ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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反逆的交響曲-Against Symphony全話大幅修正
日時: 2011/07/02 12:09
名前: 千臥 ◆g3Ntw.kZAQ (ID: .v5HPW.Z)

クリック感謝です!!

※ただいま、全話大幅修正中につき、ご迷惑お掛けします;;

初めましての方も「あ、コイツまだいたんだ…」な方もどうもこんにちはorこんばんは。
千臥です。
シリアスでの新規小説は少々お久な感じです。
相変わらずの駄文作者ですが、今後とも宜しくお願いしますね;;

反逆=背き逆らうこと。
交響曲=管弦楽のためのソナタ形式による楽曲。調性・楽想のうえで全体の統一が図られる。

とのことです。
有難う。我が携帯の辞書機能。

テーマは題名にもあるように
[既に定められていた運命への反逆]
みたいな感じですw
正直、自分自身、まだ何が書きたいかスッキリしていませんが……
そこら辺は徐々に改善、努力していきます^^

では、千臥のつまらん語りはここらで一旦お開きして、本題へレッツ ゴー!!

※ご注意※
①荒らしさんはUターンを全力でお勧めいたします。
②千臥が嫌い、または小説の雰囲気が自分には合わない、そんな方もUターンを。
③文句・アドバイスは受け付けます。
④題名・内容の変更は基本的にいたしません。被ってしまった方がいらっしゃったら、申し訳ありません;;
⑤駄文です。酷い駄文です。それでも宜しいですか?

上記がルールのようなものです。
守れる、または大丈夫、という方はどうぞお進みください。

■Contents...
序曲-an overture   >>01

第一楽章-the first movement
第一小節 始まりはwehmutig  >>02  
第二小節 giulivamenteな黒猫は笑う  >>03←修正完了
第三小節  

第二楽章-the second movement


第三楽章-the third movement


第四楽章-the fourth movement


終曲-the finale

■Reader...
風(元:秋空様

■News...
5/15 第二小節 更新 第一小節 微修正
5/19 第三小節 更新
6/22 全話修正実施 序曲 修正完了
6/25 第一小節 修正完了
7/02 第二小節 修正完了

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Re: 反逆的交響曲-Against Symphony ( No.2 )
日時: 2011/06/25 11:53
名前: 千臥 ◆g3Ntw.kZAQ (ID: .v5HPW.Z)

第一楽章-the first movement

第一小節[始まりはwehmutig]


声が、聞こえる。

聞き慣れた優しい声が自分の名前を呼ぶ。
「夕灯」
鼓膜を揺らすその声が、とても心地良く感じられた。
「夕灯、あなたは強い子よ。だから、私がいなくても大丈夫……」
あぁ、この声は、母のものだ。
優しさと少しの悲しみを含んだこの声は、父の話をする時の母の声と重なった。
“私がいなくても大丈夫”その言葉は夕灯を不安にさせる。
まるで、母が死んで消えてしまうかのような言い草。
「私の愛しい子、いつまでもあなたを……あなたとあなたの父さんを愛してるわ」
愛してる、母がよく自分と自分と父に向けて言う言葉。
愛情を感じさせる言葉。
だが、今ただ不安を煽るものでしかなかった。
“母さん”そう呼び掛けようにも喉が他人のものになったように自由に働かない。
「さようなら、夕灯。あなたの幸せをいつまでも願っているわ」

母の声が消えていくのと同時に自分の意識が浮かび上がってくる。
自分が眠っていたことに気付かされ、閉じていた瞼をゆっくりと持ち上げた。
視界に映るのは真っ白な天井と窓から差し込む日光。

「……目ぇ覚めたか?」

母の声と入れ替わるように若い男の声が耳に入った。
声の聞こえた方へ視線を向けると、そこには白衣を着た、
恐らく医者と思われる人物が椅子に腰掛けこちらの様子を窺っていた。
天然パーマ気味の茶髪に、左目を覆う眼帯。
やる気の見えない気だるそうな右目。
「……片桐、さん?」
夕灯はこの若い男に見覚えがあった。
何時だったか、母がこの男と仲良さそうに話しているのを見たことがある。
確か、父との共通の友人だと言っていた。

