両親に捨てられた。 気味が悪い、と。 実の親から、面と向かって。

「前から思ってたけど、かえでくんの影って本当に不思議だね」
「───慣れてくれて嬉しいよ」

本当は誰にも言わないはずだったんだけど。
影がうろついているのを、見事に乙女に発見されてしまった。 たしか、中学1年の夏休みか。

「あ、よしのからメール入ってる」
「ぬぬ? なんてー?」

包帯を買ってきて、か。 あいつもあいつで僕のことを、パシリとしか思ってないんじゃないか?
まあ、一人暮らしだから仕方ないか。 
でもなあ、よしの。 乙女を見てみろよ。 この子も一人暮らしだけど、なんとか自立してるよ?

「じゃあ、わたしも! わたしも買いに行く!」





叔母さんに頼んで、近所の薬局で包帯を大量購入。 
よしのが住んでるアパートでおろしてもらった。 
階段で2階まで上がって、インターホンを押す。 幼なじみだから、ズカズカ行っちゃってもいいんだけど。 一応、礼儀で。

「よしの〜、入るぞ」
「おっじゃまぁ!」

殺風景な廊下をまっすぐに行くと、薄暗い部屋がある。 
そこに、染井よしのはいた。

「────どうも」

肩まで伸びた髪の毛に、顎まである長い前髪のせいか、右目が隠れている。 見えている左目は、どこか虚ろだ。
僕より10センチ近く高い身長の割には、痩せている。

「包帯、持ってきてやったぞ」

そして、彼の容姿を印象付けるのが、包帯。
服からはみ出ている体のすべてが、包帯で覆われている。 風呂にいっていないのか、妙な匂いもする。

「先に風呂行って来い。 乙女、包帯外してやって」
「あいあいさー!」

慣れた手つきで、乙女がよしのの包帯を外していく。 小さい子どもみたいに、よしのはピクリとも動かない。
どんどん包帯は外されて、よしのの皮膚が見えた。

「くすぐったい」 「我慢しろ」

その皮膚は、醜い。
赤黒く変色し、痣が広がっている。 右顎から、肩をつたい、背中にまで広がっている。
初めて人が見ると、かなり驚くと思う。 てか、確実に驚く。

「さっさと風呂に行って来い」
「わかった」

あと、乙女もいるのに全裸になるな。 一応、幼なじみといえ女の子なんだから。
乙女はまったく気にしていないらしく、汚れた包帯をゴミ袋に捨てている。

「よしの、元気そうでよかった。 バイトも励んでるみたいだねぇ」
「そうだな」
「よしのも格好いいのにね。 包帯ばっかで残念」

ああ、それは思う。
よしのはキレイな顔をしているから、モテるだろうに。

Re: 少年Sの沈黙 ( No.6 )
日時: 2011/05/03 11:36
名前: アキラ (ID: STEmBwbT)



染井よしのは、僕と乙女より1歳年上の幼なじみ。

僕ら3人は家が近いことや、周りに同い年くらいの子どもがいなかったからか、いつも一緒にいた。
小さいときからコイツは、自分の醜い肌を意識して、学校には来てなかった。 母子家庭で、母親とは仲がいいらしい。 想像つかないけど。

「もうちょっとかがめ」 「………………」 「かがめってば」

絶対わざとだろ、コイツ。 
包帯を巻きたいのに、突っ立ったまま動いてくれない。 10センチも身長が高いから、腕を伸ばすと痛い。

「おまえ、絶対からかってるだろ」
「かえでは小さいから。 見てて、おもしろいなって……」
「人を見ておもしろがるな」

若干コイツ性格悪いからな。 表情まったく変わらないけど、腹の底では笑ってるからな。
僕が必死で一人で包帯を巻いているのに、お前は協力もしないのな。

「おまえさぁ、ちゃんと食ってんの? なんか痩せてるけど。 体重何キロよ」
「───計ったことないけど…………、たぶん、55くらい」
「その身長で55? 痩せてんなぁ」

コイツ、178センチ身長あるから。 やっぱインドア派だから、もやしになるんだよ。 ちょっとは運動しろよ。

「かえでくん、ねえ」

いつの間にか乙女が後ろにいた。
どこか白々しい笑みを浮かべて、僕を呼ぶ。 だけど、その目は僕を見ておらず、よしのを見ていた。

「どうしたの」
「わたし、早く帰りたくなっちゃった。 用事を思い出したの」
「そう? じゃあ、よしの。 あとは自分でやれるか?」

素直に頷いてくれたのでありがたい。 
手早く残りの包帯も巻いてしまって、挨拶もそこそこに、乙女と一緒にアパートから去る。

「なに怒ってるの?」

駐車場を出たところで、聞いてみた。
乙女の喜怒哀楽は激しい。 感情の起伏が現れやすい、というか、言ってしまうと、すごく分かりやすい。
僕より前を歩いていたその足が止まり、

「ムカついたの」

乙女が振り返る。
今度は涙目にまでなっている。

「よしのの包帯を替えているかえでくんに、ムカついたの」
「───なんで?」
「新婚さんみたいに見えたから」

眼科でも行って来い、バカ。
そうとは言えずに、仕方なくお姫様のご機嫌をとる。

「そう見えたのなら、乙女の間違いだよ。 第一、僕ら男だし」
「そんなの関係ないよ」
「それに、僕は乙女にしか興味はないんだ。 乙女にしか、興味はない」

なんで2回も言ったんだ、僕は。

「くさいセリフだね、かえでくん。 恥ずかしくないの?」

誰が言わせたんだ、チクショー。
カラカラと笑いやがって。 恥ずかしいに決まってんだろ。
だけど、そんな僕の羞恥心などどうでもいいというふうに、乙女は笑い飛ばす。
ほら、感情の起伏が激しいだろ。

「────なんだよ」

彼女に気づかれないように、僕の足にサラリと触れてきた影を見下ろす。
そこらの影となんの違いもないはずなのに、なんでコイツだけ好き放題動けるんだか。

「用もないのなら、おとなしくしとけ」

ユラリユラリと動く僕の影は、少しだけフルリと左右に揺れ、そのまま本来の影となっていった。






          ◇     ◇     ◇     





オレは、化け物だ。

こんなに愛しているのに、彼女のすべてを喰らいたくて仕方ない。
血を、骨を、肉を、皮を、すべてを胃の中におさめたい。
そういう欲望が体中から響いてきて、理性を保っていられない。

オレの秘めた薄汚い欲望を、誰か、誰でもいいから。


消してください。


Re: 少年Sの沈黙 ( No.7 )
日時: 2011/05/03 13:03
名前: 右左 (ID: 8hgpVngW)

ふっはっはー
かえでクンやっさすぃー←
よしのクンにはもうちょっと照れてほしい、女の子に全裸はNGだぜよしのクン

Re: 少年Sの沈黙 ( No.8 )
日時: 2011/05/04 17:18
名前: 風(元;秋空  ◆jU80AwU6/. (ID: 4.ooa1lg)

新作品ガンバです^^
カニバリズム……高校入るまで聞いた事も無かった自分(汗
でも,今では大好きな題材の1つです♪
性的欲求と愛意,そしてグロテスクと食欲……究極ですね,もう★
感想書けよ……


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