ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- ツミノツグナイ
- 日時: 2011/04/29 21:38
- 名前: 小説家志望 ◆1XQOeq0s16 (ID: V2fBShP3)
初めまして、小説家志望の者です。
至らぬ点や、おかしい表現、問題は多々ありますが、日々、励んでゆくつもりです。
宜しくお願いします。
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- Re: ツミノツグナイ ( No.1 )
- 日時: 2011/04/29 22:14
- 名前: 小説家志望 ◆1XQOeq0s16 (ID: V2fBShP3)
腕には異様な臭気を放つ、何かが付着していた。
それはとても血とは思えない、鮮やかで、綺麗な紅色の血液。
それらは、周囲の壁、床といったキャンパスを塗りつぶしていた。
これほどの血痕の出所は何なのか、見る者は疑うだろう。
—紛れもなく、それは自分とは違う、他者の血である—
「ゥ…」
静寂の中で、とても弱弱しい、うめき声が漏れた。
まるで何者かに操られていたような、そんな気がしてならない。
「…なんてことを」
今さら後悔しても遅い…。内なる自分が冷酷にそう告げる。
元々こんなことになったのは、自分が抑えきれなかった破壊衝動のせいではない、何者かに操られていたのだ。そうに違いない。
そんな責任逃れのような思考が、一気に頭を駆け巡る。
エドワールド・リリー…、目の前に倒れているのはそれだった。
否、もはや見る影もなく、無残に頭部を殴られている。
それだけでは飽き足らなかったのか、胴体部にはいくつもの刺傷が見て取れた。
実行したのは自分自身だ。しかし、意識などなかった。
目の前で起きている惨劇から、目を背けていた。
内なる自分が繰り広げていた殺戮をゆっくりと脳内に流れ始める。
途端に吐き気、眩暈に襲われた。見ないほうがいいと、警告しているのだ。
「私は…うぁ…」
もう言葉すら満足に喋ることはできない。頭が真っ白になる。
取りあえず、移動しなければ…。
パニックになっている頭の中で、ようやくそれが思い浮かぶ。
ここはどうやら広い一軒家のようだ、外は暗いが、うっすらと月明かりが家を照らしている。
まず状況を確かめようと、あたりを見渡してみる。
(落ち着け…私)
そして立ち上がろうとした時だった。
ポケットから何かが落ちたのだ。
状況を打開できる手がかりかと思い、すぐさまそれを拾う。
「…マリア」
名刺のようなものに、「マリア」と書かれていた。
ちなみに「マリア」とは自分の名前だ。
マリア・アルマイラ。それが自分の名である。
ただ、非常に不気味なのは、マリア、とだけしか書いていないところだ。
自分の見たことのある名刺なら、右に「代表取締役」などの役職が書いてある。
それがどうだろう、真っ白な紙にマリアとしか書かれていない。
こんなことに不気味さを覚える自分もよほど敏感なのだろう。
取りあえず名刺は懐にしまっておいた。
「…?」
背後から何者かの気配がする。
何故だろう、振り向きたいのに振り向けない。
恐怖が全身を駆け巡る。
叫びたい、口が開かない。
その瞬間が、5秒なのか、数時間なのか。
突然体が動き出す。
突然の出来事だったので、バランスを崩し、前のめりに倒れてしまったが、自分の腹部があった場所には月明かりに照らされたナイフが突き出されていた。
そう、今まさに自分は。
殺されかけているのだ。
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