名前は片桐 遙(カタギリ ハルカ)山岸記念病院の医師。
名前が女みたいだと言ったら、思いきり拳骨を喰らわされた覚えがある。

「なんで、俺……。病院なんかに……」
記憶の糸を辿るが、自分が病院のベッドに寝ていた原因は分からない。
「……何も、覚えていないのか?」
驚いたような表情の片桐に夕灯は首を傾げる。
「何を、覚えていないんですか?」
表情を曇らせた片桐は、溜息を一つ零した。
「お前……どこまで覚えてる?」
「どこまでって……学校終わって家に帰って……そしたら母さんが、床に……倒れてて、家が、燃え、て……っ」
記憶が混乱しているようだった。
途中から記憶に靄がかかって思い出せなくなる。
「いい、無理に思い出すな。……ショック性の記憶障害か……」
片桐は額に手を当て
「参ったな……」
と、そう小さく呟いた。
「俺は……なんでここにいるんですか? 母さんは、どうなったんですか……?」
少し落ち着きを取り戻した夕灯は、片桐を見つめ尋ねる。
あの自分が眠っている間に見た夢が、嫌な想像だけをさせる。

“私がいなくても”その言葉が頭の中で繰り返された。

「お前の、母親は……」
片桐は唇を噛み締め、
「今朝、焼けた家の中から……焼死体として、見つかった……」

絶望的な言葉。
その言葉が耳の奥で幾度となく木霊していた。





始 ま り は w e h m u t i g
(悲しみに満ちた世界の始まり)

wehmutig(ヴェーミューティヒ)
音楽的意味は[悲しみに満ちた、悲しげな]

Re: 反逆的交響曲-Against Symphony ( No.3 )
日時: 2011/07/02 12:04
名前: 千臥 ◆g3Ntw.kZAQ (ID: .v5HPW.Z)

第二小節 [giulivamenteな黒猫は笑う]


耳を疑った。


「……今、なんて」
声が情けなく震えている。
焼死体? 誰が? 母さんが?
片桐は、悲しそうな、それでいてどこか悔しそうな顔をしていた。
下唇を噛み締めて、眉を寄せて。
「近所の住人が気づいた時には、もう火が広がってて……手遅れだったらしい」
呟くようなその声は、夕灯と同様に微かに震えていた。
この男が母の友人であることは知っていたが、こんな表情をするまで仲が良かったとは知らなかった。

片桐に、聞きたいことはたくさんある。
何故自分だけが助かったのか、とか、何故家が燃やされたのか、とか。
だが、今の片桐にそれらを尋ねるのがとても酷なことに思えて、夕灯は言葉を喉の奥に押し返した。
「……一番辛い筈のお前に、気ぃ遣われるなんてな。……明日、明日の朝また来る。悪ぃが、それまで待っててくれ……」
俯いたまま、そう告げると片桐は病室を後にした。
彼の姿が見えなくなると共に、胸の内に溜まっていた悲しみやら疑問やらが一気に溢れてきて、
「なんで俺は、肝心なこと……覚えてないんだよ……」
霧に覆われたような自分の記憶が酷く憎らしく思えた。
今の自分にはっきりと分かるのは“母が死んだ”という絶望的な事実だけ。
夕灯は頬を伝う冷たいモノを隠すように両腕で顔を覆った。

   *

「くそっ……」
夕灯の病室から少し離れた非常階段。
壁にぶつけた拳。
鈍い音がその空間全体に響き渡った。
「一番辛ぇ身内のガキに……なに気ぃ遣われてんだ、俺は!!」
反響する声が片桐自身を責めているように感じる。
「“あいつ”が死んだのも……“俺達”のせいじゃねぇか……」
あの普段のやる気のない右目には深い後悔と憎悪が浮かんでいた。

「随分と、心内荒れ模様のようだね……遙」

声の聞こえた階段の踊り場には、黒髪の端整な顔立ちをした男が立っている。
白衣を着ていることから片桐と同じ医者という立場だと分かった。
切れ長の瞳が遙を捉え、優しげに細められる。
「九条か……。名前で呼ぶなって何度言ったら分かるんだテメェは」
いつもより幾らか弱っていると思われるその声に、九条 十(クジョウ ミツル)は小さく笑った。
「……なに笑ってやがる」
「ふふ……。いや、君が弱っているのを見るのは初めてでね。その様子を見ると、
あの親子とは随分仲が良かったみたいだね」
浮かべた笑みを崩さぬまま、十は遙の下へ歩みを進める。
「で、彼の容態はどうだった?」
「部分的な記憶障害が見られた……。恐らく、あの火事の現場で何らかの大きなショックを受けたんだろうな」

