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黒の記憶
日時: 2011/05/16 16:01
名前: ななお (ID: STEmBwbT)


登場人物



ユキミナミ
雪南 ハオ

      16歳 いじめられっこで不登校。
      中性的な美形で、熟女好き。 名前は本名。
      髪を脱色しており、白い。

アシノ フウカ 
芦野 風花
  
      16歳 いつも裸足で歩いている。
      冷静だが、好奇心旺盛。
      ハオに興味を抱いている。 

シノノメ アワキ
東雲 淡貴

      16歳 ハオの元友だち。 明るい髪の色。
      ある事件がきっかけで、ハオに酷いいじめをしていた。
  
    
クチナシ  カナメ
山梔子 要人

      16歳 淡貴の親友。 依存心が強い。
      ある事件がきっかけで、ハオに酷いいじめをしていた。


  

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Re: 黒の記憶 ( No.1 )
日時: 2011/05/16 16:12
名前: ななお (ID: STEmBwbT)





ハオ、という不思議な名前をわたしはすぐに覚えた。

新学期に新しく配られた生徒名簿。 
そこの名簿に、他の生徒と同じように印刷されてある名前なのに、この名前だけ特別な気がして。

ハオを探して、捜して、さがして。

ようやく見つけたハオは、とても綺麗で、この世界の人じゃない気がした。
真っ白な髪は少しイタんでいて、どこか子どもみたいな目が可愛かった。 制服は全然似合ってなくて、ボーとしている印象が強い。

「ハオ」

初対面だというのに、わたしはハオに話しかけた。
馴れ馴れしく、名前を呼んで。







その3カ月後、ハオは学校に来なくなった。




Re: 黒の記憶 ( No.2 )
日時: 2011/05/17 13:10
名前: ななお (ID: STEmBwbT)



             第1章
         『春の終わり、夏の始まり』



人から変な目で見られていることは、わかっている。

「何回も言ってるだろ、芦野。 なんで靴を履かないんだ」
「靴を履かないのがわたしのポリシーです。 なんで靴を履かないといけないんですか」
「ガラスが落ちてたり、怪我をしたらどうする」
「それはわたし自身の責任ですから、先生には関係ないことです」

可愛げがなくったって別にいい。
昔から、子どもっぽくない子どもだと言われてきた。 周囲の大人たちはわたしに完璧を求めるくせに、可愛げがないといつも離れていく。
まだ何か言いたそうな教師を残して、わたしはいつも通り裸足で歩く。

そう、裸足。

わたしはどこに居ても何をしていても裸足で行動する。
それを奇行と呼ぶ人は多い。 だけど。

「わたしらしくなりたいわー、なーんてね」

気持ち悪、わたし。 最近独り言が多いんだけど、気のせいかな。
気を取り直して。
生徒数の多い高校にだけは行きたくなかったから、通学に1時間はかかる田舎の高校を受験した。 合格して、電車で通学しているんだけど、学校から駅までがかなり遠い。

「────あっついなぁ。 駅が歩いてわたしを迎えに来てくれたらいいのに」

同じ方向の子がいないから一人で駅まで歩く。 まあ、いたとしても絶対に一緒に帰らないけど。
人気のない道路をまっすぐ、まっすぐ。



そこでわたしは見てしまったのだ。



「えっ」 「………………」

車も人もいない道路脇。 
そこに、3か月前に突然不登校になった人がいた。

「ハオ?」

そうだ、ハオだ。 
わたしが彼を見間違えるわけがない。 
あのイタんだ白い髪も、高い背も、細い体格も、何かに絶望した目も。
全部、変わっていない。

「あ……うぇ……」

興奮しすぎて膝がガクガクしてきた。 
どうしよう。 ハオがわたしを見てる。 むこうもすごく驚いた顔をしている。
わたし、泣いてないかな? 泣いてないよね。

「ハオ、久しぶり。 元気にしてた?」

髪が伸びて肩までついている。 綺麗な顔はそのままだ。

「お久しぶりです。 少し背が伸びましたね」
「ハオも髪が伸びてる。 すごく格好いい」
「照れます」

そう言う割には、表情がまったく変わってない。 真っ黒な瞳がわたしを見つめてきて、少し不気味だった。

「一つ聞いていい?」 「なんですか」 「それ、何に使うの?」

ハオが片手に持っている包丁を指さす。
使い方はわかってるけど、ハオの場合違う所で危ない使い方をしそう。

「復讐」

サラリと答えて、ハオが口元をゆるませた。

「これで東雲と山梔子を刺そうと思ったんです」
「────バカだね、ハオ」

復讐、なんて。
ただそいつを殺しちゃったら、終わっちゃうじゃん。



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