「そう……。そういえば、あの火事は事故的なものではないらしいね。犯人の顔とか、彼は見てないのかな?」
一層笑みを濃くした十に得体の知れない冷たいものを感じ、遙は一瞬身震いした。
今目の前にいる十は、自分の知っている九条 十とは別人なんじゃないかと思えてしまうほどの冷たい笑みがそこにあった。
「あ、あぁ。あの状態じゃ見ていない……もしくは覚えていないと思う」
「そう。僕も後で彼の様子でも見に行ってみようかな?
運ばれてきた時、随分と綺麗な顔立ちの子だったから印象に残ってるんだよ」
階段を上がっていく十は、時折くすくすと笑い声を残していく。
その様子は、いつもの彼と何変わらぬようで遙に多少の混乱を招いた。

だが、不思議とさっきまでの自分を追い詰める深い後悔と憎悪は、いつの間にか胸の内に収まっていて、
「……なんだか分かんねぇが……取り敢えず、これで明日はアイツの話、ちゃんと聞いてやれそうだな……」
既に姿が見えなくなった同僚に疑問と感謝の情を抱きながら、遙は非常階段を降りていった。

   *

「どうやら、彼は君達のことについては覚えていないようだよ」

院内の屋上。
人気のないそこで十の声だけが静かに響く。
「うん……。軽いショック性の記憶障害、ってことになってる。でも、彼の記憶を操作したのは君でしょ?」
表情は相変わらずの笑顔で、
「後で、僕も彼の様子を見てくるよ。君は……いや、君達は随分心配性みたいだから」
くすくすと時折聞こえる笑い声は青空の内に消えていく。
「大丈夫。後は僕に任せてよ。また何か分かったら報告する。……じゃあね」

十は携帯をポケットにしまうと、大きな欠伸を一つ残して屋上を後にする。

「さて、じゃあ手始めに、彼の病室に行ってみようか」

新たな玩具を与えられた子供のような、楽しげな声がドアの閉まる無機質な音と重なって消されていった。






g i u l i v a m e n t e な 黒 猫 は 笑 う
(始まった物語《ストーリー》笑う黒猫は愉しげに)

giulivamente(ジュリーヴァメンテ)
音楽的意味は[楽しげ、快い]



Re: 反逆的交響曲-Against Symphony第一小節up ( No.4 )
日時: 2011/08/08 17:33
名前: 千臥 ◆g3Ntw.kZAQ (ID: z/mKt/FD)

第三小節[]


「失礼するよ」


病室のドアをノックする音と、聞き慣れない声で夕灯は目を覚ました。
枕元のデジタル時計に目を向ければ、表示はAM8:00と示していた。
数字達は点滅を繰り返しながら夕灯に時刻を告げる。
「疲れているだろうにごめんね。ちょっと君に、尋ねたいことがあったんだ」
「……え、と」
眠りから覚めたばかりの覚醒しきっていない脳では思考がはっきりせず、夕灯は戸惑いを見せていた。
「あぁ、まずは自己紹介からかな。僕は九条

Re: 反逆的交響曲-Against Symphony第二小節up ( No.5 )
日時: 2011/05/19 17:32
名前: 千臥 ◆g3Ntw.kZAQ (ID: .v5HPW.Z)

第三小節[all abmarschは此処から]

「よし!! 名前も無事決定したし、次はこれからについてね……」
美涙は明るくそう言うと、少し考え込むような表情を見せた。
「んー……。私的には、この学園に転入して、寮に入ってもらえれば一番だと思うの。
人と接する機会が多ければ、記憶の戻る可能性も増えるしね」
その提案に千歳と玲次は大賛成のようで首を大きく縦に振っている。
だが、
「いえ……。そこまで世話になるのは……」
本人があまり乗り気でない。
身元もはっきりしない自分がそこまで迷惑を掛けるわけにはいかない、そう考えているようだ。
「それに、今の自分には記憶がない。つまり、記憶をなくす前の自分が貴方達に害を及ぼす人間だったかもしれない……。現に、俺は何かから逃げていた。その追っ手が警察だった、なんて可能性も今の俺にはあるんですよ?」
そこまで言ったところで、美涙が口を挟む。
「貴方って結構深く考え込んじゃうタイプなのね……。確かに、その可能性を全て否定はできないわ。でも、貴方は今、私達の身を案じてそう言った。そんな思いやりのある人が悪い人間、だなんて私には思えないわ」
彼女の後ろでは千歳達も頷いている。
記憶のない空っぽな心に、それはあまりにも温かくて、それ以上口を利くことが出来なかった。
「まだ私達は出会ったばっかりで、お互いの何も知らない。貴方に関しては自分のことすら分からない状況。
こんな状況だからこそ、私達は貴方を信じ、貴方は私達を信じなきゃいけないわ。だから」

「この如月学園へいらっしゃい、灯夜」

そう手を差し出し笑みを浮かべる美涙が灯夜の目にはとても眩しく映っていた。
「でも……」
未だ渋る灯夜の手を美涙が取り、自分のものと重ねる。
「貴方、きっとすっごく真面目な人だったんじゃない? それに、人の善意は快く受けるべきものよ」
過ぎた遠慮は失礼なものなのよ、と美涙は付け足す。
「俺も、出来ることだけだけど、協力するぜ?」
「私だって協力させてもらうわ」
玲次と千歳も美涙に賛同する。
「なら、決定ね。貴方は此処で生活し、私達と協力する。OK?」
その言葉に頷こうとした、その時だった。

「俺は賛成出来ないな」

生徒会室のドア付近から聞こえる新しい声。
それは若い男のもので、明らかに警戒を含んでいた。
「せっかく話がまとまりそうなところに……。何か文句でもあるの、輝?」
ドアの前に立っていた黒髪の男子生徒は、眼鏡を指で押し上げる。
「文句ならあるさ。お前達は他人を信用し過ぎだ。身元も何もはっきりしない、記憶喪失を迎え入れるなんて、
俺には考えられない」
冷たい物言いに、美涙は顔を顰めた。
「貴方、ホント嫌な言い方するわね。もうちょっと別な言い方出来ないの? だから友達少ないのよ」
「なっ、失礼な奴だな……。俺は正論を述べているだけだ」
一瞬たじろぐが、すぐに冷静さを取り戻した輝はそう言う。
「普通に考えればそうだろう? 俺は危険因子と考えられるものは嫌いなんだ」
そう告げて灯夜に目を向ける。
「IDカードもないなんて、不自然にも程があるじゃないか」
灯夜は輝の視線を感じながらも、美涙へ話しかける。
「この人の言ってる通りだ。俺も自分が危険因子じゃないとは言い切れない」
美涙は再び振り出しに戻りそうな会話に溜息を零した。
「はぁ……。そんな真面目に考えてたら記憶が戻る前に、貴方潰れちゃうわよ? いい? ここでの決定権は
主に私にあるわ。貴方は此処で暮らしていいの。この学園長の娘が認めるんですから」
輝の意見なんて無視無視、そう言って話をまとめようとする。
少々、強引ではあるが。

「生徒会長、如月美涙が生徒会決定権を利用し、如月灯夜の転入、及び入寮を認めるわ」

生徒会室に響き渡る声。
輝は、俺は知らないからな……と一言呟き溜息を落として去っていった。
「……如月?」
灯夜は自分の与えられた名に姓があることを疑問に思った。
「そう、これからは私の姓を使いなさい。色々便利だから。お父様……学園長には私から話をつけておくから」
そう言い残して生徒会室を去っていく。
「じゃ、後で玲次に寮まで案内させるから。改めてよろしくね、灯夜」
千歳も美涙を追うように生徒会室を後にした。
残されたのは灯夜と玲次の二人。
「ま、よろしくな。あと、輝先輩……さっきの眼鏡の人は気にすんな。あれでも一応優しい人だから」
寮へ案内する、そう言う玲次を追って、灯夜も生徒会室を出た。

「ニャー……」

誰もいなくなった生徒会室には静けさと一匹の黒猫の鳴き声だけが残っていた。





第三小節
a l l  a b m a r s c h は 此 処 か ら
(abmarsch=ドイツ語で出発、の意味 音楽用語でも同じく)





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はい!! 少し遅れましたが第三話upです^^
ちょい、長いッスねぇ……
読んでくださる皆さんには迷惑おかけしますorz
では、四話の更新は明日の中間考査最終日が終わってから!!

5/19 更新

Re: 反逆的交響曲-Against Symphony第三小節up ( No.6 )
日時: 2011/05/19 19:34
名前: 風(元:秋空  ◆jU80AwU6/. (ID: .cKA7lxF)
参照: http://www.kakiko.cc/bbs2/index.cgi?mode

僕らは非現実に恋をする……にコメントした風さんです。
覚えておいででしょうか?
題名あってるだろうかと貴女(恐らく女性ですよね?)の名前でキーワード検索して作品を読み返していたら……
福島県在住とは……私も,福島県在住でして凄く驚いた物です(汗
……無駄話は是位にしましょう。
灯夜君は目の色からして日本人離れしてますからね……しかし,見ず知らずの人間に名前付けられる感覚ってどうなんでしょう(苦笑
可愛いものマニア良いですね!実に女の子らしくて……
個人的には友達少ない輝君が好きです^^
ではでは


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